日本人の物語00090【神代】天孫降臨 サルタビコの先導
さて、オオクニヌシが降伏したことにより、ようやく葦原中国をアマテラス方が治めることになりました。アマテラスとタカミムスビは、アメノオシホミミに対して
「葦原中国を平定したとの報告があった。今から出かけて統治せよ」
と命令しました。ところがアメノオシホミミは、
「準備をしている間に子が産まれました。ニニギ(邇々芸)という名前です。この子を葦原中国に遣わせましょう」
と答えます。これを受け、アマテラスとタカミムスビはニニギに葦原中国に行けと命じます。
こうしてニニギが降臨することになるのです。アマテラスの孫にあたるニニギが降臨するから「天孫降臨」と呼ぶわけですね。
ちなみに、国譲りの章から、アマテラスの相棒役のような形でタカミムスビが頻繁に登場するようになりました。タカミムスビは古事記で2番目に登場する神で、初登場シーンはアマテラスのそれよりも遥か以前です。
このタカミムスビこそが、元々は最高神に設定する予定の神だったのではないかとの説があります。タカミムスビがまるでアマテラスの夫であるかのように、2人セットで登場する場面が多いことや、最初に出てくるアメノミナカヌシがとってつけたような登場人物で、むしろ二番目に出てくるタカミムスビの方が活躍シーンが多く描かれていることなどから推測される説です。
古事記が完成したのは持統天皇の時代です。ストーリーをある程度作った後で、当時の持統天皇を賛美するために最高神を急遽、女神であるアマテラスに差し替えたのではないかと疑われているわけですね。そういえば持統天皇は、孫の珂瑠皇子(かるのみこ:後の文武天皇)が成人するまでの「つなぎ」として即位した女帝でした。アマテラスの孫であるニニギが降臨してくることと、ストーリーの符合も見られます。
さて、話を戻しましょう。
ニニギが降臨しようとすると、高天原と葦原中国を結ぶ通り道に、待ち構えている神がありました。何だか気味が悪いですね。アマテラスとタカミムスビは、アメノウズメに対して
「待ち構えている神は誰か、聞いてきなさい」
と命じました。アメノウズメといえば、天の岩戸事件のときに踊り子を務めた神ですね。
アメノウズメが尋ねてみると、
「私は国つ神のサルタビコ(猿田毘古)といいます。神の御子を先導させていただくためにお待ちしていたのです」
とのことでした。
この「サルタビコとは何者なのか」というテーマだけで本が数冊出版されているほど、神話の世界は奥深いのですが、あまりに憶測に憶測を重ねるような説ばかりですので、ここではとりあえずスルーして次に進みたいと思います。
