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【ワイルドスピード ICE BREAK】あらすじ・感想(三幕構成で読み解く)

シリーズ第8作目です。

#ネタバレ

結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。

登場人物
ドム(ヴィン・ディーゼル):超人的な自動車運転技術を持つ無職の男
レティ(ミシェル・ロドリゲス):ドムの恋人
ホブス(ドウェイン・ジョンソン):DSS(アメリカ外交保安部)の捜査官
ショウ(ジェイソン・ステイサム):元イギリス軍特殊部隊員で現在は傭兵
ローマン(タイリース・ギブソン):話術を武器とするムードメイカー
テズ(リュダクリス):電子機器に精通するメカニック
ラムジー(ナタリー・エマニュエル):天才ハッカー、『神の目』の開発者
- - -
サイファー(シャーリーズ・セロン):一流の女性サイバーテロリスト

監督:F・ゲイリー・グレイ
2017年製作/136分/G/アメリカ
原題または英題:The Fate of the Furious
配給:東宝東和
劇場公開日:2017年4月28日

まずは、物語を三幕8場構成に分解します。

一幕
 一場:状況説明
 二場:目的の設定
二幕
 三場:一番低い障害
 四場:二番目に低い障害
 五場:状況の再整備
 六場:一番高い障害
三幕
 七場:真のクライマックス
 八場:すべての結末

参考:ハリウッド式三幕八場構成

一幕

1-1:状況:ドムはレティとキューバでのんびり暮らしたりカーレースをしたりして過ごしていたが、ある日サイファーと名乗る美女から自分の部下になるように要求される。ドムは拒否するがサイファーがスマホで一枚の写真を見せたことでドムの表情が凍る。

1-2:目的:ホブスからの要請でドムはファミリーを集めてドイツで反体制組織に盗まれた電磁パルス砲を奪い返すが、作戦終了間際にドムが裏切って電磁パルス砲を持って一人でサイファーの元へ逃走してしまう。ドムに車を壊されたホブスは現地警察に逮捕されてアメリカの刑務所に収監される。

二幕

2-3:障害①:ホブスは刑務所でショウと再会して衝突する。Mr.ノーバディ一の工作で刑務所の全てのロックが解除されて大混乱となる中、ホブスとショウは結果的に二人揃って脱獄し、ファミリーと共に召集されて打倒サイファーを志す。

2-4:障害②:ラムジーが『神の目』を使ってサイファーを追跡するが、逆にサイファーの部隊に秘密基地を襲撃されて『神の目』を奪われる。

2-5:状況:ドムがサイファーに従うのはエレナと息子を人質に囚われていたからであった。ファミリーはサイファーの次の狙いがニューヨークだと察知して対策を準備する。

2-6:障害③:ドムはニューヨークで任務の隙に監視カメラの死角を使って何か細工をする。サイファーがニューヨークをハッキングして混沌を起こし、ドムがロシア国防大臣から核ミサイル発射コードを奪う。ファミリーはドムの捕獲に失敗する。サイファーは反抗的なドムへの罰としてエレナを射殺する。

三幕

3-7:佳境:ドムは電磁パルス砲を装備してロシアの基地に突撃する。サイファーが原子力潜水艦のコントロールを奪う。ファミリーは『神の目』を逆ハッキングするなどして原潜の核ミサイル発射を阻止する。別行動していたショウがサイファーの飛行機に潜入してドムの息子を救出し、サイファーはパラシュートを背負って逃亡する。息子の無事を確認したドムは再びファミリーに合流して、原潜の熱誘導ミサイルを逆に原潜に被弾させて原潜を爆破する。

3-8:結末:ファミリーはニューヨークに戻ってBBQを楽しむ。ドムは息子をファミリーに紹介し、ブライアンと命名する。

FIN

▼解説・感想:

●構成

1-1:状況:ドムに忍び寄るサイファーの影
1-2:目的:ドムが裏切って電磁パルス砲が盗まれる
2-3:障害①:刑務所で激突するホブスとショウ
2-4:障害②:サイファーが奇襲して神の目が盗まれる
2-5:状況:ドムは息子を人質に取られていた!
2-6:障害③:ドムがロシアの核ミサイル発射コードを奪う
3-7:佳境:空と海で戦いサイファーを撃退する
3-8:結末:ファミリーはNYでBBQする

誰が主人公なのかよく分からない特殊な構造をしている映画です。

第一幕のスタートは明らかにドムが主人公なのですが、第二幕に入る前にファミリーと観客を裏切って突き放し、そこからホブス視点とドム視点を交錯させつつも、ドムがこっそりサイファーを裏切る部分は観客には最初からは全て見せてくれず、第三幕でショウ兄弟が登場してそこでもう一度観客にサプライズを掛ける構成です。

好き嫌い分かれる所だと思いますが、個人的には、初見時のサプライズで観客を喜ばせるタイプのあまり良くないパターンの映画かなと正直思います。

ドム視点で素直に語るには要素を詰め込みすぎというのも、このような特殊な構成になった(説明は後回しにするしかない)要因の一つかもしれませんが。

●ポール・ウォーカーの不在

前作の撮影期間中にブライアンを演じるポール・ウォーカーが逝去しましたが、諸々の大人の事情から《人気フランチャイズ》の制作は止められず、最重要キャラの不在からどう立て直すのか制作チームの工夫と苦労が垣間見える作品です。

本作でブライアンはカタギに戻ったという理由で徹底的にハブられます。これはちょっとツッコミ入れたいけど、まあギリギリ許せる範囲です。

しかし、映画のラストでドムは、自分の息子にブライアンと名付けます。

うーん、これって欧米圏ではよくあることなんですかね?

もう一生会うことはない親友ならばなんとなく分かる気もするんですが、ブライアンの周囲の人物は変わらず集めてワイワイやってるのに、ブライアンだけ除け者にして、それで息子の名前にはブライアンと付けるというのが、なんか異様だと感じます。

メタ的な視点で考えれば、逝去したポール・ウォーカーの後を継ぐ者としてこの名前にしたことは十分理解できますよ。

しかし、いかんせんブライアンは劇中では生きている(しかも実の妹の配偶者でもある;ドムにとっては義理の弟である)ことになっているので、なんとも気持ち悪いというか、歯痒い感じが個人的には否めません。

●ポール・ウォーカーの代打?

ブライアンが退場した代わりに、まるでブライアンのような外見の、ブライアンのように正義感が強く、ブライアンが乗りそうな青い車に乗る男が登場します。

しかし劇中ではリトル・ノーバディとなめられた愛称で呼ばれ、序盤ではファミリーの誰もしないようなミスを連発して足を引っ張ります。

一応、物語の終盤では成長を見せたというか、原子力潜水艦のミサイルを発射不可能にするという重要ミッションをこなして活躍を見せますが、それもテズやローマンと一緒に行動しての結果ですし、すでにここに来るまでですっかり観客の不評を買っているので今更もう手遅れという感じも否めません。

…というか、この映画は要素を盛り込みすぎで、ドムが裏切った理由とか、そこからショウ母ちゃんが登場してショウ兄弟をまとめるとか、ロシアの原子力潜水の大迫力映像とか、インパクトが強すぎる出来事が大量に起きていて、ポッと出てきた何処の馬の骨かわからん生意気だけどミスを連発するザ・アメリカン・ホワイトの若者の新米刑事の成長物語なんて、気にしていられる余裕がない人がほとんどなのではないでしょうか。

かく言う私だって、そうでした。

もっと言えば、ブライアンが抜けた穴を寂しく感じたり、感傷に浸りたいのに、もうその穴に似たようなもの突っ込まれてきたら、誰だって不快に感じるものではないかと思います。

そんなリトル・ノーバディを演じているのがクリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッドなのですが、なんか、スコットは本当にこれで納得しているのでしょうか?それこそリトル・イーストウッドって揶揄されるネタになるやん。(苦笑)

●ドムの息子!

ファミリーを一番大事にするドムがファミリーを裏切るくらいですから、まあ原因が実の息子(=真のファミリー)というのは納得できます。

いや、本当は納得したくないです。だっていつも「ファミリー」と呼んで大切にしきてた仲間は、結局は自分が血を分けた真のファミリーには劣るということになってしまいますから。なんでこれまで「ファミリー」なんて言い続けたのか、嘘になってますやん。

第6作『ユーロミッション』でショウ弟がドムに対して言った「お前にはファミリーという信念(コード)がある。コードとは誰でも持っているものではない」という決め台詞の価値がダダ下がりですよ。

しかも、エレナが妊娠してたって、マジで酷い脚本だなー。(笑)

だって前作にエレナがドムに会った時には、全然そんな素振りなかったじゃないですか!(笑)

第7作ではバッチリ現場で警察官の仕事をしてる感じ、というか妊婦の雰囲気すら出してませんでしたよ。それはプロ意識とかとはちょっと違うと思うんですけどねー。

しかも第8作では、物語を盛り上げるためにあっさり殺されます。絶対にいかしておくべきでしょう。人質としての利用価値があるのに。赤ん坊も人質に取っているので、母が死んだら誰が赤ん坊の面倒を見るのか、という余計な仕事が部下に増えますよ。

そもそもドムはエレナとは面識がありますが、妊娠の事実すら知らなかったので本当に自分の息子なのかわからない状況でもあります。たまたまドムがエレナの言葉を一途に信じる、もしくは赤ん坊の顔を写真をスマホで見るだけで自分の子だと確信できる才能があったから良かったですが。そういう意味でも赤ん坊だけ残すのは合理的ではありません。

参考:エレナの歴史)
ワイルドスピード5:命を救われて恋して警察を辞める
ワイルドスピード6:レティが見つかってあっさり手を引く
ワイルドスピード7:ドムにちらっと会うけど何も言わない
ワイルドスピード8:実は息子を産んでた→あっさり射殺される

エレナ、不憫すぎます。

制作チームに、とことん都合よく使われた感じが否めません。

エレナが死んだことで、ショウが赤ん坊を守りながら敵を次々と始末していくというおもしろアクションシーンを作れるわけですからね。

駄目な映画を盛り上げるために
簡単に命が捨てられていく
違う 僕らが見ていたいのは

Mr.Children "HERO"

●日本語タイトル

氷が割れるから、アイスブレイク。最高の発想力ですね。(笑)

本来の「アイスブレイク」とはビジネス用語です。

アイスブレイクとは、氷を解かすことの意味。初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法。集まった人を和ませ、コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作り、そこに集まった目的の達成に積極的に関わってもらえるよう働きかける技術を指す。

アイスブレイクは自己紹介をしたり、簡単なゲームをしたりすることが多く、いくつかのワークやゲームの活動時間全体を指すこともある。「コミュニティビルディング(community building)」や「アイスブレイキング(ice breaking)」とも呼ばれている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/アイスブレイク

ぜんぜん意味が違う言葉でおもしれー。(笑)

原題は"The Fate of the Furious"となっています。これは英語タイトルの"The Fast and the Furious"の8作目だから"F8=F-Eight"で発音するとフェイトになるので、音だけ残して"Fate=運命"にもじって付けられた言葉遊びのタイトルとなっています。

(了)

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