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医療費も、出産費用も――生活保護「8つの扶助」の中身を知っていますか?③

「生活保護=生活費がもらえるだけ」——そう思っていませんか?

こんにちは。大学で社会福祉を教える教員です。地域福祉と生活保護についてお伝えするシリーズの最終回は、生活保護で実際に何が支えられているのか、その中身と注意点についてお話しします。

①生活保護の「8つの扶助」――何が支えられているのか

生活保護は、暮らしに必要なさまざまな費用を「8つの扶助」という形で支えています。

  1. 生活扶助(食費・被服費・光熱費など、日々の暮らしに必要なお金)

  2. 住宅扶助(家賃相当額)

  3. 医療扶助(医療費の自己負担がなくなる現物給付)

  4. 介護扶助(訪問介護や福祉用具など、こちらも現物給付)

  5. 葬祭扶助(火葬や遺体搬送の費用)

  6. 教育扶助(義務教育に必要な学用品費や修学旅行費など)

  7. 出産扶助(分娩費用や入院費)

  8. 生業扶助(資格取得など、就労に向けた技能習得費用)です。


このうち医療扶助と介護扶助の2つだけは、原則としてお金ではなく「現物給付」。窓口で医療券を提示すれば、自己負担なしで治療や介護サービスを受けられる仕組みです。それ以外の6つは、基本的にお金で振り込まれる「金銭給付」です。子育て世帯にとって身近なのは教育扶助や出産扶助で、新学期の学用品費や、出産時の入院費なども対象になります。

②知っておきたい注意点――不正受給と"貧困ビジネス"

生活保護は税金で運営されているため、不正受給には詐欺罪などの厳しい罰則があります。実際に、アルバイト収入を申告せず生活保護費をだまし取ったとして逮捕された事例も報道されています。

また、より深刻なのが「貧困ビジネス」です。生活保護受給者を自分のアパートに住まわせ、通帳や印鑑を管理して保護費の大半を徴収するという悪質な事件も実際に起きています。生活に困窮し、社会的に孤立している人ほど、こうした搾取のターゲットにされやすいという構造があります。

③「相談していたら」――孤立を防ぐのは、やっぱり地域とのつながり

生活保護の制度がどれだけ整っていても、そこにたどり着けなければ意味がありません。2016年、岐阜県のある家庭で、高齢の母親と娘が孤立した末に病死・餓死したとみられる事件が報道されました。町職員が近隣住民から異変の情報を得て一度は訪問していたものの、支援は要請されなかったといいます。

「もし、生活保護の相談をしていたら」「もし、もう少し周囲が気にかけていたら」——そう考えずにはいられません。以前の記事でお伝えした民生委員の訪問や、自治会の見守り活動は、まさにこうした孤立を防ぐための仕組みです。しかし、外とのつながりを持たない世帯には、情報も支援も届きにくいのが現実です。

さいごに

生活保護は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を実現するための、恥ずかしい制度ではなく、誰もが使う権利のある制度です。困ったときは、お住まいの地域の福祉事務所に相談できることを、ぜひ知っておいてください。

全3回にわたって、貧困と生活保護についてお伝えしてきました。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。



・生活保護法に定める8種類の扶助(生活・住宅・医療・介護・葬祭・教育・出産・生業)
・産経WEST(2017年6月22日):生活保護不正受給に関する報道
・毎日新聞(2016年6月23日 地方版):貧困ビジネスに関する報道
・朝日新聞デジタル(2016年5月18日):岐阜県大野町の事件に関する報道
・日本国憲法第25条

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