闇 424(武豊と佐野量子編)
闇 424(武豊と佐野量子編)

2025/12/18 thu
前回の章
二千十七年八月十二日、土曜日友引。
新宿から川越に戻り、いつもの中央通りルートでなく、クレアモール商店街から帰ろうと進路を変える。
別段深い意味合いはない。
気分的に今日だけそうしたいと思っただけ。
ルナが働いているであろうクソキャバクラの前を通過した時、目の前から来る自転車へ乗る女性から声を掛けられる。
「ん? うーん……」
「やですねー、先日一緒に呑龍行ったアヤですよ! ほら、アトレで働いていると言った」
「あー、岡本さんや栄治さんと一緒にいた。ごめんなさい、すぐ思い出せませんでしたよ」
「良かったら今度フェイスブック申請してもいいですか?」
「ええ、構いませんよ。この出会いを記事にしておきますから」
「えー、楽しみ。絶対ですよー」
家に帰り、風呂に入ったあと約束通りフェイスブックへ記事を書き投稿してみた。
つい今さっきの出来事なんですが、先日岡本さんと久しぶりに飲む際知り合ったアトレのアヤさん。
仕事を終え、地元川越へ戻り、負け犬のようにトボトボ歩いていると、対面から自転車に乗った女性が「オッス、オラ、アトレ。うりゃ〜!」と不意打ちでラリアートされました。
突然だったので痛かったです。
おわり
いや、ヤバい、酔った勢いでやってしまったか!
と思いましたよ。
結局今日の競馬も全滅。
明日の競馬は札幌がエルムステークス、新潟は関屋記念、小倉は博多ステークスだから七千円をネオ岩上ルールで賭ける事ができる。
俺は賭け金と別に一万円だけ財布に入れ、残りの金をプーさんの缶へ入れた。
二千十七年八月十三日、日曜日先負。
休みであるが、勝負があるので部屋で大人しく過ごす。
二度目のゴッドファーザーを観た。
でも途中で寝てしまったようだ。
特に用事もなく誰と会う訳でもなく。
セブンスターに火をつけ、ただ寝転がる。
川越へこうして生還し、再び新宿へ仕事へ行っている訳だが、今の俺に何か生きる意味合いでもあるのだろうか?
稼いだ金の大半を競馬へ突っ込んで一喜一憂する。
まだ当たっている時は良かった。
しかし負け続け、熱くなり前回ネオ岩上ルールなど馬鹿なものまで決めたが、普通にプーさんの缶へ稼いだ金を入れていたほうが利口じゃなかったのだろうか?
「……」
あの二俣川の空腹地獄を思い出すと、いつからこう図に乗るようになってしまったのだと自身を恥じる。
何を思い上がっていたのか。
とりあえずあの時の金を岡部さんには返せた。
だが、それで本当にいいのか?
俺は自身のこの先の想定を何一つ考えず、現実逃避してしまっているのだ。
週末になれば、競馬。
少し気になった女がいれば口説き、無駄金を使う。
こんな生活に何の意味があるのだ?
先日行ったエトワールで小説は書かないのかと聞かれ、格好つけた言い方で誤魔化した俺。
パソコンを眺める。
今、ワードを起動すればすぐにでも文章は書ける。
だが、立ち上げたところで一体何を書く?
散々吐いて逃げた『新宿コンチェルト』の続きか?
あれは百合子と付き合っていた二千五年から二千六年の事。
もう二千十七年だぞ?
ガールズコレクションの事だけでなく、様々な因果が生まれ過ぎ、やっと一息ついている状況なだけ。
二度目の新宿歌舞伎町インカジ時代。
初期の横浜時代。
三度目のインカジ新宿クレッシェンド。
そのあとの〇〇会との因縁。
二度目の横浜地獄めぐり。
自身を主人公でとして書く『新宿プレリュード』の続きから、いや…、『鬼畜道~天使の羽をもつ子~』の続きを書くにしても、相当な量になってしまう。
臆したのか?
そんなんじゃない。
多分書こうと思えば俺は書ける。
ただ、そんなこれまでの失敗しズタボロになった自分を書く事に、何の意味合いがある?
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