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日本人の物語00094【神代】コノハナノサクヤヒメの出産

 さて、コノハナノサクヤヒメとだけ結婚したニニギでしたが、ある日妻がやって来て妊娠したと告げました。
 ニニギは
「たった一夜の交わりで妊娠したとは信じられない。国つ神の子であるに違いない」
と言います。姉を実家に帰してしまった上に、妹に対して不倫を疑うとは最低ですね。
 ちなみに「国つ神」とは葦原中国の神(オオクニヌシ系)という意味です。一方「天つ神」というのが高天原の神(アマテラス系)を意味します。
 コノハナノサクヤヒメは
「私の産む子がもし国つ神の子ならば、無事に出産することはないでしょう。しかし天つ神の子ならば無事に出産するでしょう」
と述べ、御殿に自ら火を放ち、燃え盛る火の中で子を産みました。
 古事記の記述は上記のように淡々としていますが、これ、多分激怒して自棄を起こしているんじゃないでしょうか。
「あなたがそんなに疑うんならいいわよ。火の中で産んでやるから」
といったイメージでしょうか。天つ神の子ならば、アマテラスのご加護があるからどんな状況でも無事に産めるはず、というわけですね。
 火の中で産んだ子は
・ホデリ(火照)
・ホスセリ(火須勢理)
・ホオリ(火遠)
の3人です。このうち、長男ホデリと三男ホオリがこの後で重要な役割を演じることになります。次男のホスセリはこの後一切登場しませんので忘れていただいて結構です。
 さて、ニニギの物語はここまでです。
 アマテラスの子であるアメノオシホミミは、「葦原中国を治めるよう指示されたのに、オオクニヌシたちにビビッて降臨することができない」という気弱な奴でした。
 一方、アマテラスの孫であるニニギは、顔が気に入らないと言ってイワナガヒメを実家に帰すわ、妻が妊娠して「俺の子じゃない」と言い出すわ、良いところがありません。なぜこんなストーリーにしたのでしょうか。
 ただ、ニニギが娶ったコノハナノサクヤヒメが、オオヤマツミという山の神の娘であったことは注目に値します。「天つ神」であるニニギが、元々から葦原中国にいた「国つ神」である山の神、オオヤマツミの娘を娶ったことで、支配力を高めたと解釈できます。
 以前にも述べたことですが、元々敵であったはずのオオクニヌシを祀ったことといい、どうも日本神話には敵を完全にやっつけて消してしまうのではなくて、敵を取り込んで同化していくという文化があるようです。

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