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9人に1人――"子どもの貧困"を知っていますか?最新統計から見える日本の格差①

こんにちは。大学で社会福祉を教える教員です。今日から数回にわたり、「生活保護」をテーマに、いざという時に知っておきたい社会保障の仕組みについてお伝えします。

①「貧困」には2つの種類がある――絶対的貧困と相対的貧困

貧困と聞くと、食べるものがない、住む家がないといった状態を思い浮かべる方が多いかもしれません。これは「絶対的貧困」と呼ばれ、衣食住という生きるための最低限の条件が欠けている状態を指します。

一方で、現代の先進国で問題になっているのが「相対的貧困」です。これは、その国や地域の大多数の生活水準と比べて著しく所得が低く、人並みの暮らしや社会参加から排除されている状態のこと。たとえば今の日本でスマートフォンやネット環境がなければ、学校の連絡網も見られず、アルバイトの応募もできず、友人関係からも孤立してしまいます。命の危機(絶対的貧困)はなくても、社会から締め出されてしまう。これが相対的貧困です。


②数字で見る日本の貧困――子どもの貧困率11.5%、そして20代の異変

厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2022年公表、対象は2021年)によると、日本の「子どもの貧困率」は11.5%。およそ9人に1人の子どもが相対的貧困の状態にあります。もし将来、お子さんが30人のクラスに通うとしたら、その中の3人ほどは、人並みの暮らしや教育の機会が制限されているかもしれない、ということです。ちなみにこの数字は2018年調査の14.0%から2.5ポイント改善していますが、依然として先進国の中では厳しい水準にあります。

もう一つ、近年注目されているのが「20代の生活保護受給者の急増」です。生活保護を受給する世帯数は令和6年度に過去最多を更新し、全体に占める割合はわずかながら、20代の受給者は6年連続で増加しています。特に20代受給者のうち46%にあたる約2万8千人が「単身」で暮らしており、これは25年前(1999年度)の約7倍という急激な増加です。背景には、心身の不調や、頼れる実家がないといった「家族の機能不全」が指摘されています。子どもの貧困は、実は将来の「若者の孤立」にもつながっているのです。

③保護率という指標――地域によってこんなに違う

実際に生活保護を利用している人の割合を「保護率」と呼びます。2023年の全国平均は16.1〜16.2‰(パーミル、千人あたりの人数)。1万人の街なら約160人、10万人の都市なら約1,600人が利用している計算です。この保護率、実は地域によって大きな差があります。大阪市(2020年3月時点)では49.5‰と全国平均の3倍以上。中でも大阪市西成区は230.0‰と、区民の4人に1人が生活保護を利用している計算になります。背景には、失業率の高さや単身高齢者の多さ、日雇い労働者の高齢化などが指摘されています。

さいごに

「貧困」は、遠い誰かの話ではなく、統計の上では身近な数字として、私たちのすぐそばにあります。次回は、こうした困窮に対して国がどのような制度で応えているのか、「生活保護制度の仕組み」について詳しくお伝えします。


【今回使用した最新データの出典】
・厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」:子どもの貧困率(11.5%、2021年時点)
・厚生労働省調査結果を報じたNHKの記事(2026年4月):生活保護受給世帯数(令和6年度、165万674世帯、過去最多)、20代単身受給者数の推移
・大阪市公表資料:大阪市および西成区の保護率(2020年3月時点)

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