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日本人の物語00071【神代】スサノオの暴挙

 アマテラスとスサノオが行った誓約は、子を産むというものでした。
 まず、アマテラスがスサノオの剣を手に取り、噛み砕いてふうっと息を吐き出すと、3柱の女神が産まれました。続いて、スサノオがアマテラスの勾玉(まがたま)を手に取り、噛み砕いてふうっと息を吐き出すと、5柱の男神が生まれました。剣にせよ、勾玉にせよ、かなり固い素材でできているはずです。これを嚙み砕くとは、一体どんな破壊力なのでしょう。
 古事記では、ここで産まれたそれぞれの神の名前が紹介されているのですが、とりあえずスサノオがアマテラスの勾玉を使って産んだ5柱の男神のうち、
・長男のアメノオシホミミ(天忍穂耳)
・次男のアメノホヒ(天菩比)
の名前だけ覚えておけば十分です。
 さて、一見するとアマテラスが女神を産み、スサノオが男神を産んだように見えますが、「誰の道具から産まれたか」に注目しますと、スサノオの剣から女神が産まれ、アマテラスの勾玉から男神が産まれたのですから、女神たちはスサノオの子、男神たちはアマテラスの子ということになります。
 スサノオは「私の心が清いから女の子が生まれたのだ。私の勝ちだ」と宣言しました。どうも我々の感覚ではついていけないストーリー展開です。
 このように、誓約の結果、スサノオが勝利を宣言しました。しかし、今回の誓約は勝利条件を定めていないまま行われてしまいました。どちらが勝利したのか曖昧なままに、スサノオが一方的に勝利を宣言してしまったわけです。
 さて、スサノオは勝ち誇りながら、アマテラスの田の溝を埋めて所有者を分からなくしたり、神殿に糞を撒き散らしたりし始めました。スサノオのおかげで高天原は大混乱です。
 しかしアマテラスはスサノオを咎めようとしませんでした。
「糞を撒き散らしたというのは、酔って吐いたものでしょう。溝を埋めたのは、土地を有効に使うためでしょう」
と言って弟を擁護したのです。
 スサノオの暴挙はまだまだ続きます。なんと機織小屋の屋根から、皮を剥いだ馬を落とし入れたのです。小屋の中で機を織っていた女は、これに驚いて梭(ひ)でホト(女性器)を突いて死んでしまいました。
 梭とは機織りの際に横糸を通す道具のことです。これでホトを突いたというのがさっぱり分かりません。へなへなと崩折れたときにたまたまそこに立ててあった梭でホトを突いてしまったのか、自殺の手段として故意にホトを突いたのかも分かりません。強姦されたことの隠喩ではないかとの説もありますが、よく分かっていません。
 さすがのアマテラスも、これには動揺しました。悲しみのあまり、天の岩戸に引きこもってしまいます。

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