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【短編小説】7歳の暴走キング

登場人物と背景

物語の主人公は、ルイ。7歳にしては少し小柄な、ドイツ系アメリカ人の少年だ。サラサラとした明るいブロンドの髪に、吸い込まれそうなほど美しい青い瞳を持つ。今はまだあどけなさが残る可愛らしい顔立ちだが、その整った目鼻立ちは、将来誰もが振り返るハンサムになることを約束していた。

ルイは、北部の保守的な街で、愛情深い父親のジョンと暮らしている。賢く、優しく、ユーモアのセンスも抜群。その小さな頭の中は、いつも創造力豊かなアイデアでいっぱいだ。しかし、彼の最大の魅力であり、そして悩みの種でもあるのが、その旺盛ないたずら心。7歳になり、生意気さとやんちゃっぷりは日に日に増していくばかりだった。

そんなルイを、ジョンは目に入れても痛くないほど可愛がっていた。自分によく似た息子であり、何よりもその存在そのものが愛おしくてたまらないのだ。時々、ジョンは広大な自宅の敷地内で、愛車のテスラSUVの運転をルイに「練習」させることがあった。「ルイは運転の天才だな!」と褒められるたびに、ルイの胸は誇らしさでいっぱいになった。ジョンは「ダッドがいない時は運転しちゃだめだぞ!」と釘を刺すものの、その口調はいつも楽し気で、本気で叱っているようには聞こえなかった。だからルイは、心のどこかで「少しくらいなら大丈夫だろう」と思っていた。もちろん、それが悪いことだとわかっていながらも。

そして、ルイの無二の親友が、同い年のマイケルだ。マイケルは、ルイの聡明で芯のしっかりした性格に惹かれていた。やんちゃで生意気なところもあるけれど、本当はとても優しいことを知っていたからだ。二人はいつも一緒で、最高の相棒だった。

物語のもう一人の主人公は、ベテラン警察官のボブ。退屈な午後のパトロール中に、彼は生涯忘れられないであろう、小さな暴走ドライバーと対峙することになる。

★ ★ ★ ★

「ねえ、マイケル」

ルイは宝物を見つけたかのように目を輝かせ、親友のマイケルに囁いた。LEGOブロックで作り上げた宇宙船の基地が床一面に広がっている。サラサラのブロンドヘアが、部屋に差し込む午後の光を浴びて金色に光っていた。

「なんだい?ルイ🚀」

マイケルは青いブロックを手に取ったまま、ルイのほうを向いた。ルイの提案はいつも突拍子もなくて、最高に面白い。だからマイケルは、この賢くて、ちょっと生意気で、でも誰よりも優しい親友が大好きなのだ。

「ドライブに行こうぜ!こっそりね🤫」

ルイの美しい青い瞳が、いたずらっぽく細められた。その言葉に、マイケルの心臓がドキリと跳ねる。

「ドライブって…君の家のテスラで?🚗」 「当たり前だろ!行き先はレゴランドさ!🎢」

ルイは胸を張った。まるで世界を手に入れた王様のように。

「でも、きみのダッドにバレたら…😥」 「大丈夫だって!ダッドは仕事部屋に籠ったら2時間は出てこないんだ。集中してるからね👨‍💻。すぐ戻ってくれば、何も気づかれやしないさ!」

ルイは自信満々に言った。その根拠のない自信が、マイケルの不安を少しだけ和らげる。ルイにかっこいいところを見せたい、という気持ちもあった。

「…うん、わかった。行くよ!😃」

マイケルが頷くと、ルイは「よしきた!」とガッツポーズをした。二人の小さな冒険が、今、始まろうとしていた。

作戦は迅速だった。ルイは猫のように静かな足取りで廊下を進み、父親の書斎のドアノブにそっと手をかける。幸い、鍵はかかっていなかった。軋む音を立てないよう、ミリ単位でドアを開け、中に滑り込む。ジョンは大きなヘッドフォンをしてデスクに向かっており、息子の侵入には全く気づいていない。ルイの狙いは、デスクの隅に置かれたカードキーだ。心臓が早鐘のように鳴る。ルイは息を殺し、カーペットの上を匍匐前進で進んだ。そして、カウボーイが投げ縄を投げるように素早く手を伸ばし、見事カードキーを掴み取った。

リビングに戻ると、マイケルが心配そうな顔で待っていた。ルイは勝利の証であるカードキーを掲げて見せ、にやりと笑う。

「行こうぜ!レゴランドへ!😎」

ガレージに鎮座する黒いテスラSUVは、まるで眠れる巨獣のようだった。ルイは運転席のドアを開け、用意していたクッションを3つ、4つと重ねていく。それでもまだ少し低いが、なんとか前方が見える高さになった。マイケルは助手席に乗り込み、シートベルトを締める。その手が少し震えていた。

ルイはカードキーをコンソールに置き、慣れた手つきでブレーキペダルを踏み、ステアリングのコラムシフトをドライブに入れる。音もなく、巨獣は滑るようにガレージから公道へと躍り出た。

「すごいよ、ルイ!本当に運転してる!🤯」 「だろ?僕にかかればこんなもんさ!😏」

ルイは得意満面だった。アクセルを踏み込むと、景色が後ろへ飛んでいく。交通法規なんて、ルイの頭にはなかった。赤信号も一時停止も、まるでゲームの障害物のように感じられた。それでも、ルイの運転は驚くほどスムーズだった。他の車にぶつかることなく、まるでダンスを踊るように車線の間をすり抜けていく。ルイにとって、これは最高の遊びだった。

しかし、その異常な光景を見過ごす大人はいなかった。交差点で信号待ちをしていたセダンの運転手が、SUVの運転席でハンドルを握っているのが小さな子供であることに気づき、目を剥いた。彼は慌ててスマートフォンを取り出し、警察に通報する。ルイは、そのセダンの運転手が自分を指さしているのに気づいた。そして、それが「すごいね!」という賞賛のジェスチャーだと勘違いした。ルイは、この前見たアクション映画の主人公がやっていたクールなポーズを思い出し、運転席の窓から、ためらいなく中指を立ててみせた。これが相手を侮辱するポーズだとは、夢にも思っていなかった。ただ、最高にカッコいいと思っていたのだ。

警察官ボブの憂鬱な午後

ボブ・ミラー巡査部長は、パトカーの助手席で生あくびを噛み殺していた。北部の小さな街の午後は、いつも退屈なくらいに平和だ。ドーナツの最後のひとかけらを口に放り込んだその時、無線が静寂を破った。

『…こちら指令室。国道7号線、子供による車両運転の通報あり。黒のテスラSUV、ナンバーはハンプシャー州の『8K2-LOU』。通報者によると、運転している子供は笑顔で…えー…こちらに中指を立ててきた、とのことだ』

「子供が中指を立ててきただと?聞き間違いじゃないのか?🤨」

ボブは眉をひそめた。通報内容の奇妙さに、いつものいたずら電話とは違う何かを感じる。パートナーの若い警官がハンドルを握りながら言う。 「ずいぶん生意気なガキですね。またいたずら通報じゃないですか?」 「かもしれんな。だが、確認は必要だ」

ボブたちが現場に近づくと、すぐにそれらしき黒のテスラが見つかった。そして、無線が告げた通り、運転席には小さな金髪の頭が見え隠れしていた。信じがたい光景に、ボブは思わず目を見開いた。

「おいおい、マジかよ…😨」

ボブはサイレンを鳴らし、マイクを手に取った。 「ハンプシャー州の黒のテスラ、ナンバープレートは『8K2-LOU』。聞こえるかい、運転している坊や? 僕は警察官だよ。君を助けたいんだ。危ないから、ゆっくり路肩に車を停めてくれるかな? 怒ったりしないから、お願いだ。👮‍♂️」

ボブはできる限り穏やかで、子供に言い聞かせるような優しい口調で呼びかけた。相手はまだ物事の分別もつかない子供だ。脅えさせてパニックにでもなったら、大事故につながりかねない。しかし、その願いも虚しく、テスラは停まるどころか、むしろスピードを上げた。

運転席のルイは、背後に迫るパトカーの存在に気づいていた。サイレンの音が、まるでゲームのBGMのように聞こえる。興奮と、ほんの少しの焦り。ルイの小さな頭脳がフル回転する。「逃げるしかない!」その結論に至るのに、1秒もかからなかった。

「マイケル、しっかり掴まってな!追跡ごっこが始まったぜ!🏎️💨」 「ええっ!?ルイ、停まろうよ!警察だよ!😱」

マイケルの悲鳴も、興奮したルイの耳には届かない。ルイはアクセルをさらに踏み込み、ハンドルを巧みに操る。車体を左右に振り、パトカーのから逃げる。まるで熟練のスタントドライバーのようだ。

「なんて運転だ…あの子、一体何者なんだ…🤯」

ボブは呆然と呟いた。これはただの子供のいたずらではない。危険極まりない暴走だ。ボブは応援を要請し、数台のパトカーがテスラを追い詰めるべく、包囲網を形成し始めた。

数分後、大通りから脇道に入ったところで、ついにテスラは3台のパトカーに前後左右を塞がれた。ボブは慎重にパトカーを降り、テスラに近づく。

「坊や、もうおしまいだ。大丈夫、怒らないからドアを開けてくれるかな?😥」

拡声器越しの声が響く。ルイは固く唇を結んでいた。ドアはもちろんロックした。窓の外には、いかつい顔をした警察官たちがいる。ダッドに厳しく叱られる光景が目に浮かび、絶対に捕まるものか、と意地になった。それに、先日見た映画の光景がよみがえり、最高にアドレナリンが出ていた。

「ルイ…もうやめようよ…ごめんなさいって言おう…😭」

助手席でマイケルが泣きじゃくっている。その声に、ルイの心も少しだけ揺らいだ。でも、今更引き返せない。

警察官たちが、強行突入の準備を始めたのが見えた。特殊な器具を手に、ドアに近づいてくる。ルイの心臓が、破裂しそうなくらい激しく脈打った。

その瞬間、ルイは再び映画のヒーローになった。彼は窓越しに、一番近くにいたボブに向かって、覚えたてのクールなポーズ(中指)をビシッと決めた。ボブが一瞬呆気に取られたその隙を、ルイは見逃さなかった。

アクセル全開。

テスラは電気モーター特有の静かなうなり声を上げ、ロケットのように急発進した。そして、パトカーとパトカーのわずかな隙間を、ミラーを擦ることもなく、完璧にすり抜けたのだ。

「なっ…!?うわあああ!🤯」

警官たちの驚愕の叫び声が聞こえた。ルイはバックミラーに映る小さくなっていくパトカーを見て、最高の気分だった。この前ダッドと見たカーアクション映画のワンシーンが、頭の中で鮮やかに蘇る。自分は無敵のヒーローだ。興奮が頂点に達し、我を忘れていた。でも、心の奥深く、小さな声が聞こえる。「ルイ、これは本当にダメなことなんだよ…」その声に気づかないふりをして、ルイはアクセルを踏み続けた。

夢の国の入り口で

「見えた!レゴランドだ!やったー!🤩」

マイケルの歓声で、ルイは我に返った。目の前に、カラフルなブロックでできた巨大なゲートが見える。ついに目的地に到着したのだ。ルイは達成感で胸がいっぱいになり、得意げに巨大な駐車場の空きスペースにテスラをスキール音を響かせながら滑り込ませた。その車庫入れは、ベテランドライバーも舌を巻くほど完璧だった。

「さあ、行こうぜ、マイケル!アトラクションが僕らを待ってる!🎢」

ルイはエンジンを切り、興奮気味にドアを開けて飛び出した。マイケルも慌てて後を追う。二人は手をつなぎ、夢の国へと駆け出した。

けたたましいサイレンの音が、駐車場の空気を切り裂くように近づいてきた。 「ルイ、聞こえる…?警察が来たんだ…!もう逃げられないよ!😨」 マイケルは顔面蒼白になり、ルイの服の袖を掴んだ。しかしルイは、目の前のカラフルなゲートしか見ていなかった。 「無視するんだ、マイケル!聞こえないフリをしろ!もうすぐ夢の国なんだぞ!😎」 ルイはこんな時にも堂々としている。マイケルはこんなところに惹かれていた。

ボブは、信じられないものを見るような目で、駐車場にきちんと停められたテスラと、レゴランドの入り口に向かって走っていく二つの小さな背中を交互に見ていた。

「…あいつら、遊びに来ただけなのか…?😑」

怒りを通り越して、もはや感心すら覚えていた。ボブは他の警官たちと共に車を降り、子供たちの後を追う。

「待ちなさい!」

ボブの大きな声に、マイケルは「ひっ!」と小さな悲鳴を上げてその場に凍りついた。ルイも一瞬肩を震わせたが、すぐに振り返ると、仁王立ちする警察官たちをまっすぐに見据えた。その青い瞳に怯えの色はなく、むしろ「何か用?」とでも言いたげな挑戦的な光を宿していた。

ルイは咄嗟にマイケルの手を引き、反対方向へ逃げ出した。高性能なテスラを駆れば大人を出し抜くこともできたが、生身の7歳の足では、屈強な警察官に敵うはずもなかった。あっという間に距離を詰められ、大きな影がルイの小さな体を覆い尽くす。すぐに大柄なボブが追いつき、まるで逃げ惑う子猫を捕まえるように、ルイの腕をがっしりと掴んだ。

「うわっ!放せ!なんで捕まえるんだよ!僕は何も悪いことしてない!事故も起こしてないだろ!😠」

ルイは全身をバネのように使って抵抗し、ボブの腕から逃れようと暴れた。しかし、その小さな力では大柄なボブには通じない。周囲の家族連れが何事かと遠巻きにこちらを見始め、ざわめきが広がる。「まあ、どうしたのかしら」「警察に捕まるなんて、あの子何をしたの?」。楽し気なレゴランドの音楽とは不釣り合いな光景に、好奇と不安が入り混じった視線が突き刺さる。 これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかないと判断したボブは、ふっと息を吐くと、抵抗するルイをひょいと小脇に抱え上げた。まるで父親が駄々をこねる我が子を運ぶような手つきだが、ルイはボブの腕の中で魚のように体をしならせ、足をばたつかせて抵抗を続ける。「助けてー!この人たち、警察官の格好をした誘拐犯だ!僕をどこかに連れていくつもりなんだ!誘拐だー!😱」その剣幕は、まるで追い詰められた野生動物のようだった。

「なっ…誘拐犯だと!?こいつ…!🤯」 ボブの同僚の若い警官が思わず声を上げる。ボブも一瞬、言葉に詰まった。子供の突拍子もない嘘だと頭ではわかっている。しかし、周囲の野次馬たちの視線が一層厳しくなったのを感じ、背中に嫌な汗が流れた。ボブは内心(やれやれ、アライグマよりたちが悪いぜ)とため息をつきながらも、その小さな体を傷つけないよう、しかし逃げられないよう、しっかりと、だが優しく抱きかかえ続けた。

「落ち着きなさい、坊や。逮捕じゃない。保護だと言っているだろう。君はまだ小さい。車の運転は、君が思っているよりずっと危ないんだよ。わかるかい?🙂」

ボブは諭すように言った。しかし、興奮と恐怖でいっぱいのルイの耳には届かない。 「うるさい!嘘つき!警察官なんてみんな嘘つきだ!刑務所に入れるつもりだろ!放せー!😫」

その金切り声は、レゴランドの楽し気なBGMにかき消されることなく、周囲の注目を集め続けた。

「君のお父さんかお母さんに連絡して、迎えに来てもらいたいだけなんだ。さあ、お名前を教えてくれるかな?🏠」

ボブが腕の中のルイの顔を覗き込むと、ルイはぷいっと顔をそむけ、唇を真一文字に結んで頑なに口を閉ざした。その青い瞳は、決して屈しないという強い意志で燃えていた。絶対に名前なんて教えてやるものか。ダッドに知られたら、もう二度とテスラを運転させてもらえなくなるかもしれない。それだけは、絶対に嫌だった。

ボブは困り果てた。この賢くて意地っ張りな少年をどう扱ったものか。ふと、隣でわんわん泣いているもう一人の少年に目が留まった。ボブはルイを抱いたまましゃがみこみ、マイケルと視線を合わせる。

「やあ、坊や。怖かっただろう。もう大丈夫だよ。🙂」

ボブの優しい声に、マイケルは少しだけしゃくりあげるのをやめた。

「君のお友達、すごく運転が上手だったね。でも、やっぱり危ないから、お家に帰してあげたいんだ。彼の名前、教えてくれるかな?君の名前もね。」

ボブは、まるで秘密の相談を持ち掛けるように、静かに尋ねた。マイケルは、親友のルイと、目の前の優しい警察官の顔を交互に見た。ボブの腕の中で、ルイが鋭い視線で「言うなよ!」と目で訴えている。マイケルの小さな心は、友情と罪悪感の間で激しく揺れ動いていた。恐怖と、ルイへの申し訳なさで、唇が震える。

ついに、マイケルはしゃくりあげながら、途切れ途切れに言葉を絞り出した。 「…ご、ごめんなさい、ルイ…ごめんなさい…😭」 そして、ボブに向かって、ほとんど聞き取れないような声で囁いた。 「彼の名前は…ルイ・フォン・ケスラー…です…。」

その名前を聞いた瞬間、ボブの眉がぴくりと動いた。フォン・ケスラー? 移民の歴史に少し詳しいボブは、苗字の前の「フォン」が、ドイツの古い貴族階級を示す言葉であることを知っていた。ただの金持ちや名家とは訳が違うかもしれない。厄介なことになった、とボブは直感した。

しかし、それ以上に劇的な変化を見せたのは、ボブの腕の中にいたルイだった。 さっきまでの激しい抵抗が嘘のように、ぴたりと動きを止める。裏切りという言葉の意味を、7歳のルイはまだ正確には知らない。しかし、今、自分の身に起きたことが、それに限りなく近いことだとは理解できた。たった一人の共犯者、唯一の味方だと思っていた親友が、自分を「売った」のだ。

「…マイケル…」

か細い、絞り出すような声だった。ボブの腕の中で、ルイはゆっくりとマイケルの方を向く。その美しい青い瞳から、先ほどまでの挑戦的な光は消え失せ、深い絶望と、信じられないものを見るような色が浮かんでいた。今まで燃え盛っていた炎が、冷たい水を浴びせられて一瞬で消されたようだった。

「…うそつき…」

その小さな呟きは、誰の耳にも届かなかったかもしれない。しかし、ルイの世界では、何かが音を立てて崩れ落ちていた。ルイの体からふっと力が抜け、ぐったりとボブの腕に全体重を預ける。もはや抵抗する気力も残っていないようだった。

ボブは、腕の中の小さな少年のあまりの変わりように、思わず息をのんだ。これはまずい。彼はすぐに無線機を手に取った。 「こちらミラー。保護した少年の名前はルイ・フォン・ケスラー。ナンバー『8K2-LOU』の所有者情報と照合し、至急保護者に連絡を頼む。父親の名前はジョン・フォン・ケスラーのはずだ。状況を説明し、現場に来るよう伝えてくれ。急いでくれ!👮‍♀️」

父親の到着と息子の反論

それから20分ほどが経っただろうか。レゴランドの駐車場に、一台のパトカーが猛スピードで滑り込んできた。後部座席のドアが勢いよく開き、長身の男が転がり出るように降りてくる。上質なシャツは乱れ、いつも完璧に整えられている髪もくしゃくしゃだ。その顔には、怒りと安堵と、そして深い心労が複雑に刻まれている。ジョン・フォン・ケスラーだった。

ジョンは、ボブに逃げられないように腕をつかまれながらシュンとしている息子の姿を認めると、血相を変えて駆け寄った。 「ルイ!大丈夫か!?怪我は!?」

その声に、ルイの小さな肩がびくりと震える。しかし、顔を上げることはない。

ジョンは、息子の無事(少なくとも外傷はないこと)を確認すると、次の瞬間、安堵は凄まじい怒りへと変わった。彼はルイの前に仁王立ちになると、雷のような声を轟かせた。 「ルイ・フォン・ケスラーッ!!一体全体、何を考えているんだ!お前は自分が何をしたかわかっているのか!?😡」

その怒声に、周囲の野次馬だけでなく、ボブたち警察官さえもが息をのんだ。それはただ子供を叱る声ではなかった。心の底からの恐怖と、裏切られたという絶望が入り混じった、父親の悲痛な叫びだった。

「車を盗み、パトカーから逃げ回り、お前とマイケル君をどれほど危険な目に遭わせたか!一歩間違えれば死んでいたかもしれないんだぞ!わかっているのか!?😠」

ジョンはルイの肩を掴み、無理やり顔を上げさせた。その時だった。今まで絶望に打ちひしがれていたルイの瞳に、再び反抗の光が宿ったのは。彼は涙をぐいっと袖で拭うと、父親の手を振り払い、驚くほど冷静で、はっきりとした声で言い放った。

「死んだりしないよ!だって僕は運転が上手だもの!ダッドもいつもそう言ってたじゃないか!それに、誰にもぶつけてないし、何も壊してない!パトカーにだって傷一つないはずだ!だったら、何が問題なんだい!?😠」

7歳の子供とは思えない理路整然とした主張に、ジョンは一瞬言葉を失った。ボブや他の警官たちも、あっけにとられて顔を見合わせる。確かに、この少年が引き起こした混乱の結果として、物的損害も人的被害も出ていないのは事実だった。

「それに…」ルイは続けた。「法律は人を守るためにあるんだろ?僕は誰も傷つけていない。だったら、僕を捕まえるのは間違ってる!これは不当逮捕だ!😤」

どこで覚えたのか、大人びた言葉を並べ立てる息子に、ジョンは怒りを通り越してめまいがした。ボブは、このとんでもなく賢い少年に半ば感心しながら、咳払いをして割って入った。

「フォン・ケスラーさん。息子さんの言うことにも…まあ、一理ないとは言えません。幸いなことに、今回は物損も人身もありませんでした。前代未聞の事件ではありますが、今回は厳重注意ということで、事を収めたいと思います」 ボブはそこで言葉を切り、今度は厳しい目でジョンを見た。 「ただし!あなたにも監督責任があります。車のキーの管理は、今後は徹底していただきたい。二度とこのようなことがないように!いいですね?🤨」

「…はい。肝に銘じます。この度は、本当に申し訳ありませんでした…」 ジョンは深く頭を下げた。公的な追及がなくなったことに心の底から安堵したが、息子への怒りが消えたわけではない。

彼はボブからルイを受け取ると、その小さな体を地面に立たせた。そして、まだしゃくりあげているマイケルと、ふくれっ面でそっぽを向いているルイの腕を、それぞれガシッと掴んだ。 「帰るぞ!話は家でじっくり聞かせてもらうからな!😠」

有無を言わせぬ力で、ジョンは二人の子供を引きずるようにして、黒いテスラへと向かった。ルイは最後まで抵抗するように足を踏ん張り、父親を睨みつけていた。その瞳は、まだ少しも負けてはいなかった。大冒険は終わったが、フォン・ケスラー家の嵐は、まだ始まったばかりだった。

★★★読んでくれてありがとう!★★★
今回のお話、いかがでしたでしょうか?🥳
最後までお付き合いいただき、本当に嬉しいです!😆🙌

私は、少年たちがふと見せる、大人びた表情😎や、子供らしい無邪気さ😇が混在する一瞬に、どうしようもなく惹かれます。
そんな彼らの世界を、これからもどんどんお届けしていきますね🚀

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