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選んだつもりで、選ばされていたーカルト支配・私が私でなくなるまでー(23) 前半・最終章

    光の届かない場所②

ーーアダム・エバで離れた者は、大変な茨の道を行く事になる。これまでに離れたカップルで幸せに暮らしている者はいない。

教会で散々言われ続けて来た。
だから苦労があるのは覚悟していた。
辛い出来事があれば、これは私に課せられた罰だと捉えた。



既成祝福を受けたのち、私たちは教会の巡回師という、高い立場にある女性との面接を受けた。

どういう経緯で駆け落ちに至ったのか、神様やメシヤに対してどう感じているのか、原理の教えを破った罪を自覚しているのか。
そして、一線は越えていないものの、どのような行為に及んでいるのかを詳しく聞かれた。

『安室さんのお母さんは熱心な実践婦人なのよ。それなのに、どうしてこの人に手を出したの⁉︎』

巡回師が真田を問い詰めた時、彼はただ俯いていた。

違う!二人で決めた事。
それに私の方が悪い。真田には信仰生活に於ける、何の落ち度もなかった。
それに、いつまでも母と私をセットで考えないで欲しい。信仰感も考え方も違う、それぞれ別の人間なんだから。

私たちはご父母様の前に相当な罪を犯したという事で、恩赦という赦しを受けねばならなかった。
断食などの神に帰るための条件を立てたが、統一教会に於いて最も底辺の罪人であるという認識が染み付いた。



ある晩、夜遅くなっても真田が帰って来なかった。
私は心配と不安で胸がはち切れそうだった。
まだ固定電話も引けていなかったので、連絡の取りようがない。
私は震える体を自分で抱きしめ、縮こまって帰りを待った。

パチンコをして来たと言う。
機嫌が悪かった。

それから真田は仕事の後、休みは開店から閉店までパチンコに明け暮れた。
私は何もない狭い部屋で帰りを待つのが辛くて、真田が仕事から帰る時分から、駅の改札口で待ち続けた。
毎日毎日、いつ出て来るかもわからない真田を、一本一本電車を窓から見送りながら3〜4時間立ち尽くした。



勝共連合の方にも、何の説明もしない訳にはいかなかった。

実家に、一緒に活動していた勝共の女性が訪ねて来た。私も同席し、これまでの過程や今後の考えなどを話した。

母は、誰々さんは韓国の人とマッチングされた、誰々は日本人だった、など聞きたくもない情報を提供してくれた。

「美紀、学生部の時須田さんていたでしょ。薬剤師になって一心病院(教会運営の病院)で働いてるんですって。日本人のお医者さんと祝福受けたらしいわよ」

須田姉が心配して電話をくれたらしい。


もう…
心配とか、うるさい。


孤独な時、私は母に頼りたかった。でも、どんな試練や苦労も甘んじて受けると啖呵を切って駆け落ちした手前、絶対に弱音は吐けなかった。
真田がパチンコに興じている事も絶対に知られる訳にはいかなかった。


母は所属教会を通じて最寄りの教会に復帰出来ないか手配をしてくれたが、問題のあるカップルは受け入れられないと拒絶された。

どうやら私たちは教会に戻るのも難しいらしい。
私は構わなかった。そんな惨めな思いをしてまで戻りたくない。
それでも真田のために、いつかは教会の敷居を跨がなければ…。



母の教会に名前だけ所属し、私たちは必死に働いた。
真田は早朝の牛乳配達や、バキュームカーでの回収の仕事もした。
真田の現実逃避は続いていたけれど、家庭を出発するための家庭修練会に参加してから、私たちは本当の夫婦としてスタートした。



「もう一度、移動販売をやってみようかな。一心天助で営業のノウハウはわかってるし、お客さんを開拓して。どうかな」
「うん!いいと思う!私も手伝うから、やろう」



ほんの少し、今後の見通しと希望が見えてきた。



そして同じ頃、私は新しい命を授かった。
こんな親だけど、生まれて来る子は原罪の無い祝福二世。
しっかり生きなければと、お互いの心にギュッと引き締まる喜びを感じていた。


        *****


前半、最後までお付き合い頂き、本当に有難うございました☺️

次回から少しタイトルが変わり、後半がスタートします。後半は前半の半分くらいです。
ここまで読んで下さった方は続けてお読み下さい。
初めて読んで下さる方も増えましたので、改めて「はじめに」というご挨拶も次回同時に投稿させて頂きます😌

今後とも宜しくお願い致します🙇


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