Podcast: チームより個人で進めたい人が4割の職場で、協働はどう設計するか
「チームワークが足りない」と感じるとき、私たちはつい、会議を増やす、雑談を促す、全員で集まる、と考えがちです。
でも、個人で進められる仕事を好む人が少なくない職場では、その処方箋が集中を奪い、かえって仕事を進めにくくすることがあります。
今日のPodcastでは、パーソル総合研究所の「働く10,000人の就業・成長定点調査 2026」を手がかりに、個人の裁量を守りながら、仕事を止めない協働をどう設計するかを考えます。
今回いちばん面白いところ
今回いちばん面白いのは、「一人で働きたい」を協調性の欠如として扱わないところです。
調査では、「チームより個人で進められる仕事の方を好む」と答えた人が40.7%でした。この数字は、チーム作業の価値が下がったという宣言ではありません。深く集中したい、裁量を持ちたい、専門性を発揮したいという希望も、そこには含まれているはずです。
問うべきなのは、みんなを同じ働き方に寄せる方法ではありません。個人で進める時間を守りながら、必要な場面では迷わずつながれる仕事の仕組みを、どうつくるかです。
何が起きているのか
個人の集中を尊重することと、仕事を個人に閉じ込めることは違います。担当の境界や判断の理由が見えないまま進むと、助けが必要になった時点で初めて詰まりが見え、引き継ぎや顧客対応が遅れます。
1つ目は、個人志向と孤立志向を混同しないことです。
一人で進めることを好む人が求めているのは、常時の同調ではなく、集中と裁量かもしれません。人事や管理職はその希望を矯正するのではなく、必要なときに確実につながれる入口を整える必要があります。
2つ目は、協働の質は会議の量では決まらないことです。
誰が何を決めるのか。どの時点で相談するのか。進捗や判断をどこに残すのか。こうした仕事の受け渡しが曖昧なままでは、会議を増やしても連携の摩擦は減りません。
3つ目は、属人化を本人の性格の問題にしないことです。
情報が一人に集まり、判断の理由が共有されないのは、誰かが協力的でないからとは限りません。仕事を渡す場所、相談の条件、決定の記録が設計されていないことが、属人化を生んでいる場合があります。
なぜそれが重要なのか
協働を「仲の良さ」だけで捉えると、個人の集中とチームの連携がトレードオフに見えてしまいます。
けれども実際には、接続点を少数精鋭で設けるほど、両立できることがあります。いつでも全員に相談するのではなく、何を一人で完結させ、どこで他者の確認を得るかを決める。そのほうが、助けを求めることも速くなります。
1つ目は、管理職の役割が変わることです。
管理職は、全員を同じ温度で巻き込む人ではありません。個人で完結してよい仕事と、早めに横断して確かめる仕事を言葉にし、相談が「弱さ」にならない場をつくる人です。
2つ目は、人事が見る指標も変わることです。
チームビルディング施策の参加率だけでは、協働が機能しているかは分かりません。仕事が止まる地点、手戻り、引き継ぎの遅れ、意思決定の待ち時間を観察すると、直すべき接続点が見えてきます。
3つ目は、裁量と共通ルールを両立できることです。
仕事の進め方まで一律に統制する必要はありません。ただし、最終判断者、相談の入口、決定記録といった最小限の共通ルールがあれば、個人の自由は見えない負荷ではなく、成果につながる裁量になります。
現場で見るなら
明日のチーム定例で、関係性を議論する前に、次の三つを確かめてみるのがよさそうです。
1つ目は、この仕事を誰がどこまで一人で決めてよいかです。
担当範囲だけでなく、決めてよい範囲を言葉にします。途中で他者の確認が必要な境目が見えれば、不要な確認も、遅すぎる相談も減らせます。
2つ目は、相談してよい条件が見えているかです。
「困ったら相談して」と言うだけでは入口になりません。期限が動きそうなとき、顧客への約束に影響するとき、判断材料が足りないときなど、相談すべき条件を具体的にしておきます。
3つ目は、決めたことが次の人に渡る形で残っているかです。
会議に参加した人だけが分かる状態では、協働は続きません。結論、理由、次の担当を短く残し、必要な人がたどり着ける場所に置く。それだけでも引き継ぎの質は変わります。
今日の持ち帰り
今日の持ち帰りは、一つです。
協働は、みんなを同じように働かせることではありません。個人の集中を守りながら、仕事を渡す場所、相談する条件、決めたことを残す方法を設計することです。
個人で進めたい人がいることを、チームへの逆風と決めつける必要はありません。むしろ、集中できる時間を尊重できるからこそ、つなぐべき場面をはっきりさせる価値が生まれます。
協働のために必要なのは、常時接続ではなく、必要な接続です。
だから明日、まずは一つの仕事について、「誰がどこまで決め、いつ・誰に・何を渡せば前に進むか」をチームで言葉にしてみてください。
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