シングルマザーの私が、子どもの精神障害と向き合う日々からの障害基礎年金を受給する日まで
はじめに
「もし、私がこの子を残して逝ってしまったら」
障害があるお子さんをお持ちのお母さんなら、
誰もが思い浮かべることではないでしょうか?
この子の将来のために、何をしておけばいいんだろう?
私がいなくなっても、子どもが安心して暮らせるのは入所施設?
グループホーム?
その場合、お金はどのくらいかかるの?
重度の知的障害がある娘は
こだわりが強く、同じことを繰り返し要求し、奇声をあげていました。
そんな娘と日々、向き合うことで精一杯。
先々のことを考える余裕などありませんでした。
娘が特別支援学校に通っていたころは、
まだ先の話と他人事のように感じていた、障害年金。
けれど、娘が20歳を迎える少し前
「現実」と向き合う日がやってきたのです。
この記事は『障害基礎年金』について、
私が実際に申請・受給するまでの体験とそこで感じた
戸惑いや気づきを綴っています。
これから『障害基礎年金』の申請をしようかな?と考えているお母さん、
そして「うちの子は対象になるのかな?」と迷っている方の背中を
少しでも押すことができたら、うれしいです。
障害基礎年金と初診日について
障害基礎年金は、病気やケガ、精神の障害※によって、
日常生活にサポートが必要な人が受け取れる年金です。
20歳になる誕生日の1日前から、申請ができるようになります。
「将来、自立して働くのはむずかしいかもしれない」
「日常生活に常に見守りが必要」
そんな子どもたちの暮らしを支える制度です。
※精神の障害とは
知的障害、発達障害、統合失調症、気分障害、高次脳機能障害、てんかん、うつ病などです。
先天性(生まれつき)の知的障害の場合、初診日は知的障害を疑って病院を受診した日ではなく、出生日が『初診日』になります。
知的障害を伴わない発達障害は、自覚症状があり初めて診療を受けた日が
『初診日』になります。
障害基礎年金の申請に必要なもの
申請の際には、以下2つの書類が必要です。
・医師の診断書
・病歴/就労状況等申立書
医師の診断書
精神科または心療内科の医師が作成します。
20歳の誕生日を迎える前後、3か月以内の障害の程度・通院歴・成育歴などが記載されているものです。
病歴/就労状況等申立書
お子さんと日々生活を共にする保護者が記入します。
幼少期から現在までのお子さんの様子や生活状況を時系列に記入。
この申立書が保護者の頭をいちばん悩ませます。
障害基礎年金は、まだまだ先の話だと思っていた私
娘は中学部まで服用する必要はなく、通院は半年に1回程度。
知的障害に治療はありません。
予約があっても何時間も待たされる大学病院。
広い病院内をウロウロしたくなる娘、
売店があればお菓子を買ってほしいと、ゼスチャーで伝えてきます。
イライラして
「薬を飲んでるわけじゃないし、通院なんてもうやめようかな?」
と感じていました。
1学期の終わりに、修学旅行の説明がありました。
娘は場所が変わるとテンションが上がり、寝付けません。
せっかくの修学旅行で眠れないのは、かわいそう。
先生にも迷惑をかけてしまうと思いました。
それと、生理の周期をずらすことも考え、担当医に相談したのです。
結果、生理の周期を調整する薬と
軽めの睡眠導入剤を処方してもらうことに。
「旅行前から、少しずつ試してください」
という説明でした。
私は怖かった。
「本当に飲ませていいのかな」
「副作用が出たらどうしよう」
迷いがグルグルと渦を巻いていました。
自分の気持ちと葛藤しながら、恐る恐る薬を飲ませてみようと決心。
すると、家でも寝付きがよくない娘が朝までグッスリ眠れたのです。
心の中がふわっと軽くなったような気がしました。
「薬にたよる」 ー 抵抗
「まだまだ頑張れる」 ー 根拠のない自信
「うちの子は大丈夫!」 ー 勝手な思い込み
いままで、なにをそんなに頑張っていたんだろう?
私の薬に対するこだわりが、娘にストレスを与えていたのかもしれません。
「必要なときは、薬に頼ってもいい」
そう思えるようになりました。
ちょうどそのころに、小児科の発達外来から
おとなの精神科へ移行しました。(トランジションといわれています)
このことをきっかけに、
薬を服用することや定期通院を続ける決心がつきました。
通院が、のちの障害基礎年金の診断書に繋がるとは、
当時はまだ頭の片隅にもありません。
高等部で作った銀行口座が、思わぬところで役立った
娘が高等部になると、またしても修学旅行の話がありました。
こんどは費用を積み立てるため、
本人名義でゆうちょ銀行の口座を準備するよう、言われたのです。
学校から徒歩でいける距離に、郵便局があります。
子どもたちは毎月、保護者から預かった積立金を
自分の口座へ預け入れに行きました。
社会勉強のひとつとして、学校側が考えてくれたことです。
障害基礎年金は、本人名義の銀行口座に振り込まれます。
18歳は重い障害がある子どもでも、成人です。
比較的手続きがスムーズな学生のうち、
18歳になる前に、本人の銀行口座を作りましょう。
障害基礎年金を実際に申請したときのこと
娘が高等部を卒業後、わたしはシングルマザーになりました。
頼れる家族はいません。
ひとりで対応するためには、勉強不足でした。
そんなとき、障害基礎年金のことについて
手をつなぐ親の会で勉強会があると聞き、参加したのです。
娘より誕生月が早い、同級生の親御さんが手続きを始める時期に
なっていました。
みなさん、熱心に勉強会に参加されていたのを覚えています。
なかでも、診断書のことについては深く聞いていました。
「風邪ひいたときに連れていく病院はあるけど、
精神科?連れてったことないな~」
この親御さんは、まず病院を探すところからスタートです。
お子さんが18歳になってからでは、遅いのです。
そこで、娘に通院歴があったことが
いかに重要だったか、思い知ることになりました。
いよいよ、自分が申請手続きをする日。
娘が20歳になる1か月ほど前、市役所の年金窓口へ出向きました。
障害基礎年金の請求に必要な、書類一式を受け取るためです。
※市役所や年金事務所から障害基礎年金を申請するための
『お知らせ』が届くことはありません。
保護者が出向く必要があります。
窓口の担当の方から
・通院している病院で医師の診断書を作成してもらうこと
・病歴/就労状況等申立書の記入のしかた
について、くわしく説明を聞きました。
診断書をもらうために、病院へ行ったとき
まず、病歴/就労状況等申立書の下書きをしました。
その際、『手をつなぐ親の会』から配布された
”サポートファイル” というものが、とても役に立ちました。
このファイルには、娘の病歴や小さい頃に利用した施設などを
書き入れる欄がありました。
ビッシリと書いていたわけではありませんが、
母子手帳などをあらためて見返したりせずに済みました。
娘は小・中・高校と特別支援学校に通っていたので、
病歴/就労状況等申立書の記入欄は
むずかしいことはなく、
"サポートファイル" に書いていた内容でスッとおさまりました。
いま思えば、そのファイルがよい役割を果たしてくれました。
申立書の下書きを病院に持参し、
診断書に書き入れてほしい内容を担当医と確認。
できあがるまでは2週間ほどで、費用は1万円でした。
診断書は開封しても問題ないので、
提出する前にコピーを取っておきましょう。
さいわい、娘に通院歴があったことで
診断書は、すんなり作成してもらうことができました。
病歴/就労状況等申立書は
ファイルの存在があったこともあり、
”重度がゆえに、手続きはスムーズ”
だったのです。
私は、病歴/就労状況等申立書の清書を
エクセルで入力しました。
日本年金機構のホームページにテンプレートがあります。
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/20140516.html
こちらからダウンロードし、入力できるExcelシートがあります。
ここまでの経緯で苦労し、申請をためらったり、
つまづく方が多いというお話をよく聞きます。
病院では
「診断書がもらえなかった」
「病院には行ったけど、対象外だといわれた」
市役所では
「事務的な対応をされる」
「窓口の方が支給するわけではないのに、上から目線」
保護者は
「申立書がうまく書けない」
「時間がないから後回し」
「障害基礎年金に対する知識が不足している」
そこで心強いのが、
全国にある『手をつなぐ親の会』であったり、
『就労支援センター』や『相談支援事業所』の職員さんです。
福祉制度に詳しく、申請の流れや書類の準備について、
親身に相談にのってくれます。
また、障害基礎年金を専門に扱っている社会保険労務士(社労士)
に相談するという選択肢もあります。
中には費用が高額になるケースや、
トラブルになることもあると聞きましたが、
「信頼できる社労士に出会え、親身になって相談を引き受けてくれた」
というかたもいらっしゃいます。
病歴/就労状況等申立書を書くときの注意点
申立書には、年齢期ごとの生活の様子を記入します。
・乳児期(0歳から1・2歳)
・幼児期(幼稚園・保育園)
・小学校
・中学校
・高等学校
・成人期(18歳以降~現在)
また、これまで利用してきた療育施設や
放課後等デイサービス
就労継続支援A型・B型事業所名も書き入れます。
この申立書を書くときに、とても役に立つものが
母子手帳/通信簿/保護者の日記などです。
あの頃どうだったかな?と思い出すための『記録』があると、
とても記入しやすくなります。
保護者の気持ちや困っていたこと、
日常生活で不便に感じるところを正直に書き入れます。
障害基礎年金を申請できる、20歳以上の子どもたち
『療育手帳』がないお子さん
保護者の収入により、
20歳までに『特別児童扶養手当』を受給されていないお子さん
正規雇用で就労中・大学生でも
障害基礎年金を申請することはできます。
以下は、新規で障害基礎年金の申請をしたお子さんの例です。
ご自身のお子さんがあてはまるかどうか、
参考にしていただけたらと思います。
娘の同級生Kちゃん(23歳)
保育園
小学校(通常級)
中学校(通常級)
高等特別支援学校を卒業
一般就労、介護施設の正規職員
療育手帳B2
通院服薬あり
私立大学に通うKくん(21歳)
療育と保育園
小中学校(支援学級)
定時制公立高校
私立大学在学中
療育手帳B2/自閉症
通院年1回・服薬なし
※障害の程度により有期認定になる場合は
更新が必要になります。
通院したその日を“忘れずに記録”しておく
障害基礎年金を申請するうえで、
「いつから治療を受けているか?」
という情報がとても大切になってきます。
はじめて病院に行ったその日が、“初診日”になります。
この初診日が証明できないと、申請に時間がかかったり、
不利になってしまう場合があります。
病院へ行ったら受診した日付と、
どんな内容だったかをメモしておくことをおすすめします。
ちょっとしたメモでも、あとで申立書を書くときに大きな助けになります。
可能であれば、日記や育児記録をアプリなどに書き残しておくと安心です。
そのときに感じた親としての気持ち
「不安、迷い」など、心の動きも申立書では大切な情報になります。
おわりに
障害基礎年金を申請するためには、まず医師の診断書が必要です。
精神科または心療内科への通院歴がないお子さんがいました。
20歳目前になり、あわてて病院を探したご家庭もあったのです。
服薬がなくても、定期通院をして診断書を作成してもらうため、
信頼できる医師を探しましょう。
病歴/就労状況等申立書は
子どもの障害で保護者が不便に感じたことを書きます。
そのために、日記や手帳に育児記録を残しておきましょう。
些細なことでも書いておくことに意味があります。
私はいま、ADHDの診断を受けた次女(小学3年)の
子育てにも向き合っています。
日々感じること、悩み、気づきを、noteに綴るようになりました。
冒頭で書きましたが、長女は重度の知的障害です。
そして、次女にも発達障害があります。
次女も将来、障害基礎年金を受給することになるかもしれません。
わたしはシングルマザーです。
この先、お金にも苦労するでしょう。
次女がこの先、大きくなって就労できるかどうか、わかりません。
まだまだ先のことですが、体はあっという間に成長するものです。
子どもの将来を考えると、何が正解かわからなくなる日もあります。
「うちの子に年金なんて必要?」
「まだ若いから、関係ない」
そう思っていませんか?
決して “他人ごと” ではありません。
『障害基礎年金』をうまく活用すれば、
子どもと家庭を支える力になります。
ひとりで背負わず、相談できる人と一緒に
子どものためにできる準備をしてほしいです。
私は、娘の未来に少しだけ手を伸ばすことができました。
わたしの経験が、どこかで悩んでいるあなたに、届きますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事を応援してくださった方々
神崎桃子先生はじめ、桃活族のみなさま
ありがとうございました。
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ありがとうございます💕いただいたチップは、娘たちのポテトチップに変わります🥔