日本人の物語00069【神代】アマテラス、ツクヨミ、スサノオ
さて、黄泉の国から戻ったイザナギは、
「穢れた国に行って身が穢れてしまった」
と言って、日向の阿波岐原(あわきがはら:宮崎県宮崎市)に行き、禊(みそぎ)をしました。このあたり一帯には広大な松林があり,現在「阿波岐ヶ原森林公園」として整備されています。それにしても、黄泉比良坂(島根県)で穢れた体を、なぜ日向(宮崎県)まで行って洗わなければならないのでしょう。
さて、イザナギが禊をすることで、次々と新しい神が産まれます。
まずは投げ捨てた杖、冠、腕輪から産まれた神がたくさんいるのですが、古事記では名前の紹介しかなされておらず、キャラの立っていない神なので省略します。
泉に入ったイザナギは、体を洗います。そこでもまた次々と神が産まれます。どうも神の世界では性行為によらなくても、独りで子を産むことができるようです。
最後にイザナギは顔を洗いました。左目を洗ったときにアマテラス(天照)が、右目を洗ったときにツクヨミ(月読)が、鼻を洗ったときにスサノオ(須佐之男)が、それぞれ産まれます。
イザナギは、
「これまでたくさん子を産んできたが、最後にようやく尊い子を3人得ることができた」
と喜びました。日本神話の最高神であるアマテラスと、その弟のスサノオが、ここに来てようやく登場したことになります。
イザナギは、3人の子に対してそれぞれ指示を出します。アマテラスに対しては「高天原を識らせ」、ツクヨミに対しては「夜の国を識らせ」、スサノオに対しては「海原を識らせ」と言うのです。「識(し)らす」とは国を治めることを意味します。例えば日本書紀では神武天皇のことを「ハツクニシラスノスメラミコト」と呼ぶのですが、これは「初めて国を識らした天皇」という意味です。
ここで、イザナギが産んだ3人の子について解説しておきましょう。
・アマテラス
言うまでもなく、太陽神にして日本神話の最高神です。最高神が女性である理由は様々に推測されていますが、「神話のストーリーを作ったときの天皇が持統天皇(女帝)だったから」という説が注目されています。
・ツクヨミ
月の神で、性別が定かではありません。3人の中で最も影が薄く、謎に包まれています。古事記では「夜の国を識らせ」と言われた後には一切登場しません。
・スサノオ
海原をつかさどる神であり、男性です。暴れん坊で次々と問題を起こし、高天原から追放されますが、その後はヤマタノオロチを退治するなどの活躍を見せます。
