期待される人と評価される人は、同じではない
「あの人は期待されている」
組織の中で、この言葉はよく使われる。
一方で、別の言葉もある。
「あの人は評価されている」
この二つは、似ている。
どちらも、組織の中で肯定的に見られている状態を指している。
けれど、同じではない。
期待されているのに、評価されない人がいる。
評価されているのに、次の機会を任されない人がいる。
目の前の成果は高いのに、将来の候補には入らない人がいる。
まだ大きな成果は出していないのに、なぜか重要な場に呼ばれる人がいる。
この違いは、単なる好き嫌いや政治では片づけられない。
組織は、人を見る時に二つのものを見ている。
一つは、すでに出した貢献である。
もう一つは、これから任せられそうな可能性である。
私は、この違いをこう整理したい。
期待は前払いの信用であり、評価は後払いの検証である。
期待される人とは、まだ完全には証明されていない未来に対して、組織が信用を前払いしている人である。
評価される人とは、すでに見える形で出した貢献に対して、組織が検証済みの価値を認めている人である。
この二つが重なる時、人は強い。
しかし、この二つがずれる時、組織にも本人にも、かなり深い問題が起きる。
先に結論
期待される人と評価される人には、重なる部分と異なる部分がある。
重なる部分: 組織にとって「任せる理由」がある
期待される人も、評価される人も、組織から見ると「任せる理由」がある。
成果を出している。
周囲を助けている。
学習が速い。
信頼を損なわない。
難しい状況で逃げない。
組織の目的に接続して動ける。
このような行動があるから、組織はその人を肯定的に見る。
異なる部分: 見ている時間軸が違う
評価は、基本的には過去から現在を見る。
何を達成したか。
どの基準を満たしたか。
どの役割を果たしたか。
どの行動が観察されたか。
期待は、現在から未来を見る。
次の役割を任せられそうか。
変化に適応できそうか。
より大きな責任を背負えそうか。
未経験の場面でも学べそうか。
つまり、評価は「証拠」に近い。
期待は「仮説」に近い。
見落とされやすいこと: 評価されることと、期待されることは別の能力を含む
評価されるには、今の役割で成果を出す力がいる。
期待されるには、次の役割に移れる兆しがいる。
ここを混同すると、人事評価も、登用も、育成も、かなり危うくなる。
今回扱う研究
今回は、「期待される人」と「評価される人」の違いを、期待効果、業績評価、職務成果、組織市民行動、タレントマネジメントの研究から考える。
1. 期待が人の成果に影響する研究
内容: リーダーや教師の期待が、相手の成果や自己期待に影響しうることを扱った研究領域である。組織では、上司が誰に期待するかによって、機会、フィードバック、挑戦課題、扱い方が変わる。今回の記事では、期待を「気持ち」ではなく、相手の可能性を現実化させる環境要因として読む。
著者: Dov Eden、J. Sterling Livingston など
論文・記事: Leadership and Expectations: Pygmalion Effects and Other Self-Fulfilling Prophecies in Organizations、Pygmalion in Management
掲載誌: The Leadership Quarterly、1992年 / Harvard Business Review、1969年
2. 業績評価とパフォーマンスマネジメントの研究
内容: 業績評価とパフォーマンスマネジメントの研究を整理し、評価が単なる査定ではなく、個人の行動改善、目標共有、フィードバック、組織成果と関係することを論じたレビューである。今回の記事では、評価を「過去の点数」ではなく、観察された貢献を言語化する仕組みとして読む。
著者: Angelo S. DeNisi、Kevin R. Murphy
論文: Performance Appraisal and Performance Management: 100 Years of Progress?
掲載誌: Journal of Applied Psychology、2017年
3. タスク成果と文脈成果の研究
内容: 職務成果を、直接的な業務遂行であるタスク・パフォーマンスと、組織の社会的・心理的な環境を支える文脈的パフォーマンスに分けて捉えた研究である。今回の記事では、「評価される人」は成果物だけでなく、周囲が成果を出せる条件を支えている場合がある、という根拠として読む。
著者: Walter C. Borman、Stephan J. Motowidlo
論文: Expanding the Criterion Domain to Include Elements of Contextual Performance
掲載書籍: Personnel Selection in Organizations、1993年
4. 組織市民行動の研究
内容: 公式な職務記述には明確に含まれないが、組織の機能を支える自発的行動を整理した研究である。今回の記事では、「評価される人」と「期待される人」の重なりに、助け合い、誠実な協力、組織への建設的関与があると読む。
著者: Philip M. Podsakoff、Scott B. MacKenzie、Julie Beth Paine、Daniel G. Bachrach
論文: Organizational Citizenship Behaviors: A Critical Review of the Theoretical and Empirical Literature and Suggestions for Future Research
掲載誌: Journal of Management、2000年
5. タレントマネジメントにおけるポテンシャル研究
内容: タレントマネジメントにおいて、能力、成果、ポテンシャル、ラベル付け、育成機会がどう扱われるかを整理したレビューである。今回の記事では、「期待される人」は現時点の成果だけでなく、将来の役割適応や成長可能性によって見られるという根拠として読む。
著者: Nicky Dries
論文: The Psychology of Talent Management: A Review and Research Agenda
掲載誌: Human Resource Management Review、2013年
期待される人とは何か
期待される人とは、まだ完全には証明されていない未来に対して、組織が信用を置いている人である。
「この人なら、もう少し難しい仕事を任せてもよいかもしれない」
「この人なら、変化に耐えられるかもしれない」
「この人なら、今は未完成でも伸びるかもしれない」
期待とは、未来に対する仮説である。
ただし、ただの願望ではない。
期待される人には、たいてい何らかの兆しがある。
一つ目: 学習が速い
期待される人は、同じ失敗をそのまま繰り返さない。
一度経験したことを、次の場面で少し変えて使う。
言われたことを覚えるだけではない。
自分の中で意味づけ直す。
この「経験を次に変換する力」は、将来の役割を任せるうえで強いサインになる。
二つ目: 未経験の状況で崩れにくい
期待される人は、答えがある仕事だけでなく、答えがまだない仕事に置かれた時の反応を見られている。
不確実な状況で固まるか。
人のせいにするか。
情報を集め直すか。
仮説を立てるか。
相談できるか。
一度決めたことを修正できるか。
期待は、平常時の優秀さよりも、未経験時の立ち上がり方に向けられることがある。
三つ目: 周囲から信用を失いにくい
期待される人は、まだ成果が十分でなくても、周囲から「この人なら任せても大きく壊さない」と見られていることが多い。
約束を守る。
報告が早い。
嘘をつかない。
都合の悪いことも出す。
わからないことをわからないと言える。
これは派手ではない。
しかし、将来の責任を任せる時には、かなり大きい。
四つ目: 組織の未来課題に接続している
期待される人は、今の仕事だけでなく、組織が次に向かう方向と接続していることがある。
新しい市場。
新しい技術。
新しい顧客層。
新しい働き方。
新しいマネジメント。
組織が次に必要とするものを、すでに少し持っている。
だから、現在の評価だけでは測りきれない期待が生まれる。
評価される人とは何か
評価される人とは、観察された貢献が、組織の基準に照らして認められている人である。
評価は、未来への願望ではない。
少なくとも本来は、過去から現在にかけての証拠を扱う。
目標を達成した。
役割を果たした。
顧客価値を生んだ。
チームに貢献した。
問題を解決した。
期待行動を示した。
評価とは、組織が「何を価値とみなすか」を本人に返す行為である。
一つ目: 役割期待を満たしている
評価される人は、まず今の役割で求められていることを満たしている。
営業なら売上だけでなく、顧客管理、提案品質、再現性、チームへの情報共有も見られる。
管理職なら成果だけでなく、育成、意思決定、業務配分、リスク管理、部下の状態把握も見られる。
専門職なら専門性だけでなく、他者への説明、標準化、品質維持、後進育成も見られる。
評価されるとは、今の役割の中で「価値が出ている」と確認されることである。
二つ目: 成果が見える形になっている
どれだけ努力していても、成果が組織に見えなければ評価されにくい。
何が変わったのか。
誰に価値が出たのか。
どの課題が解けたのか。
どの数字や状態が改善したのか。
評価は、見えるものに引っ張られる。
だから、評価される人は、成果そのものだけでなく、成果を見える形にする力も持っていることが多い。
三つ目: 周囲の成果にも影響している
評価される人は、自分の成果だけを出しているとは限らない。
チームの停滞をほどく。
他者の相談に乗る。
情報を早く共有する。
ミスが大きくなる前に止める。
周囲が動きやすい状態をつくる。
これは、BormanとMotowidloがいう文脈的パフォーマンスに近い。
直接の成果物ではないが、組織が機能する条件を支える貢献である。
四つ目: 評価基準に翻訳されている
ここが見落とされやすい。
評価される人は、ただ良い仕事をしているだけではない。
その良い仕事が、評価基準に翻訳されている。
同じ貢献でも、制度上の言葉に乗らなければ評価されにくい。
「助かった」では弱い。
「顧客対応のリードタイムを短縮した」
「新人の立ち上がり期間を短くした」
「属人化していた業務を標準化した」
「クレームの再発率を下げた」
このように、組織が認識できる言葉に変わって、はじめて評価に乗る。
期待と評価が重なるところ
期待される人と評価される人は、完全に別物ではない。
重なる部分もある。
一つ目: 信頼できる
期待も評価も、最終的には信頼と深く関係する。
任せてもよい。
嘘をつかない。
逃げない。
学ぶ。
周囲を壊さない。
この信頼がなければ、成果があっても期待は積みにくい。
逆に、期待があっても、信頼を損なう行動が続けば評価は落ちる。
二つ目: 組織の目的に接続している
評価される人は、今の目的に貢献している。
期待される人は、これからの目的に貢献しそうである。
どちらも、組織の目的から切り離されてはいない。
個人として優秀でも、組織が必要としている課題と接続しなければ、評価にも期待にもなりにくい。
三つ目: 周囲への影響がある
期待される人も評価される人も、自分だけで完結していないことが多い。
周囲を動かす。
周囲が相談しやすい。
周囲の基準を上げる。
周囲の仕事を前に進める。
組織は、個人の能力だけでなく、その人が場に与える影響を見ている。
四つ目: 再現性の気配がある
一度の成功だけでは、評価はされても期待にはつながりにくい。
なぜ成功したのかを説明できる。
別の場面でも応用できる。
他者にも渡せる。
環境が変わっても崩れにくい。
この再現性が見える時、評価は期待に変わりやすくなる。
期待と評価がずれる四つのパターン
ここからが実務では重要である。
組織の中では、期待と評価がきれいに一致するとは限らない。
1. 期待されているが、評価されない人
この人は、将来性は見られている。
しかし、今の成果がまだ足りない。
あるいは、成果が評価基準に乗っていない。
新しい視点を持っている。
学習は速い。
上層部からは注目されている。
けれど、現場の目標達成にはまだ弱い。
この状態が続くと、本人は「期待されているのに報われない」と感じる。
周囲は「なぜあの人だけ機会をもらうのか」と感じる。
期待の前払いが、評価の裏づけを持たないまま膨らむと、組織内の納得感を壊す。
2. 評価されているが、期待されない人
この人は、今の役割では成果を出している。
しかし、次の役割への期待が置かれていない。
安定して成果を出す。
ミスが少ない。
今の仕事は任せられる。
けれど、新しい領域、曖昧な課題、より大きな責任には名前が挙がらない。
これは本人にとってかなり苦しい。
評価はされているのに、未来が開かれないからである。
この時に必要なのは、本人を雑に「現状維持人材」と見ることではない。
何が次の期待を止めているのかを具体化することである。
経験の幅なのか。
抽象化の力なのか。
対人影響力なのか。
意思決定の胆力なのか。
組織視点なのか。
ここを言語化しないと、評価はされるが育たない人が増える。
3. 期待も評価もある人
この人は、今の成果があり、次の可能性も見えている。
いわゆるハイパフォーマーであり、ハイポテンシャルでもある。
ただし、この人にもリスクがある。
仕事が集中する。
難題が集まる。
周囲から嫉妬される。
本人が期待に合わせすぎる。
失敗できなくなる。
期待と評価が両方ある人ほど、組織は「もっと任せればよい」と考えがちである。
しかし、期待は資源でもあり、圧力でもある。
使いすぎると、期待される人は消耗する。
4. 期待も評価もない人
この人は、組織の中で見えにくくなっている。
今の貢献も認識されず、将来の可能性も語られない。
この状態が長く続くと、人は静かに離れていく。
退職するとは限らない。
ただ、挑戦しなくなる。
提案しなくなる。
自分の仕事を最小限に閉じる。
ここで人事が見るべきなのは、「本人の意欲が低い」だけではない。
その人の貢献が見える構造になっているか。
その人に期待を置ける小さな機会があるか。
期待も評価もない状態は、本人の問題である前に、組織がその人をどう見ているかの問題でもある。
人事が混同してはいけないこと
1. 成果が高い人を、そのまま次のリーダー候補にしない
今の役割で成果を出す力と、次の役割で成果を出す力は同じではない。
営業成績が高いことと、営業組織を育てられることは違う。
専門性が高いことと、専門家集団を率いられることは違う。
自分で成果を出すことと、他者を通じて成果を出すことは違う。
評価が高い人を登用すること自体は自然である。
しかし、評価の高さだけで期待を決めると、本人も組織も苦しくなる。
2. 期待している人に、評価の説明をしないまま機会を与えない
期待は、周囲から見ると特別扱いに見えることがある。
だからこそ、期待には説明責任がいる。
なぜこの人に機会を与えるのか。
どの兆しを見ているのか。
どの成果を求めるのか。
どの期間で検証するのか。
失敗した場合に何を学ぶのか。
期待を属人的な勘にすると、組織は不公平に見える。
期待を仮説として扱い、検証可能にすることが必要である。
3. 評価されている人に、未来の話をしないまま放置しない
評価されている人ほど、組織は安心して放置しがちである。
「この人は大丈夫」
「今の仕事を任せておけばよい」
「安定しているから問題ない」
しかし、本人の側から見ると、それは停滞に見えることがある。
評価されているのに、期待されていない。
これは、静かな不満になる。
優秀な人が辞める時、給与だけが理由ではない。
未来を任されていない感覚が、離職の温度を上げることがある。
期待と評価を分けて扱うための実務メモ
一つ目: 評価面談では、過去と未来を分けて話す
評価面談でよく起きるのは、過去の評価と未来の期待が混ざることである。
「今回は評価が高い。だから次も頑張って」
これでは足りない。
過去の評価として何を認めるのか。
未来の期待として何を任せたいのか。
その二つを分けて伝える。
評価は、何が価値だったかを返す時間である。期待は、次に何を託すかを確認する時間である。
二つ目: 登用会議では、成果とポテンシャルを別々に見る
タレントレビューや登用会議では、「良い人」「優秀な人」という言葉が危ない。
何が良いのか。
今の成果なのか。
次の役割への適応可能性なのか。
組織への影響力なのか。
学習速度なのか。
信頼性なのか。
これを分けないと、声の大きい人の印象で決まる。
三つ目: 期待を小さく試す
期待は、いきなり大きな登用で試す必要はない。
小さなプロジェクトを任せる。
会議の一部をリードしてもらう。
新しい顧客対応を任せる。
後輩育成を一つ担当してもらう。
曖昧な課題の初期整理を任せる。
期待は、仮説である。
仮説なら、小さく検証すればよい。
四つ目: 評価されている人に、次の期待を本人と一緒に作る
評価されている人に対しては、「次に何を期待するか」を一方的に決めない方がよい。
本人がどの方向に伸びたいのか。
組織がどの方向を必要としているのか。
今の強みはどこでより大きく使えるのか。
今の役割に閉じ込めていないか。
評価を、報酬や等級だけで終わらせない。
評価を、次の期待をつくる入口にする。
期待される人になるには、何をすればよいか
期待される人になりたいなら、単に「頑張ります」と言うだけでは弱い。
期待は、未来への信用である。
未来への信用を得るには、兆しを見せる必要がある。
1. 経験を次に変換する
失敗しました。
勉強になりました。
これだけでは足りない。
何を学んだのか。
次は何を変えるのか。
どの場面にも応用できるのか。
誰に共有できるのか。
経験を、次の行動に変える。
この変換が見える人は、期待されやすい。
2. 曖昧な仕事を少し引き受ける
期待される人は、決まった仕事だけでなく、まだ形になっていない仕事に触れていることが多い。
誰も整理していない課題。
部署をまたぐ問題。
顧客の言語化されていない不満。
新しい業務の立ち上げ。
こうした仕事は面倒である。
しかし、未来の役割に近い。
3. 信頼を落とさない
期待は、能力だけでは生まれない。
能力が高くても、約束を守らない人には大きな期待を置きにくい。
報告が遅い。
都合の悪いことを隠す。
他責にする。
周囲を消耗させる。
これらは、期待の残高を減らす。
期待されたいなら、派手な成果の前に、信頼を落とさないことがいる。
評価される人になるには、何をすればよいか
評価される人になりたいなら、努力を見せるだけでは足りない。
評価は、観察された貢献への検証である。
貢献を、組織が認識できる形にする必要がある。
1. 自分の仕事が何を変えたかを言語化する
頑張った。
忙しかった。
大変だった。
これは事実かもしれない。
しかし、評価には乗りにくい。
何が改善したのか。
誰が助かったのか。
どのリスクが減ったのか。
どの成果につながったのか。
ここまで言語化する。
2. 役割期待を確認する
評価されない人の中には、努力の方向がずれている人がいる。
本人は頑張っている。
しかし、組織が期待している役割と違うところで頑張っている。
今の役割で、何が最も重要なのか。
何が最低限必要なのか。
何が加点になるのか。
何をやっても評価にはつながりにくいのか。
ここを確認するだけで、評価のズレはかなり減る。
3. 周囲への貢献を記録する
文脈的パフォーマンスや組織市民行動は、見えにくい。
誰かを助けた。
情報を整理した。
トラブルを未然に防いだ。
後輩が動けるようにした。
こうした貢献は、放っておくと消える。
だから、記録する。
自慢ではない。
組織にとって価値ある行動を、評価可能な形にするためである。
違和感として締める
組織はよく、「期待しています」と言う。
しかし、その期待が何に基づいているのかは、あまり説明されない。
組織はよく、「評価しています」と言う。
しかし、その評価が次の機会につながるのかは、あまり語られない。
ここに、人事の盲点がある。
期待と評価は、似ているようで、別の言葉である。
評価は、過去の貢献を認める。
期待は、未来の可能性に賭ける。
評価は、証拠を扱う。
期待は、仮説を扱う。
評価は、納得をつくる。
期待は、機会をつくる。
この二つを混ぜると、組織は人を見誤る。
成果を出した人を、準備のないまま登用してしまう。
可能性のある人を、現在の成果不足だけで潰してしまう。
安定して貢献している人を、未来のない場所に閉じ込めてしまう。
期待だけを与えて、評価で報いない。
評価だけを与えて、期待で開かない。
人が組織に失望するのは、低く評価された時だけではない。
自分の未来が、誰の言葉にもならない時である。
だから人事は、評価制度だけを整えればよいわけではない。
期待の置き方を整えなければならない。
誰に、なぜ期待するのか。
何を見て、次の機会を渡すのか。
どの期待を、いつ検証するのか。
評価された人の未来を、どう開くのか。
期待されている人の現在を、どう支えるのか。
期待と評価を分けて扱える組織は、人を見る解像度が高い。
そして、人を見る解像度が高い組織ほど、人を雑に消費しない。
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関係論的能力主義とは、能力は個人の中だけにあるのか
能力を個人単体ではなく、関係の中で現れるものとして捉え直しています。組織におけるインテグリティは、信頼を生むだけでなく判断を守る
組織における誠実さが、判断と信頼に持つ機能を扱っています。ビジネスカジュアル導入は、服装自由化ではなく判断基準の整備である
ビジネスカジュアルを、服装ではなく判断基準の問題として扱っています。
根拠・確認メモ
Dov Edenの期待効果研究、およびJ. Sterling Livingstonのマネジメントにおけるピグマリオン効果の議論を確認した。期待は単なる好意ではなく、上司の扱い、機会、フィードバックを通じて相手の成果に影響しうる。
Angelo S. DeNisiとKevin R. Murphyの業績評価レビューを確認した。評価は査定だけでなく、パフォーマンスマネジメント、行動改善、フィードバックと結びつけて考える必要がある。
BormanとMotowidloのタスク・パフォーマンスと文脈的パフォーマンスの区別を確認した。評価される貢献には、成果物だけでなく、組織の社会的・心理的文脈を支える行動も含まれる。
Podsakoffらの組織市民行動レビューを確認した。公式職務外の自発的貢献は、組織機能に影響するが、評価制度上は見落とされやすい。
Driesのタレントマネジメントレビューを確認した。タレントやポテンシャルの扱いには、成果、将来可能性、ラベル付け、機会配分の問題が含まれる。
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