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「トレーディング・ゲーム 天才トレーダーのクソったれ人生」をオススメしたい理由とは|時空ラボ

リアルな金融小説は、ときどき読みたくなってしまうジャンルの一つです。

私がこうした書籍を手に取る際は、どうしても「投資の勉強になるかな?」「お金儲けに役立たないかな?」という、よこしまな気持ちが働いてしまうのですが……。

これから紹介する「トレーディング・ゲーム 天才トレーダーのクソったれ人生」からは、即効性のあるノウハウではないものの、今後の世界の見通しについて大きなヒントが一つ得られたように思いました。



◎個人的な評価

★★★★☆
主人公がシティバンクのFXトレーダーに成り上がり、その後、彼の身に起こった心境や環境の変化を描いたノンフィクションです。488ページという大作ながら、FXに詳しくない人でも楽しめるのではないでしょうか。

◎「トレーディング・ゲーム」の紹介

東ロンドン出身のギャリーは、ドラッグで高校を退学になった経歴がありながら、得意の数学を武器にシティバンクの採用を勝ち取り、FXトレーダーとしてのスタートを切りました。

そんなシティバンクで働く人たちはどこかぶっ壊れており、それでいて1日で100万ドルも稼ぐという離れ業を当たり前のようにやってのけます。
主人公もカオスな日々を送る中で徐々に頭角を現し、挫折を味わいながらもトップクラスのFXトレーダーにまで上り詰めました。

そんなギャリーがリーマンショック東日本大震災といった誰もが資産価値を暴落させてしまうような局面で一人、大金を稼ぐ姿は圧倒的といえます。

とはいえ彼が取った戦略は、ギャリー自身の心もすり減らしてしまうのですが……。

◎「トレーディング・ゲーム」の感想

本書「トレーディング・ゲーム 天才トレーダーのクソったれ人生」は、大きく2つの内容に分かれます。

前半はギャリーが若くしてトップ級のFXトレーダーへと上り詰めていく成功譚、そして後半の話こそ読み応えがあるのですが、その前半から後半へと転機を迎える要因が印象的でした。

それは、主人公がそれほど豊かではない地域で生まれ育った背景があったからこそ、金持ちとそうでない人の格差が生まれる仕組みに気づけたことにあるのでしょう。

莫大な利益をもたらしたギャリーの戦略そのものが、かえって主人公の心を蝕んでしまうとは、不思議なものです……。

なお、本書を読んだからといって、いますぐFXトレードを始められるようになったり、有利に取引できるようになったりすることを期待するのは、難しいかもしれません。
金融小説って、たいていそういうものだったりしますね。

◎本書をオススメしたい理由

やや浮世離れしたFXトレーダーの生きざまの面白さ、理不尽さ(異常さ?)のリアルを垣間見れる点が、「トレーディング・ゲーム 天才トレーダーのクソったれ人生」の骨格です。

私はこれを読んで、「あ、格差って(そう簡単に)なくならないのかも」と思ってしまいました。

それどころか、どんどん拡大していく。
そもそも世の中がそういう構造になっている……というべきか。

私としては格差の構造と、これがもたらす影響が分かっただけで、読む価値は十分にありました。

◎「世紀の空売り」もオススメ

ちなみに「マネー・ボール」(野球にデータ活用を持ち込んだ話です)という小説で有名な作者、マイケル・ルイスの金融小説もとても面白いです。
こちらの方がエンターテイメント性が高く、読み物として私の好みかもしれません。

特に「世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち」は、同じくサブプライム騒動(リーマンショックの主因)の舞台裏を描いているので、時代的に重なるところも多いかと思います。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
以下のマガジンでは、いろいろな書籍の感想文をまとめているので、よろしければ覗いてみてください。


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