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空気が読めない…

ぼくが好きになる女の子には、決まって彼氏がいた。

ぼくだって、彼氏がいるのを知っていて好きになったわけではない。
好きになってから、彼氏がいるということに気付かされる。

何気ない会話から始まって、徐々に打ち解けてきて、
お互い冗談を言い合ったり、悩み事を相談したりして、
そのうちふたりでお茶しに行くようになった頃、
突然、彼氏の話しを持ち出される。

んんっ?

隠しきれない動揺を、必死で隠してみる。
しかし、そんなことはすぐに見透かされてしまう。

「あっ、彼氏のこと話してなかったけ?」

あっけらかんと、そう言われると、こちらとしてもどう答えればよいのかわからない。

「うん、知らんかった」

ちょっと不貞腐れながら、そう答えるしかなかった。

「もう、知ってるもんだと思ってたから」
と、彼女は笑っている。

ぼくはいつもそうだった。
場の空気とか、表立って見せない人間関係だとかを読み取る能力に欠けていた。
周りの人たちが、なんとなく勘づいている事に、ぼくは気づくことができなかった。
だから、しばしばみんなの会話の内容が理解できなかったり、ぼくがなんとなく言った言葉で場が凍りついたりもした。

どうすれば、場の空気や人の言葉の裏を読み取ることができるようになるのだろう?
自然と身につくものなのだろうか?
そのような特殊能力を身につけられるものなら身に付けたいとさえ思う。
しかし、誰もその方法を教えてくれる人はいない。
「だって、自然とわかるじゃん、そのくらい」
そう言われるだけだ。

自然とわかるんだ。そういうこと。

そんな経験をした頃から、もう数十年経っている。
しかし、いまだにぼくにはその能力を身につけることができないまま、相変わらず、ひとり仲間に入れずにいる。

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