日本人の物語00070【神代】誓約
さて、スサノオは産まれながらの問題児でした。海原を治めよと言われたのに、その指示を守らず、泣きわめいてばかりいるのです。スサノオが泣きわめくことで激しい暴風雨が起き、大災害となってしまいました。
イザナギがスサノオに「なぜ泣いているのか」と尋ねると、スサノオは
「亡き母のいる根之堅州国(ねのかたすくに)に行きたいから」
と言います。
ここで不思議な点が2つあります。
・スサノオはイザナギが鼻を洗うことで産まれた神であり、母親はいないはずである。
・仮にイザナミが母だとしても、母のいる場所は黄泉の国ではないか。「根之堅州国」とは何なのか。
「根之堅州国」とは黄泉の国と同一なのか異質なものなのか、いろんな説がありますが、定説が立っていない状況です。
さて、これを聞いたイザナギは怒り出し、
「それならばお前はここにいてはいけない」
と言ってスサノオを追放してしまいます。追放されたスサノオは、「根之堅州国」に行く前に、まず高天原にいる姉のもとに挨拶に行くことにしました。
スサノオが高天原にやって来ると知ったアマテラスは、
「何か企みがあるのかもしれない。国を奪うつもりかもしれない」
と言って、男装して、弓矢を装着して、完全武装でスサノオを迎えることにしました。
アマテラスに「なぜ会いに来たのか」と問われたスサノオは、
「父に追放されたのでそれを報告に来たのです。やましい心はありません」
と答えました。しかしアマテラスは納得しません。
「どうすればお前の心が清らかであることを証明できるか」
と問います。これに対してスサノオは
「ではお互いに誓約(うけい)をして、子を産みましょう」
と提案します。
誓約とは、あらかじめ「こういう結果が出たらこういう意味である」ということを定めておく占いのことです。
例えば、ある容疑者が有罪かどうかを決めるために、「煮え立った湯に手を入れさせ、火傷をしたら有罪」という「盟神探湯(くかたち)」と呼ばれる決め方があります。この盟神探湯は誓約の一種です。
他にも、「骨を焼いてヒビが右側に入ったら吉、左側に入ったら凶」などと決めて骨を焼く行為も誓約の一種ですね。
ところが、ここでアマテラスとスサノオが行った誓約は奇妙なものでした。
