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【新しい文化の構築】人をどう呼べば良いか

「予約を増やしたい」と言われて、最初にしたのは宣伝ではなかった

「キャンピングカーの予約を増やしたい」

先日、島の先輩であるともゆきさんから、そんな相談を受けた。
ともゆきさんはヨロン島でキャンピングカーを保有し、貸し出す事業を営んでいる人物だ。

こういう相談を受けたとき、多くの人がまず思い浮かべるのは、広告を打つことや割引を用意することだろう。

実際にはそこには手をつけなかった。(今後は手を付けるかもしれないが)
最初にしたのは、名前をつけることだった。

「ヨロン島キャンピングカー」を略して「ヨロキャン」と呼ぶ施策、観光客の方に呼んでもらう施策。

名前がなければ、文化は生まれない。
まず言葉を作り、その言葉に人を集める。
それが今回のプランの出発点だった。

ヨロキャン

目指すのは認知の獲得ではなく、文化の醸成

ヨロキャンの目標は、単なる予約数の増加ではない。
ヨロン島にキャンピングカー文化を作り上げること、それ自体を目標に据えた。

自分たちだけでは限界がある。

だからこそ、ヨロン島を好きでいてくれるファンや観光客の皆さんを巻き込み「一緒に新しいことを始めないか」と呼びかける。

0から1を生み出す仲間を集める発想である。

コンセプト設計の開始

企業や行政の担当者と話すとき、よく聞かれる質問がある。
「コンセプトって、結局何を決めればいいんですか」という問いだ。

答えは、いつもひとつに決めている。

「この商品やサービスは、誰のために、何のために存在するのか」を一言で言えるようにすること、これに尽きる。

料理店で例えると分かりやすい。
安くてボリューム満点の店なのか、特別な日に使う店なのか。
この違いひとつで、メニューも価格帯も内装も全部変わる。
キャンピングカーもまったく同じだった。

お客様が本当に欲しいのは、移動する車ではない

鹿児島県最南端の離島「ヨロン島」に来ること自体、すでに特別な体験である。
そこに宿や移動手段まで特別だったら、旅そのものが「人に話したくなる島旅」に変わる。
お客様が本当に手に入れたいのは非日常の体験の先にある「感情の満足」だった。

キャンピングカーで夕日を観に行った

ホテルでもなく、レンタカーでもなく

ホテルは快適だが動けない。
レンタカーは動けるが、くつろぎには欠ける。
キャンピングカーだけが「動けてくつろげる」という2つの価値を同時に持つ乗り物だ。

自分の好きなタイミングで空調の効いた車で移動し、駐車場に止め、ゆったりしたソファに座りながら、目の前に広がる絶景を眺める。
この体験を一言にまとめた言葉が「ヨロン島を、自分だけの特等席で味わう」というコンセプトになった。

キャンピングカーから海を眺めるって最高じゃない?

言葉より先に、写真を見せる

どれだけ良い言葉を作っても、体験したことのない人には刺さりにくいという壁がある。

そこで採用したのが、先に写真を見せるという打ち手だ。
既に撮影を終えた男性一人旅、女性一人旅、女性三人旅の写真を見て「なにこれ」と思った人が、その先で出会う言葉として「ヨロン島を、自分だけの特等席で味わう」を配置する。

ビジュアルが好奇心を作り、言葉がその好奇心に答える、この順番を意識して設計した。

新しい文化はいつも、小さな名づけと小さな呼びかけから始まる。
ヨロキャンという言葉も、まだ生まれたばかり。
これから育っていく姿を、楽しみに見届けたい。

次回もコンセプト設計の続きを紹介する。
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