日本人の物語00062【神代】別天神の登場
古事記の書き出しは次のようなものです。
「天地が初めて現れたとき、高天原(たかまのはら又はたかまがはら:天界のこと)に現れたのはアメノミナカヌシ(天之御中主)であった。間もなく、タカミムスビ(高御産巣日)、カムムスビ(神産巣日)が現れた。この三柱の神はいずれも独り神で、すぐに御身をお隠しになった」
キリスト教では神が天地を創造したことになっていますが、日本神話ではどうやら天地が先に現れ、その後に神が現れるようです。全知全能の唯一の神が登場するキリスト教と、八百万もの神が登場する日本神話との違いがここに表れていますね。
ちなみに神の数を「八百万(やおよろず)」といいますが、実際に古事記に登場する神は319柱しかいません。八百万というのは単に数が多いという程度の意味でしょう。
さて、最初の神は「アメノミナカヌシ」ですが、すぐに消えてしまい、その後一切登場しません。記念すべき最初の神がこんなことで良いのでしょうか。
2人目と3人目は「タカミムスビ」「カムムスビ」と言うそうですが、これもすぐに消えたとのことです。3人とも「独り神」、つまり性別がない神だそうです。
それにしても、いきなり出てくる「高天原」とは一体どこなのでしょう。この後も何度も出てくる地名ですが、結局のところどこなのか、さっぱり分からないのです。
古事記はその後さらに、ウマシアシカビヒコジ(宇摩志阿斯訶備比古遅)とアメノトコタチ(天之常立)の2柱を登場させ、これまた「すぐにお隠れになった」と言って退場させてしまいます。すぐに退場するだけなのに、なぜこの5柱を登場させたのかさっぱり分かりませんが、これら5柱を「別天神(ことあまつかみ)と言う」と述べています。
覚える必要は全くありませんが、一応「別天神」と呼ばれる5柱をまとめておきましょう。
・アメノミナカヌシ(天之御中主)
・タカミムスビ(高御産巣日)
・カムムスビ(神産巣日)
・ウマシアシカビヒコジ(宇摩志阿斯訶備比古遅)
・アメノトコタチ(天之常立)
最初に登場する「アメノミナカヌシ」は「天之御中主」と表記するくらいですから、宇宙の中心に存在するような神なのでしょう。しかし冒頭の一文にしか登場しない存在感のない神なので、祀っている神社もあまりありません。埼玉県秩父市の秩父神社、長野県松本市の四柱神社などごくごく少数です。
2~3柱目のタカミムスビ、カムムスビは後に再登場します。「お隠れになった」と言っている癖に何事もなかったかのように再登場するのは変な感じがしますね。
4~5柱目はその後一切登場しません。古事記には319柱もの神が登場しますが、その9割以上は一度しか登場しないのです。よって、神の名はほとんど覚える必要がありません。
