「成瀬は天下を取りにいく」をオススメしたい理由とは|時空ラボ
「成瀬は天下を取りにいく」はとても人気のある小説ですね。
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」というセリフはとてもインパクトがあります。
とはいえ、なぜ私はこの小説に惹かれたのでしょうか?
◎個人的な評価
★★★★☆
ちょっと大人びた(変わった)女子中学生が主人公の青春小説で、ふだん小説を読まない人でもきっと気軽に読めると思います。
◎「成瀬は天下を取りにいく」の紹介
舞台は滋賀県、主人公の「成瀬あかり」は中学二年生(第1話)です。
成績優秀で、絵を描けば入選し、つくった交通標語は採用され、けん玉(とめけん)をひたすら続けられ……といった具合に、特技をたくさん持っています。
一方、やや変わり者で、話し言葉は常体(だである調)です。
冒頭に挙げたように、西武百貨店が閉店するまでのカウントダウンに合わせ、埼玉西武ライオンズのユニフォームを着て毎日通う……という行動力の持ち主でもあります。
そのため周囲からはやや浮きがちですが、そんな成瀬あかりの行動一つひとつに目が離せなくなってしまいます。
◎「成瀬は天下を取りにいく」の感想
いわゆる「キャラクター小説」と一言で片付けることもできそうですが、それだと本書の魅力は伝わらないかもしれませんね。
実際、成瀬あかりのキャラクターは、ややマンガ的です。
さまざまな並外れた技能を持っているわりに、少し価値観が周囲とずれているため、小学生の頃は嫌がらせも受けていたようです。
とはいえ本人は周囲の雑音を気にしません。
自分の信念(というと言い過ぎかもしれません)に対して、正面から向き合うのです。
そんな彼女を見ていると、「成瀬あかりを変わっていると思う自分の方がおかしいのでは」「自分は世の中に流されすぎていないか」などと思えてきます。
また、この小説はいくつかの短編で構成されていますが、例えば幼馴染から見た成瀬あかりなど、それぞれの話によって視点が変わります。
特に珍しく思ったのは最終話の「ときめき江州音頭」で、主人公の成瀬あかり自身の視点に立って書かれている点です。
彼女はある出来事によって、とても動揺することになるのですが、そのナイーブな受け止め方に、読み手も成瀬あかりに対する印象を変えることになるのではないでしょうか。
◎本書をオススメしたい理由
意地悪な書き方をすると、成瀬あかりのようなキャラクターは小説やマンガにおいて、意外と王道かもしれません。
ただ、閉店を控えた西武百貨店に毎日通ったり、M-1の予選に出場したりと、意外と現代っ子な側面も見せてくれます。
また、滋賀県の細かなご当地情報が得られるのも、本書の新しさでしょうか。
そうしたさまざまな要素が絡み合った「成瀬は天下を取りにいく」は、成瀬あかりの行動を見守る楽しさが詰め込まれた小説という印象を持ちました。
◎続編の「成瀬は信じた道をいく」もオススメ
ちなみに、続編の「成瀬は信じた道をいく」も読みましたが、「成瀬は天下を取りにいく」を読んだときと似たような読後感が得られますよ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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