ホーバーターミナル西大分
ホーバーターミナル西大分 へ。
設計:#藤本壮介建築設計事務所 + #松井設計 設計業務委託共同企業体

大分県がアジア初の「水平型宇宙港」として大分空港を活用し、人工衛星の打ち上げを目指すという壮大な構想。
その海上アクセスの起点として計画されたのが、建築家・藤本壮介氏による〈#大分空港海上アクセス旅客ターミナル〉です。

本プロジェクトは、かつて大分市街と空港を直線で結びながらも廃止を余儀なくされた「ホーバークラフト」の復活という地域悲願の歴史的文脈と、未来の宇宙ビジネスという二つの時間を繋ぐ、大分の新たな象徴として設計されました。

建築の最大の結節点は、海に向かってなだらかな曲線を描きながら、空へと向かって上昇していく大屋根の造形にあります。





この上昇するベクトルは、宇宙へ飛び立つロケットの軌道を象徴するだけでなく、訪れる人々を自然に高さ12mの展望台へと導く立体的なスロープとして機能しています。
ここからは全方位に開かれた別府湾の眺望とともに、ホーバークラフトのダイナミックな出入港を間近に体感することができ、これまで単なる通過点であったインフラ施設を、風景と対話するための「舞台」へと昇華させています。






藤本氏が大分のアイデンティティーとして空間に編み込んだのは、豊かな「スギ林」の風景でした。
天井高を十分に確保した全面ガラス張りの待合スペースには、垂直に伸びる構造体が林立し、まるで深い森の中を散策しているかのような光と影の体験をもたらします。



この屋内・屋外スペースは、県外からの来訪者には地域材の魅力を伝えるショーケースとなり、地域の人々にとっては、潮風を感じながら日常的にふらっと立ち寄れる「街のリビング」としての役割を担っています。



直島パヴィリオンで見せた「結晶化した雲」のような透過性は、ここでは地元の素材感と結びつき、より土着的な温かみを纏った空間へと進化を遂げています。
意匠の美しさのみならず、交通結節点としての機能性も極めて緻密に計画されています。



一枚の大屋根の下で、ホーバークラフトの乗降場からバス・タクシー乗り場、駐車場までが一体的に配置され、公共交通と一般車両の動線が合理的に区分されました。
これにより、二次交通への円滑な乗り換えが実現され、これまで高速バスで約60分を要していた空港アクセスを劇的に短縮するホーバークラフトの利便性を、建築が最大限に引き出しています。
坂茂氏による「竹の集成材」を用いた革新的な提案との競り合いを経て選ばれたこの藤本案は、伝統工芸や特産品、郷土料理といった大分の多種多様な魅力と巡り会う「出会いの場」としても構想されています。
別府湾の風景を書き換え、大分を世界と、そして宇宙へと繋ぐこの建築はロマン溢れる存在に感じました。
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