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私はそんなに優しくない:第11話|家庭は愛だけでは回らない

家庭は、愛だけでは回らない。

昔は、もう少し違うものだと思っていた。


好きだから一緒にいる。
支え合う。
思いやる。

そういうものが積み重なって、
家庭になるのだと思っていた。


もちろん、それもある。

でも実際は、
もっと生活だった。


洗濯。
ご飯。
保育園の準備。
お金。
時間。
体力。

毎日、小さいタスクが流れてくる。

終わっても、また来る。


ある日の夜。

私は洗濯物を畳んでいた。

夫は子どもを見ていた。

それだけの光景。

でも、そのとき思った。

「ああ、今うちは回ってるな」


愛を感じたわけじゃない。

連携に近かった。


家庭って、
感情だけで維持できるものじゃない。

誰かが動いて、
誰かが支えて、
なんとか回っている。


しかも、その“なんとか”は、
だいたい見えにくい。


名もない作業。

トイレットペーパーを替える。
保育園のプリントを見る。
サイズアウトした服を片付ける。

やらなければ困る。

でも、
やっても拍手はない。


前は、その見えなさに不満があった。

なんで気づかれないんだろう。
なんで私ばっかり。


でも今は、少し見方が変わった。


家庭って、
誰かが完璧だから回るんじゃない。

足りないところを、
その日動ける人が埋めているだけ。


もちろん偏る日もある。

私ばかり動いている日もある。

逆の日もある。


完全に平等にはならない。

だからこそ、
愛だけで考えると苦しくなる。


家庭は、
もっと地味なものだった。


今日も、
洗濯物は出るし、
ご飯も作る。

特別なことはない。


でも、その繰り返しで、
一応ちゃんと暮らしている。

それで十分だと思っている。

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