人間は醜いから美しい|江見侑香さんインタビュー #5
先月に開催した「じだいのはざま展vol.4」。
その会期中に行ったアーティストインタビューを掲載します。
今回は江美侑香さんのインタビューです。
主催と対談形式で、制作の原点について深掘りしました。
前回のインタビューはこちら👇
江見侑香
1995年生まれ。京都府在住。
服飾系の高校、アパレル販売員を経て
2023年4月頃から活動開始。
肉が好き。
受賞歴
2024年5月「4ROOMS ART」Seaside studio CASO オーディエンス賞入賞
2024年5月「Emerging Artists Osaka」大阪府立江之子島文化 芸術創造センター 奨励賞
2024年9月「FLAG art competition2024」アトリエ三月 Second prize 受賞
https://www.instagram.com/yuka_emi_/
「肉」をつくり始めたきっかけ
───江見さんは関西のコンペで入賞を繰り返されていて、実力を発揮されているアーティストさんです。今回の「ぼくらの仲間」というテーマからどういったことを連想しましたか。
江見さん(以下敬称略):「仲間」とは、“どこかしら共通点がある人たちの集合体”だと解釈しました。そこから連想して、人間は皮を剥いだらみんな同じ肉ですし、人類みんな仲間だと気づきました。それで肉を題材に制作した作品を出展しました。

───江見さんは以前から「肉」を題材にした作品を発表されていますね。どういったところから「肉」に注目しはじめたのでしょうか。
江見:アーティストとして活動しはじめるときに、自分がどういう表現がしたいのか、まず内面を深堀りしました。昔からホラー映画やグロい映画が好きだったので、そういう気持ち悪さをアート作品としてかっこよくできたらいいなというのがありました。
私、他人に見られたくないような人間の醜い部分が好きなんですよ。めっちゃわかりやすく言ったら、昼ドラのドロドロみたいな。そういうところがあるから人間らしいと思うんです。それがなかったらロボットと同じというか、綺麗事ですよね。そういうカオスな気持ち悪さや、人の醜い部分の美しさを表現していきたいなと思ったのが一番最初です。
───まず内面を深掘りして、人間のドロドロした部分を表現しようと決めたんですね。
江見:そうですね。「肉」を元に作りたいというのはあったんですけど、フォルムに関してはこういうのがかっこいいんじゃないかっていう頭の中のイメージを自問自答しながら形にしていきました。こういうのがあったらかっこいいなって思いついたら、それをメモしたり。そこからこれ作ってみようかなとか、違うのと合わせようかな、みたいな感じでやっています。

江見:あと影響を受けたものといえば、私の父がアーティストとして活動していた時期があったので、子供のころは遊園地よりかは、金沢21世紀美術館など県外の美術館に連れていってもらうことが多かったです。なので自分の小さいころの記憶の積み重ねが制作に影響しているのかもしれません。
───「part of role」は洋服をかたどった作品ですが、服飾系にいらっしゃったので洋服に対しての強い思いがあったのでしょうか。作り方も気になります。
江見:無意識でしたね。わからないですけど、知らないうちに影響されていたのかもしれません。これは既存のTシャツとワイシャツを石膏で固めたところに樹脂を染み込ませて固めています。そのうえから絵の具で着色しています。
時は過ぎてゆくという残酷さ
───「moratorium」は手すりに肉が巻きついている作品で、他にはない面白い発想ですよね。これはどんなふうにできたんでしょうか。

江見:これは精神的にきつかったときに思いつきました。人って倒れそうになったら何かに掴まるじゃないですか。普通の手すりは温かみを感じないけど、肉だったら温かみを感じるかなと思ったのが最初です。題名にした「moratorium」は思春期の成長に対しての”一時停止期間”という意味です。手すりにつかまると一時停止できるかもしないけど、肉って生もので腐るじゃないですか。自分の時間は止まってるけど周りの時間は過ぎていくんだよという、皮肉とまではいかないんですけど、それを肉で表せたら面白いんじゃないかなと思いました。結果的に形も面白いものになりましたね。
───手すりは掴まるものですが、この作品は不安定さを含んでいますよね。今のお話ですごく腑に落ちました。
言語化も作家の責任
江見:今まで作品を言語化するということをしてきてなかったんですが、ちゃんと作品説明をすることも作家の責任の一つだと考えています。実は今、海外で活動されている作家さんが開催している、アーティストステートメントのワークショップに参加して勉強しています。自分の内面の深堀りもするべきだし、その一方でその思いがちゃんと伝えられるようにしたいです。そうすることでより良い作品が作れるんじゃないかと思っています。
───制作技術を高めながら、自己も深めていくといった、両軸で作品に厚みや深みを持たせているんですね。でも、説明されなくても見た人が「いいな」って感覚でわかるのが江見さんの強みだと思っています。

───以前、アトリエ三月さんの「FLAG2024」というコンペで「crowd」という作品を観に行かせていただきました。画像で見たときはメタルでかっこいい作品だなと思っていたんですね。でも生で観たら表面のドレープの柔らかさが感じられて、トゲトゲだと思っていた形がキラキラの可愛い作品に思えてきたんです。その瞬間めっちゃ愛おしくなりました(笑)見た人の感情に直接訴えかけてくるのが江見さんの作品のいいところだと思います。
江見:ありがとうございます。がんばります。
───これからも応援しています。ありがとうございました。
インタビュアー:川口 由真
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10/22公開予定!
