子どもの偏食は克服できる?【食べられるようになるヒント】
こんにちは。
【岩間こどもクリニック】院長の岩間義彦です。
当クリニックで乳幼児健診や個別栄養相談を担当している管理栄養士・龍仙理恵子がお届けする『食と栄養』。
第7回目のテーマは 「子どもの偏食」 です。
「うちの子だけ?」
「このままで大丈夫?」
と心配になる偏食の悩み。
どのご家庭でも一度はぶつかる“あるある”のテーマです。
今回は「無理に食べさせる」のではなく、子どもが自然に食べられるようになるための工夫やヒントをまとめました。
偏食は多くの家庭で起きる“あるある”の悩み
子どもの偏食や好き嫌いに悩むママ・パパは少なくありません。
特にはじめての子育てでは「うちの子だけ?」「このままで大丈夫?」と不安になることも多いでしょう。
大塚製薬が実施した「子どもの食育とデジタル活用に関する調査」によると、
小学生の子どもをもつ親の6割以上が「子どもの偏食や食わず嫌い」に悩んでいる
7割以上が「子どもの栄養バランスが偏っていると感じた経験がある」
という結果が出ています。
つまり偏食は特別なことではなく、どの家庭でもよくある“あるある”の悩みなのです。
必要以上に悩む必要はありませんが、かといって放っておいてよいものでもありません。大切なのは、偏食とどう向き合うかなのです。
偏食は成長すれば自然に治る?
「そのうち食べられるようになるから大丈夫」と考える方もいます。
確かに成長とともに体や心が発達し、食への理解が深まるにつれて、自然と苦手なものを受け入れられるようになる子もいます。
しかし、問題は 「いつ」その時が来るのか分からない ということです。
乳幼児期から学童期にかけては骨や歯、筋肉、臓器や脳を作るために欠かせない栄養素を毎日とる必要があります。野菜が嫌いならビタミンやミネラルが、乳製品を避けるならたんぱく質やカルシウムが不足してしまいます。
体の土台を作る大切な時期に栄養不足が続くと、将来の健康に影響する可能性もあります。だからこそ「自然に治るのを待つ」のではなく、必要な時期に必要な栄養をとれる工夫が大切です。
砕いて、刻んで、包んで、すりおろして――工夫次第で口に入る
小さな子どもに苦手な食材を「体に良いから食べなさい」と言ってもなかなか効果はありません。
特に1歳半頃までは言葉の意味が理解できないため、調理で工夫することがポイントになります。
例えば、ニンジンが苦手なら牛乳や豆乳と一緒に煮てブレンダーでなめらかにすればポタージュに早変わり。形が見えないので口にしやすくなります。
刻んだ野菜はチャーハンやカレーに混ぜれば味になじんで気づかず食べられることも。さらにハンバーグやお好み焼き、ホットケーキに忍ばせたり、餃子や春巻きの皮に包んで揚げたりするのも効果的です。
このように、砕く・刻む・包む・すりおろすといったシンプルな工夫だけで、「嫌いだから食べられない」を「気づかず食べられた!」に変えられることがあります。

苦手な食べ物にトライする気にさせる工夫
お子さんが成長し言葉の意味が理解できるようになったら、調理の工夫に加えて声かけや体験を組み合わせましょう。
「実はね…」と種明かし
苦手な野菜を刻んで入れた料理を食べられたときに、「実はこの中に○○が入っていたんだよ」と伝えると、自信につながり「食べられた!」という成功体験になります。プラスの効果を伝える
ある小学校では、給食に出るキウイを子どもがあまり食べませんでした。そこで校長先生が「キウイにはビタミンCがたくさん入っているから、お肌がきれいになるんだよ」と話したところ、次からみんなが食べるようになったそうです。こうした情報は子どもの気持ちを前向きに変える力を持っています。一口だけチャレンジを褒める
「ママが一生懸命作ったから、一口だけ食べてみて」と声をかけ、食べられたら大げさなくらいに褒めてあげましょう。少しでも口にできた経験の積み重ねが克服の第一歩になります。一緒に体験する
スーパーでニンジンなどの食材をお子さんに選ばせたり、家で洗ったり切ったり食材に触れさせるだけでも「自分が関わった食材」に親しみがわき、口にするきっかけになります。
こうした小さな工夫の積み重ねが、子どもの「食べてみよう」という気持ちを育て、苦手な食べ物への挑戦につながっていきます。
できるだけ食事の前は空腹にしておく
苦手な食材を食べてもらう意外なコツは、空腹のタイミングを活かすことです。お腹が空いていれば、嫌いなものでも「少し食べてみようかな」という気持ちになりやすいものです。
そのため、「食事直前に甘いおやつやジュースを与えないようにする」、「生活リズムを整えて適度に空腹になる時間を作る」ということが大切です。
また、子どもは親の姿をよく見ています。
ママやパパが苦手な食材を避けていると「自分も食べなくていいんだ」と思ってしまうことも。
家族みんなで同じものを一緒に食べる姿を見せることが、子どもにとって大きな学びになります。

偏食は成長の証し。諦めず前向きな工夫を
子どもの偏食に悩むママやパパへ伝えたいのは、「偏食=悪い」とは限らないという点です。味覚や嗅覚、視覚、食感などの感覚が発達してきたからこそ、「これは苦手」と感じられるようになります。
つまり、偏食は五感がしっかり育っているサインでもあります。
大切なのは、ただ見過ごさない姿勢です。
「どうせ食べてくれない」と諦めてしまうと、成長期に必要な栄養が不足するだけでなく、「嫌いなものは食べなくていい」という考えが定着してしまうおそれがあります。
とはいえ、「全部食べるまで席を立っちゃダメ」と無理に押し付けるのも逆効果。焦らず工夫を重ねながら、少しずつ「食べられた」という成功体験を積み重ねていくことが大切です。
なかには、偏食の背景に「悪いイメージ」や「嫌な経験」など心理的な要因が潜んでいることもあるため、なぜ苦手なのかをやさしく聞いてあげることも忘れないでください。
偏食は多くの場合、一時的なものです。
あきらめず、前向きに、そして楽しく工夫を続けていくことで、やがて子ども自身の「食べる力」が育っていきます。
今回の記事は以上です。
いつもご覧になっていただき、ありがとうございます。
育児に向き合うママ・パパの参考になりましたら幸いです。
岩間こどもクリニック
管理栄養士 龍仙 理恵子
