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恋愛だった? 『10DANCE』(日本/Nexflix映画/2025)

主演:町田啓太、竹内涼真
監督:大友啓史
原作:井上佐藤作の漫画『10DANCE』

大好きな町田君が主演で、ずっと楽しみにしていた作品だった。
昨年見たのにやっと今頃の感想になったのは、自分の気持ちが、見る前に予想していたものとあまりにも違っていたから。何か大事なところを見落としたのかと思ってすぐにもう一度見たけれど、印象はさほど大きくは変わらなかったので、その時の感想をまずは書いておこうと思う。
相変わらず私は原作は未読だが、ダンス競技の世界を舞台にした、主人公杉木信也(町田啓太)と鈴木信也(竹内涼真)の恋愛を描いたBL漫画だときいていた。

二人、恋愛してた?

思ったよりもスーッと物語が終わってしまって、私がまず感じたのは「あれ?これラブストーリーじゃなかったっけ?」という感想だった。

私には、二人の間に恋愛感情が芽生えたようには思えなかった。確かに、鈴木は杉木に惹かれていったし、現実感のない電車内でのファンタジーなキスシーンもあったし、鈴木が上半身だけ服を脱ぎ捨てて杉木をベッドに押し倒してみたりもしていた。でも、それも恋愛感情の表れとしての行動には見えなかった。なんというか、自分の中に渦巻く正体のわからない感情を互いにぶつけてみている、という感じだった。

ラテンダンスの日本チャンピオンの鈴木は、杉木に10ダンス競技に誘われ、反発しつつも結局は世界を相手にする10ダンスに挑戦することを決める。二人は互いに自分が専門とする分野のダンスを相手にコーチするのだが、その過程でお互いのことを少しずつ知り、惹かれていく・・・と描かれていた。
最初は反発していたのが、次第に互いに魅力を感じるようになっていった感じはした。でも、あれは二人の恋愛だっただろうか。
10ダンス出場に向けたレッスンで鈴木が杉木と踊っているときに感じる気持ちの昂ぶりを語ったとき、ダンスパートナーのアキに「恋してるみたいね」と言われて、鈴木はそういう気分になったのかもしれない。でも、なんというのか、鈴木が杉木という個人に恋心を抱いているようには、私には見えてこなかった。


練習しているときの彼らは、ダンスの中の物語の主人公になろうと、その人物としての情熱、愛情、嫉妬、様々な欲望を全身を使って表現しているように見えた。
そして、鈴木は踊っているときの杉木が好き、つまりダンスの物語の中の主人公として美しく輝き、優雅に舞い、プライドの高さを隠さない杉木が好き、そんな風に見えた。鈴木が訪れた馴染みのバーのバーテンダーのセリフに「疑似恋愛」という言葉があったけれど、まさにそんな感じがした。
他方、実力はあるのにスタンダードダンスの世界大会でどうしても1位になれない杉木。万年2位を脱し、10ダンス競技で最高の高みに上り詰めるために、鈴木のラテンダンスが必要だった。
杉木もまた、踊る鈴木を愛し、鈴木の踊りに魅了されていたのだと思う。


ダンスは形だけ作ればいいというものではなく、踊る二人の間の感情、関係性、物語がダンスに表現されていないと、魅力的に見えないのではないかと、映画を見ながら感じた。その感情を表現し物語を見せるために実際にペアを組む二人がいつも本当の特別な関係になる必要はないと思うけれど(心身ともに持たない気がする)、ダンスの中の主人公二人としての物語や感情があふれていなければ、形だけきれいなダンスには観客は心を揺さぶられないだろう。観客が魅了されるということは、二人がダンスを踊ることで一つの物語の世界を見せられるということなんだろうと思った。

二人は世界で勝つために、本気でダンスの物語の主人公になった。踊りながら、ダンスの中の物語の主人公として、相手を愛し、情熱、嫉妬、独占欲、闘争心、優しさ、甘いささやき、いろんなものを相手にぶつけ、捧げていたように思う。だから、踊っているときの二人は熱く、艶っぽく、危険な美しさを全身にまとい、観客の視線を釘付けにした。

でも、例えばもしどちらかが踊らなくなったら、それでもあの二人は恋人同士として一緒にいたいと思っただろうか。そういう感じはしなかった。「かつて同じ夢を追いかけた仲間」以上の感情は湧いてこないのではないかと感じた。
二人の間の情熱は、プライベートな恋愛感情とは関係ないように見えた。


土居志央梨のダンスが素敵だった!

竹内涼真はセクシーで、しなやかで、力強く、エネルギッシュで、挑発的な魅力を見せてくれた。町田くんはしなやかで、どこか儚げで、気高く冷たい美しさを湛えた孤高の存在感だった。そんな二人のダンスは美しくて素敵だった。

でも実は私がもっとひかれたのは土居志央梨のダンス!かっこよかった!すごくセクシーで「女」を見せつけるようなダンスなんだけど、それは男に気に入ってもらいたくてアピールしているのではなく、「女ってすてきでしょ?うらやましいでしょう?男にはこんなダンス踊れないでしょう?!どうよ!」と、男に女の魅力を見せつけている感じで、見ていてスカッとした。そして女のその挑戦状を正面から受け止め勝負を買って出たような竹内涼真(鈴木)の踊りもまた情熱的で見ごたえがあった。彼女と竹内涼真のダンスをもっと見たかったくらい素敵だった。

「原作がBL」と聞いてダンスの世界を描いたラブストーリーだと思い込んでいた私が予想していたものとは違っていたけれど、こうして感想を書いていると、この映画はラブストーリーではなく、二人のプロダンサーが競技にかける情熱を描いたブロマンスだったのかなと思えてきた。原作をどう映像化するかは監督次第だから、原作と映像の味付けが違っても珍しくはない。3回目を見る予定はないけれど、ブロマンスとしてみたら、また違う感想になるんだろう。

私にとって鈴木と杉木の二人がもっとも熱く色っぽく見えたのは、ドラマを見る前に見たキービジュアルの写真だったかもしれない。

(画像:https://eiga.com/movie/102984/)


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