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避難が難しい人たちの防災について、あおぞら居宅介護支援事業所の大柿代表に教えていただきました

あおぞら居宅介護支援事業所の大柿敏雄代表に、不登校やひきこもりの状態にあって避難が難しい人たちの防災について教えていただきました。

大柿さんは、2026年5月に板橋地域センターで行われた地域づくりのイベント(主催:板橋区教育委員会)で、地域防災について事例紹介をされました。
同イベントには、いたホムも「不登校について地域と共に考える」というテーマで参加していて、その席で、不登校状態にある子どもたちの避難の困難さを訴える機会がありました。このような経緯で教えていただいた対策を、許可を得て掲載します。


(1)不登校・ひきこもりの状態の人びとの避難を考える

避難が困難なケース

不登校やひきこもりの状態にあると、一時避難所への避難が難しい人も少なくありません。
・大勢の人と一緒に過ごすことに困難を感じやすい
・家の外に出ることが難しい
・学校へのつらい思い出などにより、避難所となる体育館等に入れない
などといったケースです。

そうした人たちが、災害時にどのような対応をとるこができるのか、大柿さんに教わった内容を記載していきます。

避難所に行けない場合の避難先

選択肢としては、次のようなものが考えられるそうです。
①在宅避難(自宅に安全が確保できる場合)
②車中泊
③親族や友人などの家
④ホテルなどの宿泊施設
福祉避難所(板橋区の場合、開設まで災害発生から3日程度かかる)

「避難しない準備」も重要

自宅の安全が確認でき、在宅避難が可能な場合を想定して、3日〜1周間分の備蓄をしておきましょう。

【備蓄品の例】
 ・水
 ・常備薬
 ・モバイルバッテリー
 ・ふだんから食べている食品
 ・スマホ・ラジオ
 →ふだん利用している物品があることで、精神的安定につながる場合も

「自分専用の避難計画」を作る

例1)外に出るのが難しい場合
 ・夜間や人の少ない時間帯に移動する
 ・まずは、玄関まで出る練習をしておく
 ・車での避難を想定した準備

例2)人混みが苦手な場合
 ・避難所の端のスペースを確保する
 ・避難所ではテントやパーテンションを確保する
 ・イヤーマフや耳栓、サングラスなど感覚刺激を軽減するものを用意する

例3)対人不安が強い場合
 ・本人ではなく家族が受付及び諸事務を代行する
 ・スマホの画面を用いた意思表示をできるようにする
 ・「話しかけないでほしい」と示すカード等を作成しておく

家族や周囲の人がやりがちな「逆効果」になる対応を予習しておく

声のかけ方ひとつで、避難行動に移れるかどうかが変わってくることもあるため、家族や周りの人があらかじめ知っておくことで、スムーズな避難ができる可能性が高まります。

 【適切でない声かけの例】
 ・早くしろ
 ・みんな頑張っている
 ・今は甘えるな など
 →パニックやフリーズを強める可能性があるので注意

【適切な声かけの例】
 ・どこなら行けそう?
 ・家と車のどっちがいい?
 ・今できることだけでいい など
 =選択肢を残した声かけを心がけましょう

事前に行政の防災担当に相談しておく

個別避難計画の作成
要支援者支援名簿への登録
福祉避難所の利用
といった支援につながる可能性もあります。

大切なことを再確認

・本当に大切なのは【
・「ちゃんと避難」するより「安全な場所へ少しでも移動できる」ことが重要
・避難所に対応できるかより、災害から離れることを最優先に



(2)学校に入れない子どもたちの避難を考える

学校に入れない子どもたち(不登校・学校環境に強い不安がある等)の避難の場面では、「避難所=学校」であることが強いストレスになる場合があります。
そのため、一般的な防災計画だけでは足りず、「学校を避けなければならない可能性」を前提とした避難準備が必要です。

子どもに起きやすいことと回避策

・避難所は小学校
・体育館へ行くよう迫られる
・集団生活を強いられる
→上記のような状況が、パニックやフリーズ、避難の拒否や身体症状などとしてあらわれる可能性があります。
→学校への不安や恐怖があることを、避難所の担当者に(できればあらかじめ)伝えることが大切です。

また、災害時用の保存食等は、月に1回程度、練習として食べる習慣をつけるておくと非常時にこまることが少なくなります。
偏食が多い場合などは、「食べられるもの」の選別を行っておけることにもつながります。

現実的な避難の選択肢

①在宅避難
 家の安全が確認できたら家に残りましょう。
 必要物品:水、食料、トイレ対策、充電器、常備薬、安心できるもの
 学校の避難所よりも精神的安定を保ちやすいです。

②車中避難
 車がある場合は、かなり有効な手立てとなりえます。
 利点:ひとりの空間を保てる、感覚刺激を減らせる、周囲の目が少ない
 注意点:エコノミー症候群、熱中症、寒さへの対策

③親族や知人宅
 「知らない避難所」より慣れた人の家の方が落ち着ける場合も。

④福祉避難所・個別配慮
 自治体によっては、感覚過敏や精神不安への配慮相談ができます。
 「障害認定がないと無理」と考えがちですが、まずは相談してみましょう。

事前にやっておくと良いこと

①避難の練習:小さなことから
 玄関まで出る
  ↓
 車に乗る
  ↓
 夜に少し外出してみる
  ↓
 学校以外への避難経路を歩く

などと、スモールステップの練習ができると良いですね。
楽しいことのついでに、無理のない範囲で練習をしてみるのも手かもしれません。

②子どもに確認しておくこと
 ・どこなら行けそう?
 ・体育館と車、◯◯さんの家のうち、楽なのはどれ?
 ・一人になれる場所は必要?
などといったことを、事前に確認しておくと災害時の混乱が低減します。

周囲が避けたい対応

「みんな我慢している」
「非常時なんだから」
「わがまま言わない」
などと、子どもを追い詰める言葉は避けるようにしましょう。

恐怖や興奮が強まると、避難そのものができなくなる場合もあります。

最後に、命を守るための優先順位を再確認!

最優先は、火災・建物倒壊・洪水・津波などから離れること。
学校避難所へ入れるかより、まずは安全な場所へ移動することを考えましょう。


まとめ

以上、大柿さんからうかがった内容をお伝えしました。
災害時に困りごとを抱えやすい不登校(傾向)の状態の子どもたちに
寄り添う、的確な情報をいただき感謝の思いです。

特に「「ちゃんと避難」するより「安全な場所へ少しでも移動できる」ことが重要」という指摘は、「避難所に入れないと避難ができない」という不安を溶かしてくれる、とても重要なアドバイスだと思います。

また、今回のやり取りを通じて、地域で防災に取り組む方たちと、顔をあわせたコミュニケーションを取っておくことの必要性も強く感じました。
自治会(町会)の担当者や消防団、民生・児童委員さん、支援団体の方がたなど、日頃から非常時に備えた活動をされている人たちに、避難が困難なことをお話するだけでも、安心につながるはずです。
板橋区のような都心部では、大きな災害があったときには、行政の助けはなかなか届かないことが予想されます。地域のつながりを大切に、たくさんの知恵や力を借りながら【命】を守る行動が取れるよう、準備しておきたいという思いをあらたにしました。