恋愛万事塞翁が馬【柊 優斗】②
日直は僕と星野さんだった。
そのまま廊下にでて矢沢先生に声をかける。
矢沢先生の手元には、大きな教科書の束があった。
要するに、それを持って欲しかったのだろう。
「持ちます」
そういって両手を差し出すと、矢沢先生は僕に教科書の束を載せた。
「良かった、助かるわ。じゃあ、職員室に行きましょうか」
歩き出そうとすると、後ろからドアが開く音がした。
僕の予想通り、それは星野さんだった。
「じゃあ、星野さんは黒板消しをお願いね」
矢沢先生にそういわれ、慌てていた星野さんはコクコクと頷き教室へと戻っていく。
歩きながら、矢沢先生は僕に話しかけてきた。
「職員室もちょっと遠いからね。最近、階段が辛くって。まあ、運動不足もよくないけど」
「なにか、都度いっていただければ僕が持ちますし。体調は最近どうですか?」
「つわりの時期は終わったからねえ……体が重いのが辛い程度かしら」
「いつも通り、食べてるんですか?」
「食べてる食べてる。二人分、しっかり食べてるわ」
そういうと矢沢先生はいつもより軽やかな声色で、さらに柔らかな笑顔へと変わった。
つられて、僕も思わず口角が上がる。
職員室の矢沢先生の机に教科書の束を置き、矢沢先生に
「ちょっと相談したいことが」と、僕は声をかけた。
職員室前の廊下に出てもらい、僕は持ってきたカバンから折り畳み傘を手に取って、差しだした。
「これ、使ってください」
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