「婚活マエストロ」をオススメしたい理由とは|時空ラボ
婚活という取り組みは多大なエネルギーが必要です。
実際うまくいかないことの方が多いので、途中で心が折れてしまい、離脱してしまうケースもあるようですね。
個人的にも婚活という言葉にはややネガティブさが付きまとうのですが、「婚活マエストロ」(宮島未奈)という小説では、それがうまく中和されており、安心して読み進められました。
◎個人的な評価
★★★★★
婚活パーティーという題材を宮島未奈さんが料理すると毒気が抜けますね。個人的には著者の代表作である「成瀬は天下を取りに行く」や「成瀬は都を駆け抜ける」よりも本作品の方が好みでした。なお、本書は婚活のノウハウを散りばめた小説ではありません。
◎「婚活マエストロ」の紹介
在宅のWebライターとして細々と生計を立てている猪名川(いながわ)健人は、婚活イベントを運営するドリーム・ハピネス・プランニングから婚活お役立ち記事の執筆依頼を引き受けます。
その行きがかり上、40歳にして婚活パーティーに参加することになるのですが、そこで出会ったのが、たくさんのカップルを成立させてきた司会進行役、鏡原奈緒子です。
猪名川も婚活イベントの取材や、鏡原とのやり取りを通して、婚活というものに正面から向き合うことになります。
◎「婚活マエストロ」の感想
本書の「婚活マエストロ」というタイトルからは、鏡原がテクニックを駆使して、参加者の人間性を見抜いたり、カップル成立に向けて働きかけたりするような話を想像するかもしれませんが、実際はそこまで深入りしません。
「カップルを成立させなければ」といった使命感をまとうわけでもなく、"本気の出会い"を願う人に向け、場を提供するのみです。
そんな本書では、全体的に緩やかな空気が流れています。
自分も昔、婚活に励んだことがあり、それなりにいい出会いもあったのですが「人を見定め合うようなこの活動は、もうやりたくないなあ」というのが正直な気持ちです。
真剣になるほど傷つくことが多いですしね。
しかし「婚活マエストロ」では、イベント参加者が皆ぎすぎす、がつがつしていないため、そこに感情移入しなくて済むのが特徴ではないでしょうか。
さらに猪名川が背伸びせず、等身大で婚活に向き合っていることもあり、素直に楽しく読むことができました。
宮島未奈さんの作品は、もうしばらく追ってみたいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
以下のマガジンでは、いろいろな書籍の感想文をまとめているので、よろしければ覗いてみてください。
