痛風発作ゼロを目指すなら知っておきたい8つの食事ルール
「また、あの激痛が来たらどうしよう……」
痛風を経験した人なら、この不安がよくわかると思います。
私が、初めて、痛風発作を経験したのは、29歳のときでした。左足の親指の付け根が、真っ赤に腫れ上がり、歩くことさえ苦痛になるほどの痛みでした。
それから長い間、痛風と付き合うことになります。
しかし、食生活を見直していくうちに、私は、一つのことに気づきました。
痛風対策は「プリン体の多い食品を避ける」だけでは足りない。
むしろ、大切なのは、毎日の食事全体を整え、尿酸値が上がりやすい生活を少しずつ変えていくことです。
痛風は、血液中の尿酸が増え、尿酸塩結晶が関節に蓄積することで、発作につながります。日本整形外科学会も、暴飲暴食や肥満などが、高尿酸血症の要因になり得ると説明しています。
この記事では、私自身の経験も踏まえながら、「痛風発作ゼロ」を目指すために意識したい8つの食事ルールを紹介します。
難しい方法ではありません。
今日の夕食から変えられることばかりです。
※食生活を改善すれば、必ず痛風発作がゼロになる、という意味ではありません。痛風では、尿酸値や腎機能の検査、必要に応じた薬物治療も重要です。治療中の方は、自己判断で薬を中止せず、主治医の指示を優先してください。
第1章 痛風対策は「何を食べるか」より「どう食べるか」
痛風というと、
「レバーは禁止」
「魚卵はダメ」
「ビールだけやめればいい」
といった食品単位の話になりがちです。
もちろん、プリン体は重要です。
しかし、現在の痛風管理では、プリン体だけでなく、アルコール、果糖、体重、総エネルギー摂取量などを総合的に見ることが大切だとされています。米国リウマチ学会も痛風患者に対し、アルコール、プリン体、高果糖コーンシロップの摂取を抑えることを条件付きで推奨しています。
だから、私は、
「一つの食品を怖がるより、毎日の食べ方を変える」
という考え方をおすすめします。
ここから具体的な8つのルールを見ていきましょう。
第2章 まず守りたい3つの基本ルール
ルール1 水分不足を避ける
最初に、意識したいのが水分です。
特に、暑い日、運動後、入浴後、飲酒時などは脱水に注意します。私が初めて、痛風発作を起こした日も、暑い夏の8月の明け方でした。水もあまり飲んでいなかったと思います。
高尿酸血症・痛風の食事指導でも、腎機能に応じた適切な飲水が勧められています。尿路結石予防の観点でも、水分摂取は重要ですが、腎臓病などがある場合には、水分量の調整が必要です。
私の場合は、水やお茶を中心に、こまめに飲むことを習慣にしました。
ポイントは「夜にまとめて飲む」のではなく、
朝
食事の前後
外出時
入浴前後
など、少量ずつ分けることです。
ただし「全員が1日○リットル飲めばいい」という話ではありません。心臓や腎臓の病気で、水分制限を受けている人は、必ず医師の指示を優先してください。
ルール2 お酒は「プリン体ゼロ」でも安心しない
「プリン体ゼロのビールなら大丈夫」
そう考える人もいるかもしれません。
しかし、ここには注意が必要です。
問題になるのは、飲料中のプリン体だけではありません。アルコールそのものが、尿酸代謝に影響するため、痛風・尿酸財団も、アルコール飲料では、プリン体量だけでは判断できないと説明しています。
NICE(英国国立医療技術評価機構)も、過度な飲酒は、痛風発作や症状を悪化させる可能性があるとしています。
つまり、
「何を飲むか」以上に「どれだけ飲むか」
が重要です。
休肝日を作る。
飲む量を減らす。
水や炭酸水に置き換える。
こうした小さな工夫のほうが、長く続きます。
ルール3 甘い飲み物を習慣にしない
意外に、見落としやすいのが、
ジュース
清涼飲料水
加糖コーヒー
甘い炭酸飲料
果糖を多く含む飲料
です。
果糖の過剰摂取は、血清尿酸値に影響し得るため、甘味飲料や果物ジュースの摂りすぎを避けることが勧められています。
「ビールはガマンしているのに、毎日、ジュースを飲んでいる」
では、せっかくの努力がもったいありません。
まず、飲み物を、
水・無糖のお茶・無糖のコーヒーなどを中心にする。
これだけでも、食生活は大きく変わります。
第3章 プリン体との上手な付き合い方
ルール4 高プリン体食品は「禁止」ではなく「食べすぎない」
痛風になると、
「肉も魚も食べられないのでは?」
と不安になる人がいます。
しかし、極端な制限はおすすめできません。
公益財団法人 痛風・尿酸財団では、ガイドラインに基づき、プリン体摂取量を1日400mg程度にすることが目安として紹介されています。レバー、白子、一部の魚介類などは、プリン体が多いため、量と頻度に注意する考え方です。
大事なのは、
「絶対禁止」
ではなく、
「大量に、何日も続けて食べない」
こと。
高プリン体食品だけを恐れるより、食事量全体を適量にするほうが現実的です。
ルール5 「汁」にも注意する
これは、意外に知られていません。
プリン体は、水に溶ける性質があるため、高プリン体食品を煮た場合、その一部が煮汁へ移ります。痛風・尿酸財団でも、高プリン体食材の煮汁を飲み干さないことが、摂取量を抑える一つの方法として、紹介されています。
たとえば、
ラーメンのスープ
鍋の残り汁
肉や魚の濃厚な煮汁
を毎回、すべて飲み干す習慣がある人は、「残す」という選択肢もあります。
小さなことですが、毎日の積み重ねです。
第4章 痛風対策では「食べすぎない」が強い
ルール6 腹八分目を基本にする
私が、食生活を変えるうえで、特に大切だと感じたのが、食べすぎないことでした。
「健康に良い食品を追加する」ことばかり考える必要はありません。
むしろ、
大盛りを普通盛りにする。
おかわりをやめる。
夜食を減らす。
満腹になる一歩手前で終える。
このほうがシンプルです。
肥満や体脂肪率の上昇は、血清尿酸値と関連し、適正なエネルギー摂取や体重管理は、高尿酸血症の生活指導の重要な要素とされています。
NICEも、過体重や肥満が、痛風発作や症状を悪化させる可能性があるとしています。
ただし、短期間で、極端に体重を落とそうとする必要はありません。
「一生続けられる量に少しずつ戻す」
くらいが現実的です。
ルール7 野菜・大豆食品・乳製品などを組み合わせる
「痛風に悪いものを避ける」だけでは、食事は苦しくなります。
そこで、私は、
何を減らすかと同時に、何を食べるか
を考えることが重要だと思っています。
たとえば、
野菜
海藻
豆腐
納豆
卵
魚
適量の肉
乳製品
などを組み合わせる。
高尿酸血症の食事指導では、野菜や低脂肪乳製品などを取り入れたバランスのよい食生活が参考になります。乳製品、特に、低脂肪乳製品については、痛風リスク低下との関連を示す報告も紹介されています。
「これだけ食べれば痛風にならない」という魔法の食品はありません。
多様な食品を適量食べる。
結局、この基本が強いのです。
第5章 最後のルールは「記録する」こと
ルール8 食事だけでなく尿酸値を確認する
ここが最も重要です。
「最近、発作がないから大丈夫」
とは限りません。
痛風の原因となる尿酸塩結晶は、症状がない期間にも問題になることがあります。
米国リウマチ学会では、尿酸降下療法が必要な痛風患者について、血清尿酸値を6mg/dL未満に維持する治療目標を強く推奨しています。
したがって、
体重
飲酒量
食事内容
発作の有無
尿酸値
を定期的に確認する。
これが「感覚だけの痛風対策」から抜け出す方法です。
私は、痛風対策で、最も危険なのは、
「痛くなくなったから治った」
と思ってしまうことだと考えています。
食事改善は大切です。
しかし、食事は治療の一部。
必要な人には、薬物治療も重要です。自己判断で、尿酸降下薬を中止せず、定期的な血液検査を受けながら医師と相談してください。
まとめ 痛風発作ゼロへの近道は「完璧」ではなく「毎日の8ルール」
今回、紹介した8つをまとめます。
水分不足を避ける
アルコールを減らす
甘い飲み物を習慣にしない
高プリン体食品を食べすぎない
煮汁やスープを飲み干さない
腹八分目を意識する
野菜・大豆食品・乳製品などを組み合わせる
食事だけでなく尿酸値も確認する
痛風対策は、1日だけ、完璧な食事をすることではありません。
100点の食生活を3日続けるより、70点の食生活を1年続ける。
私は、そのほうが大切だと思っています。
私自身、長年、痛風と付き合ってきたからこそ、「食べてはいけないもの」を数える生活よりも、無理なく続けられる習慣を一つずつ増やすことを重視するようになりました。
今日から、全部変える必要はありません。
まずは、
「甘い飲み物を水にする」
「夕食を腹八分目にする」
「ラーメンのスープを残す」
その一つで十分です。
小さな選択を365日積み重ねれば、食生活は、大きく変わります。
そして、発作への恐怖に振り回される毎日から、少しずつ距離を取れるようになります。
私のnoteでは、これからも、痛風と長く付き合ってきた実体験、食生活の見直し、糖質を摂りすぎない工夫、少食を無理なく続ける考え方などを発信していきます。
「次の痛風発作をできるだけ遠ざけたい」
そう思っている方は、関連記事も、ぜひ、続けて読んでみてください。
参考資料
日本整形外科学会「痛風」では、痛風の原因、症状、検査、治療について一般向けに解説されています。
公益財団法人 痛風・尿酸財団では、食品・飲料中のプリン体含有量や1日400mg程度という摂取目安が紹介されています。
American College of Rheumatology(米国リウマチ学会)の患者向け情報では、食事・生活習慣と薬物療法を組み合わせた管理、血清尿酸値の治療目標について解説されています。
NICEの痛風診療ガイドラインでは、体重管理や過度の飲酒についての生活指導が示されています。
