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怪しいメールは、ひとりで見分けようとしなくていい

メールを開いたとき、
少しだけ手が止まることがあります。

見覚えのある名前。
いつものやり取りに似た文面。
急ぎのようにも見える言葉。

でも、
どこか少しだけ引っかかる。

そういう瞬間は、
案外めずらしくないのだと思います。

本物に見えるものほど、
迷うことがあります。

慣れていないからではなくて、
むしろ、
慣れている人でも迷うことがあります。

急いでいるときほど、
判断は急ぎ足になります。
先に返した方がいいかもしれない。
確認はあとでもできるかもしれない。

そう思って動きかけたときに、
少し立ち止まれるかどうか。
それは、思っているより大事なのかもしれません。

怪しいものを、
いつも完璧に見分けられる人でいること。
それを求められると、
少し苦しくなります。

ひとりで判断すること。
間違えないように気を張ること。
忙しい中で、
そのたびに立ち止まること。

それは、
静かに負担になります。

だからこそ、
大切なのは
見抜く力だけではないのだと思います。

迷ったときに、
迷ったままで止まっていいこと。
すぐに誰かに共有できること。
これ、本物でしょうかと
気軽に聞けること。

そういう流れがあるだけで、
人は少し落ち着いて動けます。

きれいに説明できなくてもいい。
確信がなくてもいい。
何となく気になる、だけでもいい。

その小さな引っかかりを、
ひとりで抱え込まなくていいこと。
それだけでも、
ずいぶん違うのだと思います。

それに、
普段のうちに
少し試してみる機会があると、
迷ったときに止まりやすくなることがあります。

本番のように構えなくても、
こういうこともあるのだと
一度触れておくだけで、
反応のしかたは少し変わります。

ひとりで見分けなくていい形。
迷ったら止まっていい空気。
声をかけやすい流れ。

そういうものが整っていることも、
見えにくいけれど
大切な備えのひとつなのかもしれません。


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