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「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」をオススメしたい理由とは|時空ラボ

「日本はなぜ大東亜戦争で敗北したのか?」を考えたとき、やはり国力に大差のある国々を相手にしたこの戦争は、最初から勝ちめがなかったということになるのでしょう。

では、各所での戦い方はどうだったのか……?
そこから浮かび上がったのは、日本軍の組織における構造的な問題でした。

失敗の本質日本軍の組織論的研究」(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎)を読むと、合理性を欠いた組織の恐ろしさを痛感させられます。


◎個人的な評価

★★★★★
大東亜戦争におけるターニングポイントともいえる、ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄の6つの戦いを基に、日本軍の組織的な特性を明らかにしていきます。

◎「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」の紹介

本書を手に取ったら、まず巻末にある「大東亜戦争関係図」を眺めてみてください。
以下のような図版なのですが、ここまで拡大した戦線を維持するのは、素人目にも無理筋に思えてしまいますね。

※出典:「失敗の本質-日本軍の組織論的研究」のAmazon販売ページ。

その理由として陸軍と海軍が定める目標に乖離があったことが一つ挙げられますが、ただし本書は大東亜戦争における大局的な敗北の要因について、大きく触れるもではありません。

勝ち負けではなく「戦い方」そのものにフォーカスしています。

その研究対象は、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦という6つのケースです。

各戦いにおいて日本軍は敗北を期してしまったわけですが、本書ではその背後に組織的な課題があったことを明らかにし、現代の教訓へと昇華しているのが大きな特長といえます。

◎「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」の感想

失敗の本質-日本軍の組織論的研究」を読むと、例えばノモンハン事件というソ連・外モンゴル軍を相手にした戦いだけでも、日本軍の組織の欠陥があぶり出されてきます。

まず気になったのは戦術の欠如でしょうか。

ノモンハン事件に限らず、日本軍が採用する作戦は「不意打ち」頼みが多いです。
そして状況が変わっても作戦を見直すことはなく、不意打ちが失敗するという事態も想定することがありません。

根底には、日本軍という軍事組織が官僚的な組織の体を取りつつも、合理性・効率性が伴っていないことがありました。

具体的には、意思統一の不徹底、曖昧な作戦目的、人間関係の重視、中央と現場のコミュニケーション不全、相手の実力や戦況に対する過度な軽視(情報の軽視)、方針に合致しない意見の否定、判断と決定の遅さ……挙げているときりがないですね。

これはけっこう驚くべきことです。

◎「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」をオススメしたい理由

「いやいや、そもそも時代が違うよ」という批評は、本書には該当しません。

なぜかというと、相手のアメリカ軍は統率が取れており、情報を軽視せず、相手を侮ることなく、戦況の把握に努め、そして何よりも失敗から学びを得て戦術をアップデートしていたからです。

日本軍はというと、旧来の精神性の優位を重視した戦い方に終始し、失敗から学ぶという姿勢が大きく欠けていました。
そのため、戦いにおいてはより大きな被害を出したり、しなくてもいい戦闘を繰り広げたりしていたのです。
これは読んでいて苦しくなります……。

失敗の本質-日本軍の組織論的研究」は、6つの戦いの経緯とアナリシス(分析結果)を基にした組織論が大きな特長です。
大東亜戦争について考察した書籍はいくつもありますが、このアプローチは珍しいのではないでしょうか。

ただし重要なのは、やはりこうした失敗(敗戦)の本質を踏まえ、今後に役立てていくことですね。
本書にはそのための教訓もまとめられているので、組織というものを考える上で参考になると思います。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
以下のマガジンでは、いろいろな書籍の感想文をまとめているので、よろしければ覗いてみてください。


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