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第5回「気胸の「予感」を言語化する——あの感覚、伝わりますか」

気胸を経験したことがある人なら、きっとわかると思います。「あ、またかもしれない」という感覚。

大きな痛みでも息苦しさでもないのですが、確実に「何かおかしい」とわかる、あの感覚です。

私は気胸を5回以上経験しました。最初の頃はその感覚に気づいても信じたくなくて、しばらく見て見ぬふりをしていたこともあります。でも繰り返すうちに、「これは気胸だ」と自分でわかるようになっていきました。

今回は、その「気胸の予感」を言語化してみます。


前かがみになるとぽこぽこする

気胸を繰り返していなければ見過ごしてしまうような、本当に小さな感覚です。前かがみになったとき、右胸のあたりに「ぽこっ」と空気が動くような、泡が弾けるような感触がある。

うまく説明するのが難しいのですが、肺の中にピンホールのような小さな穴の開いた空気の袋があり、その穴は普段閉じているのですが、特定の体勢をとったときに袋に圧力がかかって、中の空気がぽこっぽこっと少しずつ漏れ出てくるような感覚、とでも言えばいいでしょうか。

最初の気胸ではこれが何なのかわかりませんでした。でも2回目以降は「あ、これだ」とすぐにわかるようになりました。気胸が起きているとき特有の感覚です。


肺の表面がゆるくなるような感覚

気胸を何度も繰り返すうちに、胸の中で肺の表面がゆるんでいるような、ふわっとした感覚が出ることがありました。うまく言葉にするのが難しいのですが、肺がしっかり膨らみきっていないような、表面がたわんでいるような感じ、とでも言えばいいでしょうか。

後から思えば、これも気胸のサインだったのだと思います。手術の際に担当医に確認していただいたところ、同じ箇所で何度も繰り返し穴が開いていた可能性が高いとのことでした。繰り返し気胸になるたびに同じような場所にぽこぽこやゆるみを感じていたのは、それが原因だったのではないかと考えています。


歩くと胸がズキズキ痛む

これは毎回出るわけではありませんでしたが、動いたときだけ痛みが出ることがありました。

安静にしているときは何ともなく、呼吸も普通にできます。ところが少し歩いたり体を動かしたりすると、右胸がズキズキと痛み始めて、早歩きができなくなります。「なんで歩いているだけでこんなに痛いんだろう」と不思議に思いながら、いつもよりゆっくりとしか歩けない——そんな日がありました。

ただし、すべての胸痛が必ずしも気胸とは限らないこともわかりました。カバーリング手術後にも同じような胸痛があり、「また気胸かもしれない」とドキドキしながら近所のクリニックでレントゲンを撮ってもらったところ、肺は萎んでおらず、逆流性食道炎だろうと診断されたことがありました。それ以来、「このタイプの痛みは気胸ではないな」と区別できるようになりました。経験を重ねるうちに、気胸由来の痛みとそうでない痛みの違いが少しずつわかってきた、ということだと思います。


肩から背中にかけての重だるさ

これも毎回出るわけではありませんでしたが、気胸のときに肩こりのような症状が出ることがありました。

右の肩から背中にかけてが重だるく、いつもの肩こりとも少し違う鈍い重さがある。肩をほぐしても取れない、何となくすっきりしない感じです。「最近肩こりがひどいな」と思っていたら気胸だった、ということが何度かありました。

気胸特有の症状として知られているわけではありませんが、私の場合は他の症状と重なって出てくることが多かったです。


右を下にして眠れない

右肺が気胸になっているときは、夜、横になろうとすると右側を下にできません。

右を下にすると、胸腔の中の空気が圧迫されて苦しくなるような感覚があって、自然と左向きか仰向けになります。右肺に少しでも圧迫をかけると、さらに空気が漏れてしまうような気がして——他の臓器が重力で肺を押すことすら怖い、という感じがします。

この感覚は、病院でレントゲンを撮って肺が萎んでいることを確認したあと、安静で治るのを待っている時期によく出ていました。中等度レベルで空気が漏れているとき特有の苦しさだったと思います。


お風呂に入ると胸の中が重い・苦しい

入浴のときも、同じような感覚が出ることがあります。

湯船に浸かったとき、胸の中が圧迫されるような苦しさがある。担当医からは「水圧でお腹が押されて横隔膜が上がり、肺が押されるからかもしれない」と説明されました。入浴時にこの感覚が出ることが多かったので、リラックスしようと思ってお風呂に入ったのに、結局ゆっくり浸かれずに早く上がらざるを得ない——そんなことが何度もありました。


エヘンエヘンと込み上げてくるむせ込み

これが一番「気胸あるある」だと思っているのですが、独特のむせ込みがあります。

咳というほどではない、でもエヘン虫が取れないような、軽い咳払いが繰り返し出てくる。声を出そうとするとむせる。しゃべっていると途中でむせて言葉が詰まる。

このむせ込みは気胸が発生してから肺が完全に治るまで続くイメージです。発症直後だけではなく、ドレナージ中も、退院してからしばらくも続いていました。なかなか人に理解してもらいにくい症状で、しゃべるたびにむせるので会話がままならず、地味につらかったです。


意外にも、息苦しさはほとんどなかった

びっくりされるかもしれませんが、気胸中に強い息苦しさを感じたことはあまり多くありませんでした。

安静にしている限りは呼吸がいつもとほぼ変わらない。気胸になっていない方の肺は正常に機能しているために、そちら側が頑張って補完しているのだと思います。

息苦しさを感じたのは、主に運動したときでした。一度テニスのレッスン中に「なんか動きが鈍いな、息が続かないな」と感じていたら、後で気胸だったとわかったことがあります。

「気胸=息苦しい」とイメージしている方も多いと思います。でも少なくとも私の場合は、大きな息苦しさよりも、ここまで書いてきたような小さな感覚の積み重ねの方が、気胸を知らせるサインとして機能していました。


「気胸かどうか」が自分でわかる感覚

経験を重ねると、「これは気胸だ」「これは気胸じゃない」という判断が自分なりにできるようになってきます。

ぽこぽこ感がある、肺がゆるんでいる感じがする、歩くと胸が痛む、肩が重だるい、右を下にできない、お風呂で胸が苦しい、むせ込む——これらが重なっているとき、私の体はほぼ確実に気胸を起こしています。逆に息苦しさはあまりなく、安静にしていれば普通に過ごせてしまうことも多いので、油断しがちなのが怖いところです。

もちろん自己判断は禁物で、必ず病院に行く必要があります。ただ「あ、やばいかも」という感覚が磨かれてくるのは、経験したくて経験したわけではないけれど、確かに積み上がってしまったものがある——そう思います。複数回気胸を経験した方は、似たような感覚に心当たりがあるのではないでしょうか。


気胸の予感に気づいたらすること

症状の重さによって対応は変わりますが、「あれっ」と思ったらまず安静にして、病院に連絡することが大切です。私の場合、担当医から「いつもと違う感覚があったら、我慢せずに早めに来てください」と言われていました。

それでも私はなかなか入院の決断ができませんでした。ドレナージは痛いし、入院すれば仕事も休まなければならない。定期的に受診してレントゲンを撮りながら経過観察を続け、担当医に「入院を強くおすすめします」とまで言われていたにもかかわらず、安静にしていれば自然に治るのではないかとどこかで信じたくて、ずるずると決断を先延ばしにしていました。結局しばらく経っても改善せず、ようやく観念して入院しました。

早めに動いてよかったと思う経験と、遅すぎたと後悔した経験の両方があります。気胸の予感を感じたら、なるべく早めに受診することをおすすめします。


最後に

この記事は私個人の感覚の記録です。気胸の症状や感じ方には個人差があります。気になる症状がある場合は必ず担当医にご相談ください。

気胸を繰り返している方、「わかる」と思った方——よかったらコメントやリプライで教えてください。この感覚、経験者にしかわからない部分があると思うので、同じ境遇の方とつながれたら嬉しいです。


次回予告

次の記事では、私がどうやってBHD症候群の専門医にたどり着いたかを書きます。最初の病院では「見たことがない」と言われた私が、どうやって専門医を自力で探し、紹介状を自分からお願いするに至ったのか——その経緯を詳しく書く予定です。

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