タツノオトシゴのお父さんは、お腹の中で子どもを育てる。
タツノオトシゴのお父さんは、
お腹の中で子どもを育てる。
初めて知ったとき、
少し驚いた。
正確には、
お母さんが卵を
お父さんのお腹にある
育児嚢(いくじのう)へ預け、
お父さんがその中で
赤ちゃんを育てる。
そして、
十分に育った頃、
お父さんは何百匹もの子どもを
海へ送り出す。
人間の感覚からすると、
不思議な役割分担だ。
そもそも、
「当たり前」や「普通」
なんてものこそが、
ずいぶん曖昧なのだと思う。
私たちは、
「母親はこういうもの」
「父親はこういうもの」
というイメージを、
知らないうちに持っている。
もちろん、
それが当てはまる家庭もある。
けれど、
それが唯一の形ではない。
私たちが思っているより
ずっと自由でいいのかもしれない。
生き延びる方法は、
きっと一つではないはず。
人間だけが、
「普通」と思っている。
普通の家族。
普通の働き方。
普通の親。
でも、
生き物全体を見渡せば、
「普通」なんてものは
驚くほど多様だ。
私たちが常識だと
思っていることなんて
生き物全体から見れば、
たまたま、
人間に多く見られる形にすぎない。
「どんな形でもいいんだよ。」
タツノオトシゴのお父さんが
そう静かに教えてくれる気がする。
誰が育てるかより、
ちゃんと子どもたちが育つこと。
誰が支えるかより、
ちゃんと支え合えること。
本当に大切なのは、
役割名ではなく、
その役割を果たそうとする気持ち
なのかもしれない。
核家族で、共働きで、
子育てをするって
思っている以上に
無理ゲーだから。
役割だ、
常識だなんて
言ってないで、
全力でやれよって。
タツノオトシゴのお父さんは、
赤ちゃんをお腹の中で育てながら、
人間に言ってるのかもしれない。
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