現実とプライドのあいだ(Between Reality and Pride)
先日、ホンダと日産自動車が経営統合の交渉を打ち切ったというニュースが大きな話題となった。
複数のメディアによると、ホンダが日産側に「統合」ではなく「買収」という意味合いで子会社化を提案したことが、日産側の猛反発を招いたらしい。もし統合が実現していれば、世界の自動車メーカーの業界地図を塗り替えるビッグディールになるはずだった。
一方、日産にしてみれば、(提案内容にあったとされる)自社名を含まない新会社名やアンバランスな統合比率など、飲める条件ではなかったのだろう。
自動車業界は、テスラや中国の電気自動車(EV)メーカーの台頭で競争が激化しているので、業績不振に直面している日産が不利な立場にあるのは明らかだ。
今回の破談を受け、ネット上では日産に対し「自力再建できるのか」といった疑問や「プライドだけ高くて危機感が足りない」といった厳しいコメントがみられた。やはり、歴史やブランドがあればあるほど、往生際も悪くなるのかもしれない。
M&Aは本当に難しい。
過去にも、統合交渉が発表された後、もしくはメディアに報道された後に打ち切られたケースは少なくない。
たとえば、2010年の新生銀行とあおぞら銀行の合併交渉、2011年の日立と三菱重工の経営統合のニュース、2013年の川崎重工と三井造船の統合交渉など、いずれも破談に終わり、各社はそれぞれの道を歩んでいる。
企業同士が合併する場合、財務状況や時価総額、従業員数、企業風土など様々な違いを埋め合わせなければならない。
さらに、歴史や伝統があり、組織の規模が大きく、部門間の派閥争いが激しい企業ほど、社内で一つの方向に一致団結できずにいる。
統合というと聞こえは悪くないが、真の対等合併というのはなく、通常どちらかが主導権を握る形になる。なので、交渉はお互いのプライドのせめぎあいだ。
こうした事象は企業だけの話ではない。
厳しい現実に直面したとき、個人も自尊心とどう折り合いをつけるかという問題は常にある。
私自身、自己評価は低いのだけど、自分の生き方やこだわりについてはプライドを持っている。
ただ、現実を見誤れば、痛いしっぺ返しも待っている、ということもよくわかっている。
人生の大事な局面で、現実とプライドのバランスをどう天秤にかけるか…なかなか難しい。
ホンダ・日産統合破談から、また自分の話になってしまった、笑。
「自分の自尊心を貫こうか、現実に向き合おうか」―問いかけながら、考えは尽きない。

