闇 407(ルネッサンスと太麵焼きそばとビンゴ5編)
闇 407(ルネッサンスと太麵焼きそばとビンゴ5編)

2025/11/29 sta
前回の章
二千十七年五月七日、日曜日先負。
金も無いのに格好つけて、小銭を増やそうとJRAに金を吸われ、休みは部屋でプレステーション3で二ノ国。

どうすんだよ!
二ノ国クリアしちゃったよ……。
もうこれ以上ないってほどプレイしてしまったぞ?
あとどうするの?
侘しい休日。
これもすべて自身の不徳の致すところ。
これで財布の中に残っている僅かな銭で、酒を煽るのか?
「……」
セブンスターに火をつけて、煙を吐き出す。
実はこれも金が掛かっている。
でもやめられない。
とまらない……。
「おー、智一郎」
親父が俺を呼ぶ。
あの野郎、横着して部屋越しに呼びやがって。
タバコを揉み消して立ち上がる。
「何だよ?」
「天丼食いたくねえか?」
「食いたくねえよ!」
「何だと? この野郎!」
冗談じゃない。
何で競馬にも負け、ゲームをクリアしてしまい路頭に迷っているところへ俺が親父に自分の金で天丼まで買いに行かなきゃならないんだ。
真面目に働いている。
二俣川の時のように一ヶ月半働いて、一万五千円しかもらえなかったという訳じゃない。
何故こうまで金が無い?
ヤバいよ、色々。
俺、四十五歳だよ?
奥さんいたら、絶対に殺されているよ?
意識革命をする時が来たのだ……。
深く慎重に考えよう。
まず休みを取らず、一心不乱に働く。
「……」
却下……。
何故なら丸メガネ香川の顔を休み無しで見続けるのは不可能だから。
うん、それはしょうがない。
じゃあ休みはこれまで同様取る方向で。
では次にこの路頭に迷った状況を何とかせねばならない。
これについては?
答えは簡単だ。
二ノ国はとても面白かった。
でもクリアしてしまった。
でも、調べたら二ノ国2があるのを知った。
だがプレステーション3ではできないらしい。
多分ジブリ映画を観ない俺に対しての嫌がらせでの事だろう。
つまり二ノ国2をプレイするには、プレステーション4が必要という事。
今の俺には手が出ない。
何故ならお金が無いから。
ではどうする?
簡単である。
毎日一万円の日払い発生。
十日に残りの分の給料。
まあ今回は岡部さんに最後の返済をしてようやく終わる。
まず無駄なものを次々と削いでいく。
一番は競馬。
あれはたまに当たるからより質が悪い。
あんなものに毎度毎度金を賭け続けるから、こうしておかしくなってしまう。
次に負けたあとのヤケ酒。
これも親父の遺伝子のせいで、ついつい格好をつける場面が多い。
川越という生まれ育った場所なので、行く先行く先知り合いに会う可能性が非常に高いのだ。
これまでの例を思い出せ。
一人で飲みに行く。
たまたま異性、後輩などとバッタリ出会う。
格好つけて金を奢る。
あとで後悔。
得るもの何も無し。
これが岡部さんと一緒なら、基本割り勘かお互い阿吽の呼吸なので、金銭トラブルは発覚しない。
つまり一人のみは禁止すればいいだけ。
そしてプレステーション4を買うにはどうすればいいか?
答えは簡単である。
毎日日払いをもらえるのだ。
そこから一日千円か二千円をプレステ貯金すればいい。
残った金で好きなものを食うなり、競馬に使うなりそれは自由。
ストレスを溜めず、尚且つプレステも手に入るというこの合理的さ。
何か目の前で道が一気に開けたような気がした。
おそらくこういう事を悟りを開くというのだろう。
斉藤弘一は俺に対し「岩上さんは何か持っている」と言ってくれた。
だから俺はそれに答えたい。
「うん、あるよー!」
ゴールデンウイークも終わったあとのこの意識革命。
名付けて『智一郎ルネッサンス』。
何か響きがいいぞ。
心のゆとりさえすでに生まれつつある俺。
そう…、悟った俺はこのゆとりさ加減を近くにいる人間から教えを説かなければならない宿命まで到達した。
俺はまた親父の部屋へ行く。
人の顔を見てジロリと睨み付けてくる親父。
カルシウムの足りていない証拠だ。
「天丼食うか?」
「もういらねえよ! このクソ野郎が!」
「何だと? せっかく買ってきてやろうと思ったのに!」
「いらねえって言ってんだろ!」
「ケッ……」
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