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医療保険は健保を軸に-準用の地図

はじめまして。社労士試験の学習サポート「合格伴走」を運営している、tetsu(てつ)と申します。
このnoteでは、受験生がつまずきやすい論点を「丸暗記せず、理由から理解する」やり方で整理しています。

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受験生の方が、こんなことを書いていました。

「後期高齢者医療制度、国民健康保険法、船員保険法で見たことない問題が出ても、だいたい健康保険法を準用してることが多い。だから健康保険法をしっかり理解することはかなり重要だと思う」

すごくいい勘だと思いました。それで、本当にそうなのか、条文で確かめてみました。

(「準用」というのは、よその法律のルールをそのまま借りて使う、くらいの意味です。ここでは「健保法のルールを、そのまま国保や後期高齢でも使う」ということ。)

結論から言うと、方向は正しいです。ただ「全部が健保法の準用」ではなくて、健保にそろえてある部分と、各法で独自の部分に、きれいに分かれます。ここを分けられると、初見の問題に強くなります。

まず、いちばん大事な1行

医療の「中身」は、法律をまたいで健保法にそろえてあります。制度の「骨組み」は、各法でバラバラです。

「中身」というのは、どんな治療を受けられて、病院がどういうルールで診療して、いくら請求するか、という部分。ここは、健保でも国保でも後期高齢でも、患者から見てバラバラだと困りますよね。だから国が「そこは健保法のルールを使いなさい」と各法に書いています。

「骨組み」というのは、だれが運営して(保険者)、だれが入って(被保険者)、保険料をどう集めるか、という部分。ここは制度ごとに事情が違うので、各法で独自に決めています。

「中身は健保にそろえてある」の、条文の裏づけ

ここが今日いちばん確かめたかったところです。ちゃんと条文に書いてありました。

国民健康保険法 第40条。保険医療機関(保険がきく病院や薬局)やお医者さんが、国保の療養の給付(病院で受ける医療そのもの)を担当するときのルール、つまり診療の方針や診療報酬(かかったお金をいくら払うか)は、健康保険法第70条第1項・第72条第1項の省令の例による、と書いてあります。かんたんに言うと「診療の中身と値段のルールは、健保と同じものを使ってね」です。

高齢者医療確保法(略して高確法)第71条。後期高齢者医療についても、同じしくみで、健保法のルールを使うことになっています。

船員保険は、この3つの中で健保にいちばん近い制度です。もともと会社員の健保にあたる部分なので、給付の多くが健保法をなぞる作りになっています(準用や、健保と同じ内容の規定が多い)。

だから、療養の給付の中身、保険医療機関の診療方針、診療報酬このあたりの「見たことない問題」は、健保法の知識でだいたい解けます

ここは各法で独自、という部分

一方で、健保をいくら勉強しても出てこない部分があります。制度の骨組みです。

だれが運営するか(保険者)。国保は市町村と都道府県、後期高齢は広域連合、船員保険は協会けんぽ。バラバラです
だれが入るか(被保険者・対象者)。ここも各法で独自です
・保険料をどう決めて、だれが払うか。財政のしくみ。ここも各法バラバラです
・独自の給付。たとえば船員保険には、行方不明手当金のような、船の仕事ならではの給付があります。健保にはありません

このあたりを健保の感覚で解こうとすると、逆に間違えます。

ひっかけに1つだけ注意

「全部、健保法の準用でしょ」と丸めてしまうと、危ないところが1つあります。

後期高齢者医療制度は、独立した制度です。75歳になると、それまで入っていた健保や国保をいったん脱退して、後期高齢者医療に移ります。健保の一部でも、国保の一部でもありません

準用しているのは、あくまで「診療の中身のルール」など一部であって、制度そのものが健保にぶら下がっているわけではない。ここは分けて押さえてください。

初見の問題が出たときの、頭の動かし方

・まず「これは医療の"中身"の話か、制度の"骨組み"の話か」を見分ける
・中身(療養の給付・診療方針・診療報酬)なら → 健保法の知識で解ける
・骨組み(保険者・被保険者・保険料・独自給付)なら → その法律の個別知識

この振り分けができると、見たことない条文でも、あわてなくなります。

ここまでのまとめ

・医療の中身は健保法にそろえてある(国保法40条・高確法71条が、健保法の例によると明記)
・制度の骨組みは各法で独自。後期高齢者医療は独立した制度
・初見問題は「中身か、骨組みか」で振り分ける

健保法をしっかり固めることが土台になる、という受験生の勘は、条文で見ても正しかったです。

(出典)
・国民健康保険法 第40条(療養の給付の担当の準則=健康保険法第70条第1項・第72条第1項の省令の例による)(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192
・高齢者の医療の確保に関する法律 第71条(療養の給付の担当の準則)(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/357AC0000000080
・健康保険法 第70条・第72条(保険医療機関の療養担当・保険医の診療方針)(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070
・船員保険法(療養の給付・傷病手当金ほか。健保に近い給付構成)(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/314AC0000000073

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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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