「たてなかよこ」? 縦中横とは何か

どうも、『人文×社会』の中の人です。

今回は、縦組みでよく使われる「縦中横」という文字組みの仕方について、ご紹介していきたいと思います。

縦中横は大半の縦組みで使われている手法です。「縦中横」という用語は聞き慣れないかもしれませんが、例をご覧いただければ、「ああ、あのことか!」とピンと来るはずです。

ちなみに、「縦中横」の読みは、「たてなかよこ」ではなく、「たてちゅうよこ」です。間違えるとちょっと恥ずかしいので覚えておきましょう!

縦組みにするには

日本語組版の場合、文字組みの仕方は2種類あります。一つは、文字を縦方向に並べる「縦組み」。もう一つは、文字を横方向に並べる「横組み」です。

日本国内では、PCで作成した書類の大半は横組みですが、出版物となるとむしろ縦組みの方が多いという状況です。新書も小説も基本的には縦組みです。この傾向は、最近広く使われるようになった電子書籍でも変わりありません。

こうした縦組みは、Microsoft Word上でも再現することができます。「ページ設定」パネルの「文字列の方向」を「縦書き」に変更するだけです。この設定を変更することで、ドキュメント全体が縦組みになったり横組みになったりします。文章を書いた後でも容易に変更することができるので、とても便利です。

InDesign上の操作

では、組版作業をするInDesign上では、どのような操作をしているのでしょうか。実は、Microsoft Wordとは全く別の操作をしています。

InDesignでは、まずファイルを新規作成する際に、冊子の綴じ方向を選択しなければいけません。横書きならば「左綴じ」ですが、縦書きならば「右綴じ」に設定する必要があります。この時点で、縦書きにするか横書きにするかを決めておかなければいけません。

ファイルの新規作成が完了すると、今度はページ上にテキストフレームというものを設定します。このテキストフレームをページ上に置くことで、どこにテキストが流れるのか、その範囲を指定します。

縦組みの場合は、文字が縦方向に流れる「縦組み用のテキストフレーム」を使い、横組みの場合は、文字が横方向に流れる「横組み用のテキストフレーム」を使います。基本的にテキストフレームの設定は、テキストを流し込んだ後に変更することはありません。

したがって、InDesignの場合は、縦組みにするか横組みにするかを、最初に確定しておかなければいけません。これがMicrosoft Wordの場合との大きな違いです。

仮に、InDesignで作成した横組みの校正刷に対して、「やっぱり縦組みにしてください!」と注文をつけると、ファイルの新規作成の時点からの作業をすべてやり直すことになります。入稿の際にはくれぐれも注意してください。

縦組みの問題点

縦組みといっても、基本的には冊子の綴じ方向を右綴じにして、縦組み用のテキストフレームさえ作成してしまえば、あとはテキストを流し込むだけです。この作業自体は、横組みの場合と変わりありません。

実際に組版してみると、こんな感じになります。

画像1

半角英字が入った場合はどうでしょうか。

画像2

Microsoft Wordで縦書きにした時と同じように、半角英字は横に倒れた形で表示されます。これは、一般的な出版物でもそうなっているので、特に問題はありません。

問題が生じるのは、半角数字が入った場合です。半角数字が入ったテキストをそのまま流し込むと、下記のようになります。

画像3

さすがにこれはちょっと読みにくいです。試しに、数字の部分をすべて全角に変えてみましょう。

画像4

確かに少し読みやすくなりましたが、「15」の部分にやや違和感が残ります。実はこの違和感を解消するのが、「縦中横」という設定です。

縦中横とは

「縦中横」とは、縦組みの文書の中に横組みの文字列を配置する手法のことです。冒頭に述べたように、「たてちゅうよこ」と読みます。(「縦組み中の横組み」の略だと思えばいいです)

聞き慣れない用語かもしれませんが、例を見れば、一発で分かります。

画像5

「15」や「12」の部分が、縦中横の設定になっています。

日本国内で流通している出版物の多くは、縦組みの場合、2桁の数字のみ縦中横に設定し、それ以外は1字ずつ縦に並べています。ちょうど下記のような感じです。

画像6

まれに3桁の数字で縦中横の設定になっている出版物もあります。3桁だと以下のような感じになります。

画像7

ちょっとやりすぎな感じもします。さすがに3桁の数字を縦中横にすると、その部分だけ行間のゆとりがなくなってしまいます。(ちなみにこれまで見た出版物の中には、4桁の数字を縦中横にしたものもありました)

縦中横の設定

InDesignで縦中横を設定するのは簡単です。

縦中横にしたい文字列を選択して、右クリックし、「縦中横」を選択すればOKです。あるいは、Ctrl + ALT + H(またはoption + cmd + H)のショートカットキーでも指定できます。

さらに、縦中横の上下左右の位置を調整したい場合には、「文字」パネルのメニューから「縦中横設定」を開くと、細かく調整することができます。

しかし、縦中横にしたとしても、フォントが気に食わない場合があります。「やはり数字は半角の欧文フォントにしたい!」と思った時にはどうすればいいのでしょうか。

そのままテキストを流して、2桁の数字だけを縦中横にするとこうなります。

画像8

「2021」と「3」をどうにかしたいです。これを縦に1文字ずつ並べるにはどうすればいいのでしょうか。

実は「文字回転」で簡単に調整することができます。以下は、「2021」と「3」の部分を時計回りに90°回転させたものです。

画像9

こうした文字回転は、「文字」パネルの「文字回転」(「T」のまわりをぐるっと矢印が囲んでいるアイコン)の角度を調整することで設定できます。上で示したように、ここでは「90°」に設定しています。

画像10

このように、縦組みの場合には、縦中横や文字回転を活用することで、違和感なく数字を配置することができます。

入稿の仕方

では、こうした縦組みにする時には、どのようにWordの原稿を設定すればいいのでしょうか?

答えは簡単です。「何もしなくていい」です(笑)

入稿するWordファイルは、横書きのままでOKです。そもそもWordの文字列の方向は、InDesignに読み込んでも引き継がれることはないので、Word上でいくら頑張って設定しても意味がありません。

むしろ、無理にWord上で縦書きにすると、PCの画面上で見づらくなり、執筆者自身が誤植を発見しにくくなります。ですので、たとえ完成品が縦組みになるとしても、入稿するWordファイルは横書きのままにしておくことをおすすめします。

いいなと思ったら応援しよう!