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【掌編小説集】 『母とルンバと私』 #1 ルンバ

 ロボット掃除機『ルンバ』が出始めてまだ物珍しい頃、
 妹がルンバを見に来ないかと家に呼んだ。
 家に着くとリビングでルンバが騒々しく動いていた。

「これが買ってもらったやつか。使ってみた感想は?」
「悪くないよ。部屋を片付けなきゃならないけどね」
 と妹が苦笑いした。

「便利だけど、ちょっとうるさいわね」
 母が言った。

「それじゃ廊下の掃除をさせておくよ」

 妹はそれをヒョイと持ち上げ、玄関前の廊下に移した。
 ルンバは廊下を行ったり来たりしていた。

 しばらくして母がポツリと言った。

「そろそろ、こっちに入れてあげなさい。かわいそうだから」

 私と妹は顔を見合わせて大笑いした。

 母はきょとんとしていたが、
「あ、そうか」と言って笑った。

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