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【指示が通りにくい子】                       

子どもの困り感から考える個別支援計画文例


この記事では、児童発達支援の現場ですぐに活用できる支援方法と、5領域を網羅した個別支援計画書の文例を紹介しています。

①児発管の支援ポイント
②この子が困っていること
③この子の思い・願い
④家族の願い
⑤この子の強み・できること
⑥児発管のアセスメント
⑦個別支援計画書文例
⑧更新時モニタリングポイント
⑨児発管のつぶやき

①児発管の支援ポイント

「話を聞いていない」「何度言っても動かない」という行動だけを見ると、「人の話を聞く練習」や「指示に従う練習」が支援になりがちです。

でも、この子が本当に困っているのは、声をかけられたことに気づきにくい、言葉の意味を理解しにくい、一度に複数の情報を整理しにくい、理解してから動き出すまでに時間が必要なことかもしれません。

「分かった?」と聞かれてうなずいても、最初に何をすればよいのか分からないことがあります。

「指示が通らない」のではなく、指示が本人に届いていない、または本人に分かる形になっていないのかもしれません。

聞かせようとする前に、本人へ情報が届き、意味が伝わる方法を整える。

その視点が、この支援の出発点です。

②その子が困っていること

集団や日常生活の中で、声かけに気づかなかったり、指示の内容や順番を理解できなかったりして、何をすればよいか分からず動けないことがある。

周囲を見てから遅れて行動する、違うことを始める、何度も注意されることで、自信をなくしたり活動への参加をためらったりすることがある。

③その子の思い・願い

何をすればよいのか分かりたい。

一つずつ教えてほしい。

考える時間を待ってほしい。

みんなと一緒に活動して「できた」と感じたい。

④家族の願い

家庭や園で伝えられたことを理解し、安心して自分から行動できる場面を増やしてほしい。

注意される経験ではなく、「分かった」「できた」という経験を重ね、自信を持って生活してほしい。

⑤この子の強み・できること

実物や見本を見ると、動作をまねして取り組める。

写真、イラスト、身振りなど、視覚的な情報を理解しやすい。

好きな活動や興味のあることには注意を向け、集中して参加できる。

一つずつ短く伝えられると、自分で行動できる場面がある。

安心できる大人が近くで伝えると、落ち着いて確認できる。

⑥児発管のアセスメント

指示が通りにくい背景には、話し手へ注意を向けること、聞いた言葉の意味を理解すること、複数の情報を一時的に覚えて順番に行動することの難しさが影響している可能性がある。

また、周囲の話し声や玩具などに注意が向きやすい、集団への一斉指示を自分への指示として捉えにくい、言葉を理解してから行動するまでに時間が必要であることも考えられる。

本人が動かないときには、反抗や意欲の問題と決めつけず、声かけに気づいていたか、言葉の意味が分かったか、覚える情報量が多くなかったか、体調や感覚的な負担がなかったかを確認する必要がある。

名前を呼んで注意が向いたことを確認し、一度に一つの行動を具体的に伝え、絵カード、実物、見本を添える。その後はすぐに言い直さず、本人が理解して動き出す時間を待つことが重要である。

「分かった?」と返事だけを求めるのではなく、最初にすることを指さす、カードを選ぶ、実際に一つ動いてみることで、伝わったかを確認する必要がある。

⑦個別支援計画書文例

利用児及び家族の生活に対する意向

本人は、何をどの順番ですればよいかを自分に分かる方法で教えてもらい、みんなと一緒に安心して活動したいと思っている。家族は、本人に伝わる方法を家庭・園・事業所で共有し、「分かった」「できた」という経験を重ねながら、自分から行動できるようになってほしいと願っている。

総合的な支援の方針

本人が情報を受け取りやすい環境と伝え方を把握し、言葉だけでなく、写真、イラスト、実物、身振り、見本などを組み合わせて活動内容を分かりやすく伝える。

声をかける前に本人の注意が向いていることを確認し、一度に一つの行動を、短く具体的な言葉で伝える。

指示後は本人が理解して動き出すまで待ち、最初の行動を指さす、カードを選ぶなどの方法で、伝わったかを確認する。

自分から行動を始められた場面を具体的に認め、「分かったからできた」という成功体験と自信につなげる。

また、家庭や園、関係機関と有効な伝え方や待ち方を共有し、一貫した支援を行う。

長期目標

自分に合った方法で活動内容や手順を理解し、必要なときには確認や援助を求めながら、安心して生活や集団活動に参加することができる。

短期目標

短い言葉と視覚的な手掛かりをもとに、最初にすることを指さしや言葉で確認し、自分から行動を始める場面が増える。

本人支援

どの場面、指示の長さ、周囲の環境、時間帯で理解しにくさが生じるかを観察し、本人が理解しやすい情報の量と方法を整理する。

声をかける際は、本人の近くで名前を呼び、顔や体が話し手へ向いたことを確認してから伝える。

「片づけて、トイレに行って、帽子を持ってきて」ではなく、「積み木を箱に入れます」のように、一度に一つの行動を短く具体的に伝える。

「ちゃんとして」「準備して」など意味が広い言葉を避け、何をどこへ、どのようにするのかが分かる言葉を用いる。

絵カード、写真、実物、指さし、職員の見本などを添え、言葉を聞き取ることだけに頼らず理解できるようにする。

指示を伝えた後は、すぐに繰り返したり言葉を増やしたりせず、本人が内容を整理して動き出す時間を確保する。

複数の手順がある活動では、「まず着替える→次に手を洗う」など、順番を見える形にし、終わった項目を外せるようにする。

分からないときに「もう一回」「見せて」「手伝って」と、言葉やカードで確認や援助を求められるよう支援する。

自分から動き始めた、カードを確認した、分からないことを伝えた場面を具体的に認め、自信につなげる。

家族支援

指示が通りにくい行動の背景には、注意や言葉の理解、情報処理の特性があり、意図的に無視しているとは限らないことを共有する。

家庭で困りやすい場面を確認し、名前を呼ぶ、一つずつ伝える、見せる、待つという関わり方を、家庭で無理なく使える形で一緒に考える。

事業所で理解しやすかった絵カードや言葉、待つ時間を共有し、家庭でも同じ表現を使えるよう支援する。

本人が自分から行動できた場面や、確認を求められた場面を具体的に伝え、家族と成長を共有する。

移行支援

進級・進学や利用環境の変化に備え、本人が注意を向けやすい声のかけ方、理解しやすい言葉の長さ、有効な視覚支援、必要な待ち時間を関係機関へ引き継ぐ。

新しい集団でも一斉指示だけに頼らず、必要に応じて個別の声かけや見本を受けられるよう、具体的な配慮事項を共有する。

地域支援・地域連携

保育所・幼稚園等と、本人に伝わりやすい「名前を呼ぶ・一つずつ伝える・見せる・待つ」という方法を共有する。

相談支援専門員や関係機関と情報共有を行い、家庭・園・事業所で共通した言葉や視覚的な手掛かりを使える環境を整える。

5領域とのつながり

健康・生活

生活の手順を写真やイラストで示し、自分で確認しながら身支度や片づけに取り組めるよう支援する。

運動・感覚

音や人の動きなど、注意を妨げる刺激を調整し、実物や動作の見本を使って理解しやすくする。

認知・行動

情報を一つずつ提示し、手順や終わりを見える形にすることで、理解して行動へ移せるよう支援する。

言語・コミュニケーション

短く具体的な言葉と視覚情報を組み合わせ、「もう一回」「見せて」など確認する方法も身につけられるよう支援する。

人との関わり・社会性

安心できる大人とのやり取りを土台に、集団の中でも必要な情報を受け取り、周囲と一緒に活動できる経験を積み重ねる。

⑧更新時のモニタリングポイント

名前を呼び、一つの行動を短く伝えることで、本人が注意を向け、最初にすることを確認できる場面が増えているか。

絵カード、写真、実物、見本のうち、どの方法がどの場面で理解につながっているか。

指示後に十分な時間を待つことで、自分から行動を始められる場面が増えているか。

複数の手順があるときに、予定表を見て次にすることを確認できているか。

分からないときに「もう一回」「見せて」「手伝って」と伝えられているか。

注意や再指示の回数だけでなく、「分かった」「できた」という成功体験が増えているか。

家庭・園・事業所で、本人に伝わりやすい言葉や視覚支援が共有されているか。

⑨児発管のつぶやき

もし、あなた自身がその子だったらどうでしょう。

遊びに集中しているとき、少し離れた場所から長い説明をされる。

「準備して」「ちゃんとして」と言われても、具体的に何をすればよいのか分からない。

考えている途中に同じ言葉を何度も重ねられ、最後には「聞いていない」と注意されたら、戸惑ってしまうのではないでしょうか。

この子は、指示に従いたくないのではなく、情報がまだ届いていない、意味を整理している途中、最初の一歩が分からないのかもしれません。

私たちにできることは、声を大きくしたり、言葉を増やしたりすることではありません。

本人の近くで名前を呼び、「積み木を箱に入れます」と一つだけ伝え、見本を示して待つことです。

そして、できなかった回数を数えるのではなく、「この伝え方なら分かった」という方法を見つけることです。

その小さな工夫が、「分かったから動けた」「自分にもできた」という安心と主体性につながっていきます。

指示が通りにくい子のために、あなたの事業所で今日から一つだけ伝え方を変えるとしたら、何ができるでしょうか。

ぜひ皆さんの工夫やご意見をコメントで教えてください。

※この文例は、子どもの困り感や強みをもとに、個別支援計画の考え方を整理するための参考例です。実際の計画作成では、一人ひとりの状況や家族の意向を踏まえて検討してください。




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