日本人の物語00411【平安後期】保元の乱 源氏の兄弟対決
源為朝の圧倒的な強さに、清盛軍は一旦退却を決めました。しかし、平氏の郎党の山田是行(やまだこれゆき:?~1156)は、
「一本の矢で二人を射通すなどあり得ない。見間違いだろう」
と言って一人西門に残り、為朝に一騎打ちを挑みます。
しかし、次の瞬間、為朝が射た矢が是行と、その乗っていた馬をも貫通しました。是行は瞬殺されてしまったのです。
是行の乗っていた馬は、矢で射られて暴れ、走り回りました。その馬が義朝軍の前を通り過ぎていきます。鎌田正清はこの馬を見て、
「為朝の矢が馬と人を貫通したのでしょう。なんと恐ろしい」
と震え上がりました。ところが義朝は
「そんなわけがない。為朝が我々を驚かせようとして作ったものだろう。騙されてはならぬ」
と言って、為朝を恐れようとしません。義朝は軽率にも、わざわざ為朝が守っている西門に向かい、為朝と対面します。
義朝は為朝に呼びかけました。
「兄に弓を引く者に神仏の加護はないぞ」
為朝は、
「ならば父に弓を引く者はどうなのか」
と言って義朝に弓を引きました。しかし、
「父と兄との間で、戦後の命乞いの計画が練られているかもしれないから、ここで兄を殺すわけにいかない」
と思い直します。自分が敗北したときには兄が自分を救ってくれるであろうし、一方、父もまた兄の殺害までは望んでいないだろうと思ったのです。
為朝の放った矢は、義朝の兜に当たりました。義朝は
「為朝の弓はその程度か」
と嘲笑するように言いますが、為朝は
「何をいうか。兄だから遠慮してやったのだ」
と叫びました。
兄弟対決を経て、義朝軍と為朝軍はいよいよ本格的な戦闘に入ります。最初に為朝が遠慮して矢を外したことが、義朝軍の士気を上げたのでしょう。義朝軍は意外にも為朝軍を相手に善戦することになります。
