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ブロマンスがいい 『ペンディングトレイン〜8時23分、明日 君と』8話まで(日本/テレビドラマ/2023)

赤楚衛二さんが好きなので見始めたドラマ。8話のエンディングにびっくりしたので、まずそこまでの感想を書きたくなった。

どこにでもあるような朝の通勤風景。人々が乗り込んだ電車の一部が、突然、人類が滅びたかのような荒廃した未来にワープしてしまう。その乗客たちのサバイバル物語。見る前は、ドラマでなく映画にしたほうがいいような随分大きな話だなぁという気がした。

”未来”設定にこだわらずに見る

未来にワープはなかなか体験できないが、命や精神状態を脅かす過酷な状況は天災、戦争、疫病流行などで残念ながら実際に身近に起きていて、ひと事とはおもえない。いつしか現実世界に置き換えてこのドラマをみるようになった。

様々な境遇、立場、考え、価値観の人々がたまたま一緒に過酷な状況に置かれただけなので、衝突は絶え間ない。皆で助け合って生き延びようという者もいれば、まずは自分さえ助かればいいという者もいる。元の世界に帰りたいと泣き崩れる者もいれば、しがらみから解放されて嬉々とする者もいる。集団と集団の間で対立が起き、戦争状態のようになったりもする。
それぞれの乗客たちと残してきた家族との関係も様々なタイプが描かれている。

こういう内容設定のドラマは、CGやセットがチャチだとか、日本のどこかにある風景で未来の世界に見えないとか、綺麗事ばかり描いて人間の醜い部分に目を背けているとか、展開ができ過ぎていて深みが足りないとか、いろいろ言われやすいのではないだろうか。きっとこのドラマで扱える内容はとても大きくて深いのだろう。どれもこれも描こうとすれば広く浅くなって、どれもうわべだけになりかねない。
ドラマの話題性を考えたら人間の醜い残酷な部分を更にどぎつく描くこともできるはずだけれど、このドラマの目的はそこではないのだろう。きれいごとと言われるかもしれないが、やはり”前向きに生きて希望を捨てない”ということを描きたいのだろうと思う。私はそういうドラマとして見ている。現実の人間の残酷さや醜さは日常のニュースに溢れかえっていて、正直もううんざりしている。テレビドラマの中でまで、改めて人が作り出した残忍なシーンを私は見たくない。

このドラマで一番丁寧に描かれているのは、畑野紗枝をめぐる萱島直哉と白浜優斗の三角関係と、直哉と優斗のブロマンスだと思う。最近は、乗客たちのサバイバル物語というより、極限状況で生きる3人の男女のラブストーリー及びタイプの違う直哉と優斗という二人の青年のブロマンスを物語のメインとして見ている。

畑野紗枝をめぐる三角関係も毎回少しずつ変化があり、直哉と優斗のやりとりは彼女へのそれぞれの気持ちの変化や立ち位置の違いなどをよく描いている。紗枝に気持ちを伝えきれない直哉が、毎回見ていて切ない。

赤楚くんが少女漫画のイラストに見える

好きな俳優で容貌の美しい人はたくさんいるのだけれど(町田くんとか勇征くんとか・・・)、誰でもイラストに見える訳でもない。赤楚くんが少女漫画風の顔立ちなのだろうか。6話の終わりで直哉から”いい加減紗枝の気持ちに気づいてやれ”と言われて、遠くにいる紗枝を驚いたようにじっと見つめる優斗。いい顔するなぁと思って見ていたら、また美しいイラストに見えてきて、一人内心苦笑した。なぜそうなるのか・・・。
8話のラストシーンで、この世界に残るという直哉をありったけの言葉と熱意で説得した優斗もとてもいい表情で、青い服を着ていた彼が突然"青年ナウシカ".みたいに見えたりして。そうだ、ジブリの絵にも似てる。

山田裕貴と赤楚衛二のブロマンスがとてもいい

白浜優斗役で赤楚くん出演ということで見始めたが、主演の萱島直哉役の山田裕貴の演技もとても魅力的だ。決して反りが合うわけではない二人の甘く溶け合わない繋がりが、なかなかいいブロマンスになっている。
意見が合わず、反目したり言い争うこともある二人だが、突然放り込まれた極限状況のなかで生きのびようとすれば、否応なしに協力し助け合わなくてはならない。ぶつかり合う中でいつしか自然とお互いのことを理解し始め、時には二人だけでじっくり穏やかに話すようにもなる。ただ、元々反りの合わない二人ということもあり、いつも楽しそうな仲よしの二人にはならない。この常にどこか距離感を保ってる感じが、ブロマンスとしてとてもいい。6話で焚き火をしながらの二人の会話シーンや7話の滝で魚を食しながらのシーンなど、二人の会話シーンはとても好きだ。

優斗は乗客の中で次第にリーダー的存在になった。他の乗客と話すときは、提案、説得、激励する必要があるため言葉を選んで話しているだろうが、直哉には、心の奥の本音を時に乱暴な物言いでぶつけるようになる。畑野紗枝を含む他の乗客や敵対する集団の人間にも見せない荒々しく感情的な一面を、直哉には隠さない。
8話のラストシーンで、”元の世界に帰らずにこの世界に残る”という直哉に詰め寄った優斗の演技に、私は胸が熱くなった。飾らない言葉で、自分の生の気持ちをありったけぶつけて、直哉をなんとしても一緒に連れて帰るという優斗の気持ち、表情、言葉、そしてそれに向きあった直哉の表情、それら全てにジーンときた。
直哉を見つめて「俺を信じろ」と言った優斗。それは直哉が、ずっと前から誰かに言って欲しかった言葉だったのかもしれない。

8話の終わり、予想外の展開でびっくりした。元の世界に、彼らは戻るのだろうか・・・。


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