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【5バックの崩し方】「FIFAワールドカップ26アジア最終予選」日本vsオーストラリア 分析レポート

「FIFAワールドカップ26アジア最終予選」

日本vsオーストラリア 分析レポート

1-1(前半0-0/後半1-1)


Ⅰ.「はじめに」

 アジア最終予選から「3-4-3」をベースとしている日本代表。守備時には5バック、攻撃時には5トップに可変するスタイルが嵌まり、ここまで3戦全勝(14得点・無失点)。
 少なくともファン・サポーターの間では楽観ムードが漂う中「3バック対1トップにおけるビルドアップ」「5トップ対5バックの崩し方」と課題が浮き彫りになった一戦。
 前者に関してはサウジアラビア戦からの課題であり、後者に関しては予想よりも早い段階で対応されてしまった感はありますが、いずれにせよ、アジア最終予選の突破、そしてその先の本選での成功を見据える上では、このタイミングで課題が出たことを前向きに捉え、この試合が貴重なレッスンであったと言える様な改善・結果が見られることを勝手ながら期待しております。

 ちなみに今回はオーストラリア代表が守備に重きを置いていたため露呈することはありませんでしたが、日本代表が逆に5バックに5トップを当てられた際、そして相手のWBに高くて強い選手がいた場合、守り切ることは出来るのでしょうか。この点も含めて現時点から対策を考えておく必要がある様に僕は思います。

 そこで今回のレポートでは「日本代表のビルドアップ」「5バックの崩し方」の2点を分析・解説をしていきたいと思います。

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Ⅱ.「フォーメーションの確認」

 日本代表はアジア最終予選に入って以降、お馴染みの「3-4-3」がベース。WBの上下動により、守備時には5バック、攻撃には5トップに可変するスタイルも継続。ビルドアップ時には更なる可変も見られましたが、その点に関しては後記します。
 前節の中国戦からポポヴィッチ新監督が指揮を執るオーストラリア代表。前節に引き続き、日本と同じく「3-4-3」がベース。守備時には「5-4-1」でブロックを形成。

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Ⅲ.「日本代表のビルドアップ」

 オーストラリア代表に1トップ+2枚(中盤4枚の両サイド)の3枚を3バックに当てられ、同数で嵌められることを回避しようとしていたのか、前半の日本代表は守田選手がCBの一角に入り、4バックを形成してビルドアップを試みていました。そして、後半からは守田選手、もしくは田中碧選手が左SBの位置に入って同じく4バックを形成していました。
 その可変の是非を論じる前に、まずはそんな日本代表に対するオーストラリア代表の前線からのプレスの掛け方を確認しておきたいと思います。

オーストラリア代表の前線からのプレス

 ① 1トップの選手が日本代表のボールサイドのCBにプレスを掛けてサイドへ誘導
② 中盤4枚のサイドの選手が基本的には中を切りながら日本代表のSBにプレス
③ ②に合わせて中盤4枚中央のボールサイドの選手が日本代表のボランチをケア

 ①における1トップの選手のプレスはスイッチの役目を担っていることもあってか、それなりのスピードを持って行われていましたが、②に関しては両サイド共に緩めのプレスとなっていました。その点も含め、狙い所・奪い所が明確に決まっているわけではなく、ブロックを敷きながら相手が引っ掛かったところで回収という様な守備をしている印象を受けました。
 後半の頭からは1トップの選手以外もプレスの強度を上げ、前線からしっかり追い始めていたのですが、早い段階で先制点を奪った後は、再び上記の様な守備のスタイルに戻ってしまいました。

 ちなみにアタッキングサードまで日本代表に押し込まれた際は、サイドを突破されることは織り込み済みで、中で弾き返せればOKという、良い意味で割り切りの利いた守備を組んでいました。監督交代から試合までの準備期間が短く、戦術を落とし込む時間がなかったこともあるかもしれませんが「あれもこれもやれ」よりも「これだけはやらせるな」という指示の方が、選手としては頭が整理された状態でプレーが出来るため、その点がオーストラリア代表の守備の安定に良い影響を与えた可能性はあるかと思います。

日本代表の前線からのプレス

 せっかくなので日本代表の前線からのプレスについても軽く触れておきたいと思います。
 オーストラリア代表が日本代表と異なり、3バックのままビルドアップを試みてくれていたため、ミラーゲームの構造で単純に3バックに3トップ・WBにWB・ボランチにボランチを当てることで簡単に前から嵌めることが出来ていました。
 試合の頭からこの形でプレスを掛けていれば相手が5バック化する前にゴールに迫る機会が増え、楽に試合を運べていた可能性があったにも関わらず、チームとして前線からのプレスの掛け方が定まっていなかった様であり、前半、周囲の選手の状況を伺いながら探り探りプレスを掛けていた点はもったいなかったと思います。

図Ⅰ. オーストラリア代表の前線からのプレス

日本代表のビルドアップ

 上記した様なオーストラリア代表の前線からのプレスを含めた守備に対して、日本は主に2つの狙いを持ってビルドアップを行っていました。

 1点目は図Ⅰの楕円に囲まれた「中間ポジション」の活用です。
 SBへの寄せが緩く、その点に加え、前半は右SBに右利きの板倉選手、左SBに左利きの町田選手が入っていたため、縦パスを入れることは難しくない状況にあったため、IHを務めていた南野・久保選手が楕円のスペース(逆サイドも同様)でボールを受け、前を向けるシーンが何度か見受けられました。

 2点目は「3CB+2WBの間」の活用です。
 これは日本代表を含めて試合中に5バック化するチームの大半に言えることなのですが、5バックと言いながら実際のところは「3CB+2WB」となっており、図Ⅱの様にCBとWBの間にスペースが空いてしまっているケースが多く見受けられます。
 原因としては90分通して5バックを貫いているチームも、5バックのサイド専門の選手も稀有な存在であるため、慣れていない分、どうしても大なり小なり間が空いてしまう傾向にあるのだと考えられます。
 日本代表はこの間に左右両サイドからパスを通すことでポケットを取れてはいたのですが、後半、上田選手が相手選手を抜き切らずに右サイドからクロスを上げたシーンでは、中で誰も反応できておらず、1点目も然り、パスが入った後の崩しのイメージが共有されていない様に感じられました。


 守田選手を中心に試行錯誤しながらのビルドアップではあったと思いますが、上記の様なシーンを中心に決して悪くはなかったと思います。
 ただ、ひとつ付け足すとすれば、相手がブロックを敷いている分、CBが持ち運んで相手を引きつけからパスを出すシーンを織り交ぜることで、より円滑なビルドアップが構築できたのではないかという印象は受けました。

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