17.ゾロアスター教は一神教だった
画像は以下のサイトから転載。
ゾロアスター
ゾロアスター教は、二神教で有名かと思います。善の神はアフラ・マズダで、悪の神はアーリマン、ということになっています。
創始者はもちろんゾロアスターです。紀元前七世紀ごろの人物といわれています。

ゾロアスターは高貴な家の出で、祭司となるべく幼いころから勉強していたのですが、当時の祭司たちは偽りの神々を崇拝していました。ゾロアスターは三十歳のとき、春の祭りに出席した際、人生を変えるようなビジョンを体験し、宗教改革に乗り出します。
やはりといいますか、ゾロアスターの教えは受け入れられず、命を狙われ、家を追われます。
その後ヒスタスペスという王の愛馬の麻痺を癒やし、ヒスタスペスは最初の改宗者となりました。王が改宗したので、ほかの者もつづきました。
二つのマギ
ゾロアスター教はもともと一神教でした。二神教に修正したのはマギだと考えられています。

マギなのですが、ここがややこしい話なのです。
マギとはもともと、ゾロアスター教の正式な祭司を指す称号でした。ですが古代の学者は、バビロンのカバラ主義者「カルデアのマギ」と混同していたのです。
つまり古代の学者は、ゾロアスターの後継者、正式な祭司としてのマギの教義を学んでいたつもりだったですが、正統派のゾロアスターの教義とはなんの関係もなかったのです。
「マギちがい」であり、その教えはカルトです。カバラ主義者のマギは、火を崇拝し、人身供犠や近親相姦などを行っていました。
バビロン捕囚から半世紀後の紀元前五三九年、ペルシャがバビロンを征服したとき、マギは現地のカルデア人と接触し、その信仰と教えをゾロアスター教に取り入れました。
祭司のマギとバビロニアのマギ(祭司になったが詐欺師)は、当時明確に区別されていましたが、紀元前五世紀、クセルクセス王の時代から、マギは宮廷で好意を寄せられるようになり、マギという称号は異端的な意味合いを失っていきます。
生贄を捧げ、夢占いを行う改悪版ゾロアスター教がデフォルトになってしまったわけです。
ここでもカルデア人と異端ユダヤ人が登場し、影響を与えています。
ちなみにペルシャにおける「マギ」は、魔術師という意味ではありません。
ギリシャ人が「マゴス」としてギリシャ語に取り入れ、それに魔術師という意味合いを付与したのです。それが西洋に伝わり、メイジ=魔術師となりました。
紀元後二十三年生まれの古代ローマの博物学者、プリニウスは、『博物誌』の中でこう記しています。
ゾロアスターがペルシャで魔術をはじめたことはまちがいない。
とくに驚くべきことは、その伝統と技術がこれほど長いあいだ存続してきたことである.
プリニウスのような歴史的人物が、魔術について真顔で(?)記しています。
十九世紀の思想家エリファス・レヴィによると、ゾロアスターの時代の道士たちは、自然の力を自由にできる秘奥を知っていたとのことです。電気の存在を知り、自在に操る秘密の奥義を知っていたといわれています。本当であれば、まさに魔術師です。
東芝は過去に、電球や真空管のブランド名として、マギという名称を使用していました。
自動車メーカーのマツダはアフラ・マズダに由来しています。
大会社は「歴史」を知っているのです。さらにいうなら、だれかの入れ知恵があったのです。宗教とオカルトの歴史を知る裏の人たちであり、なのでこの手の会社は潰れません。
トヨタのロゴマークは、よく見るとちんこが女性器に突き刺さっています。

ゾロアスターの魔術は、エリファス・レヴィによると、時のアッシリア王サルダナパールが失わせてしまいました。

ドラクロワの絵画「サルダナパールの死」を見ていただくとわかるとおり、サルダナパールは自堕落な女装好きの王で、魔術で酒をうまくしろ、などとやっていたのだそうです。初期アッシリア帝国は滅び、ゾロアスターの魔術も失われてしまいました。
二神教の罠
これまでのほとんどの宗教は、善なる神に敗北する(劣った)悪い神、という「設定」でした。
そこへマギは、二神教改悪ゾロアスター教として、悪が善と対等になり、両者が永遠に戦争しつづけるという「設定」を生み出しました。
つまりサタンたる存在が、「神」に昇格してしまったのです。もはや同等の存在です。
この同列化は、なにげないようですが世の中に大きな影響を与えています。
わたしたちは「神と悪魔(サタン)」というように、とくに疑問を感じることもなく、同列に捉えています。そして「悪が勝つのもよくあること」「現実は厳しいのだ」などと考えます(だから逆に勧善懲悪のマンガが好まれます)。
ですが悪さえも唯一神が創造したのです。この理屈では、悪が勝利するはずがないのです。
十九世紀ベルギーに生まれた歴史学者フランツ・キュモンは、古代の学者がかんちがいして言及していたマギたちは異端的な解釈に従ったマギたちで、時の神ズルワーンを崇拝する異端ゾロアスター教に影響されている、と主張しました。
時の神といえばサタン、土星です。ズルワーンは土星という意味です。
マギバージョンのゾロアスター教が、ズルワーン派です。こちらの神話によると、当初、偉大な神ズルワーンは単独で存在していました。ズルワーンは天国と地獄、そしてそのあいだのすべてのものを創造する子孫を欲し、善神アフラ・マズダと悪神アーリマンを孕みました。
なので悟空とベジータは対等になったんだよ、という言い訳です。
ゾロアスター教も三位一体
キュモンによると、もともとゾロアスター教は原始的で、神話も自然崇拝の色がある宗教でした。バビロンの征服によって、カルデア人の洗練された神学、星崇拝と融合しました。
結果マギは、バビロニア人が崇拝していた三位一体を採用しました。太陽、月、金星に代表される、父神、母神、子神のおなじみの構成です。
この三位一体の内訳は、アフラ・マズダ、アナーヒター、ミトラです。アフラ・マズダはベル(バアル=マルドゥク)と混同され、アナーヒターは金星を司るイシュタルに(カナンのバアルの配偶者アスタルトと同一視されます)、ミトラは太陽神シャマシュになりました。
三位一体については、以前の記事で書いたとおりです。
邪教のルーツについても以前書きました。
マギはカルデア人の教義を守り、宇宙を生命体として考えていました。宇宙は星々によって運命を支配されています。
そしてカルデア人といえば、占星術に数学です。この運命的なサイクル(惑星の一呼吸)が、厳密な数学によって証明されるわけなので、しぜんとそれを人の生に置き換え、輪廻転生の概念が生まれます。
魂は生まれ変わり、ときには獣に生まれ変わります。なので動物の肉を食べないようにしていました。
プリニウスは、ゾロアスターの弟子オスタネスが伝える魔術の定義ついて記しています。
かれ(魔術師)は、水、球体、空気、星、ランプ、洗面器、斧、その他多くの方法で占いを行えると公言し、さらに幽霊や冥界の者たちと会話できると公言する。
魔術師はまた、呪文と儀式によって冥界の門を開き、望む者を安全に導き、連れ戻すことができるのだそうです。
この特徴は、ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』などにある、正統派に敵対するディーヴァ崇拝者のマギ、つまり悪魔崇拝者の特徴と一致しています。
紀元二世紀の神学者、アレクサンドリアのクレメンスは、「マギたちは天使や悪魔を崇拝している」と記しています。
『アヴェスター』の注釈書『デンカルト』にはこんな記載があります。
人を傷つける宗教を人のあいだに広める宗教教師の宗教は、邪悪な情念に影響された卑しく軽蔑すべき行いによって、人に苦難とあらゆる種類の傷害をもたらす。
ソドミーを行う者とそれを行わせる者がディーヴァのようになることについて。
ソドミーというのは、子供を産むため以外の不自然な性行為です。相手にはヤギなどの動物も含まれます。
マギたちは基本的にディーヴァを崇拝する悪魔崇拝者で、ミトラに捧げる神秘儀式を実践していました。ゾロアスター教の二元論をカルデアの占星術と組み合わせ、ズルワーン教という異端的な形で保存しました。

ミトラはインドで崇拝されていましたが、紀元前六世紀のペルシャではすでにミトラ信仰が行われていました。
マギはペルシャのミトラを導入、崇拝することで、自分たちの悪魔崇拝を偽装したわけです。表はミトラ、裏はサタン。ニムロデ、セミラミス、タンムズのころからまったく同じパターンです。
『ディーヴァ碑文』という石版に刻まれたテキストには、ディーヴァ教団を弾圧した王クセルクセスのメッセージが書かれています。
以前悪魔(ディーヴァ)が祀られていたところがあった。その後、アフラマズダの恩恵により、わたし(クセルクセス)はその悪魔の聖域を破壊し、『悪魔を崇拝してはならない!』と宣言した。
そしてその結果、マギの大量移住につながったと考えられています。
バビロニアで多くの叡智を吸収し、あれこれ悪さをしたあと、小アジア(アナトリア半島、現在のトルコ)に信仰を移し、古代ギリシャ、ローマのミトラ教が生まれます。
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