超一流ドラマーの条件・海外編:NBA選手のアンドレ・イグダーラこそドラムの理想形である【Part2】
日本人編をやったのなら、海外編もやらないと収まりが悪いでしょう。
↓↓↓【前回の日本人編】↓↓↓
超一流ドラマーの条件とは、バスケットボールの最高峰・NBAで活躍していたアンドレ・イグダーラのプレイスタイルそのもの、という説である。
頭沸いてんのかって?
うん、それはそう。
本稿は、主に1990年代から活躍のあったドラマー達の特徴を比較、それを「イグダーラ的特性」に変換することによって、「超一流ドラマーそれぞれのプレイスタイルの違いと、共通点」の言語化を試みるものである。
今回は海外編。
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#1. おさらい:アンドレ・イグダーラ的特性とは何か(再掲)
アンドレ・イグダーラは主にNBAの名門ゴールデンステート・ウォリアーズ(GSW)で長く活躍した名選手だ。彼の特徴は単純なスタッツでは測れない。
まずは彼の紹介から。
●アンドレ・イグダーラ(Andre Iguodala)
主にNBAのゴールデンステート・ウォリアーズ(GSW)に所属、チームの2010年代中〜後半の連続優勝を支えた王朝の一角。
永久欠番9。
ポジションはシューティングガード/スモールフォワードをメインに、必要に応じポイントガード(司令塔)やパワーフォワードも。
アスレチックで華麗なダンク、リーグトップクラスのディフェンス力、本当に必要な時だけ決めるスリーポイント、戦術理解力、針の穴を通すようなパスセンス、場合によっては司令塔も務める万能性で活躍。
「シックスマン(スタメンより重要なベンチプレイヤー)」の代表的存在。主にベンチスタートだったプレイヤーで史上唯一、ファイナルMVPを獲得している。
GSWでのイグダーラはチームの輪郭を整え、普段は脇役、必要なときだけ主役になる人だった。
普段は目立たぬ黒子役としてチームを支えるが、ここぞという時には主役になれる能力を持つ。
役割を自在に変えられる適応力も持つ。
ドラムも同じだ。
普段はテンポキープとダイナミクス調整に徹し、曲の骨格を維持する。だがブレイクや転調、サビラストなど「ここぞ」の瞬間には主役に躍り出る。ジャンルや場面に応じてプレイを変える柔軟性を持つ。
まさにイグダーラだ。
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#2. 一口に超一流ドラマーといっても、色々なタイプがいる
今回はこの「イグダーラ的特性」を測る前に、90年代を代表する(というか私の好きな)3名のドラマーのプレイスタイルを比較する。皆タイプは異なるが、ある共通点がある。
これだけで、勘の良い方なら「ああ、タイプは違ってもみんなイグダーラっぽいわ」と思ってもらえるはずだ。
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●チャド・スミス(Red Hot Chili Peppers)
→曲を「推進」するためにリズムが「跳ねる」。ファンクロックというジャンルに加え、特にパートナーのベーシストがフリー(Flea)であることも大きく、ふたりのユニゾンが全体の音像を決定することも多々(特に初期の曲)。
*特徴的手法
ベースとのユニゾンで16分やシンコペーションを多用、跳ねを強調。
*曲例
●Naked in the Rain → 裏拍を強調したバスドラとスネアがベースのスラップと同調し、推進感を極限まで高める。
●Give It Away → ベースのリフをドラムの跳ねと暴れで立体化。リスナーを踊らせる。
●Soul To Squeeze → バラードでも「ファンキーな跳ね」でリズムを持ち上げ、曲自体の個性を決定付ける。
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●ジミー・チェンバレン(The Smashing Pumpkins)
→バンド全体の音像に「寄り添う」ためにリズムが「四角くなる」。スマパンの曲は全体的にそうだが、コーガンとイハのギターが中低音域すべてを埋め尽くし、なおかつ跳ねは皆無なので、その中でもドラムを埋もれさせないために、高音域中心のテクニカルなリックが多くなる。
*特徴的手法
ハイタム・スプラッシュ多用で高域の空間を占有、リックは正確かつ切り口がシャープ。
*曲例
●Cherub Rock → イントロ〜Aメロの直線的16分がギターの壁に突き刺さる。
●Tonight, Tonight → 抑制したフレーズからサビのマーチングスネア的大爆発、どれもタイトで四角いリズム像。
●Try Try Try → 他のドラマーなら跳ねさせたいはずの譜割を「四角く」叩き切る異色感。
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●カーター・ビューフォード(Dave Matthews Band)
→曲全体を「指揮・構築」するためにリズムが「うねる」。DMBはアドリブ・即興性の高いバンド特性もあって、メンバーの演奏裁量権が各々で極めて高い。その中でアンサンブル、楽器間の会話を成立させるには、曲全体の音像を決める「うねりの核」が必要になる。その役を担うのがカーター。
*特徴的手法
ポリリズム・変拍子・細かいダイナミクス変化によって、曲の空気をリアルタイムで読み取り構築する。
*曲例
●Tripping Billies → 軽快な変拍子・ポリリズムの中でうねりを演出。
●Ants Marching → スネアのゴーストとハイハットワークで全体を包み込む。
●Say Goodbye → ほぼ会話的なドラム&パーカッションを独りで展開。ラテンの血が騒ぐぜ(筆者は日本人)。
この3名の共通点、見出せただろうか。そう、「プレイスタイルは異なっていても、バンド全体の音像を俯瞰する」という姿勢そのものは見事に同じなのだ。
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#3. イグダーラ指数:黒子力と爆発力(各ドラマーは独断と主観で選出)
「イグダーラ的特性」を測るために、ここではふたつの軸を設け、これを「イグダーラ指数」と名付ける。
1. 黒子力:普段のアンサンブル貢献度。全体を支える力。
2. 爆発力:必要な瞬間に主役になる力。
これらは相反するものではない。むしろ一流ほど両方を高いレベルで備えている(数字は主観で相対評価しました。前回と同じく、ツッコミどころがあることは承知しております……)。
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*各ドラマーのイグダーラ指数(相対比較)
●チャド・スミス(Red Hot Chili Peppers)
黒子力:9
爆発力:8
RHCPの屋台骨。普段はファンクでロックなグルーヴ職人だが、ライブやサビ前に爆発。
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●ジミー・チェンバレン(The Smashing Pumpkins)
黒子力:8
爆発力:10
同バンドのエモーションの要。曲構造を変える瞬間の技巧・破壊力が凄まじい。
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●カーター・ビューフォード(Dave Matthews Band)
黒子力:10
爆発力:10
黒子と主役という矛盾要素を完璧に両立。展開の設計力は異次元。もはや人外枠。
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●デイヴ・グロール(Nirvana)
黒子力:9
爆発力:8
シンプルなプレイでも圧で曲を支配。同バンドでは曲の熱量の起点となっていた。
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●テイラー・ホーキンス(Foo Fighters)
黒子力:8
爆発力:9
普段は堅実、だがボーカル兼任や大見せ場で大爆発。叩く際のフォームも熱量高め。
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●マット・キャメロン(Pearl Jam)
黒子力:10
爆発力:7
変拍子などの複雑な曲を完璧に支える達人。派手さは選択的。
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●チャド・セクストン(311)
黒子力:9
爆発力:9
ヒップホップやレゲエなど多ジャンルを飲み込み整理、ボトムを支える力も派手な爆発力も兼備するスーパーオールラウンダー。
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●マイク・ポートノイ (Dream Theater)
黒子力:7
爆発力:10
極めて手数・足数が多く派手な印象だが、選択的主役化・引き算の精度も極めて高い。
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一見「俺が俺が」なマイク・ポートノイはテクニカルなプレイや派手なセッティングばかりが注目されがちだが、Dream Theaterでもサイドプロジェクトでも、楽曲の芯を支える基礎力と引き算の判断力を持っている。
彼も実は常に主役ではなく、主役になるべきタイミングを知っているタイプ。要はイグダーラ。
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#4. タイプ分けで見えること
●黒子力極高型:マット・キャメロン
●爆発寄りバランス型:ジミー・チェンバレン、テイラー・ホーキンス
●選択的主役型:マイク・ポートノイ
●黒子寄り爆発型:チャド・スミス、デイヴ・グロール
●同型両立型:カーター・ビューフォード、チャド・セクストン
いずれも「常に主役」ではない。「必要な時にだけ」表に出るという点が共通する。
※なお、「イグダーラ度低」でも名ドラマーとされるプレイヤーも例外的に存在するが、その言及は今後執筆予定の、他の記事に譲る。
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#5. まとめ:この指数は他にも転用できるかも
改めて主張しよう。
超一流ドラマーとはGSWのアンドレ・イグダーラである。
そして、この「イグダーラ指数」は、音楽とスポーツの壁を超えて人材評価の新しい言語になり得ると感じている。
あなたの好きなドラマー、あるいは他の楽器のプレイヤー、もしくはチームメイト、同僚は、どのくらいのイグダーラ度だろうか?
黒子力が高いのか、それとも爆発力が強いのか。
ぜひコメントやSNSで、あなたの周囲の「イグダーラ指数による評価」を教えてほしい。
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👉️次回予告
次回は「ドラマー墓場供養録:簡単そうで事故る曲たち」をお送りします。
ボーカルやギターは気軽に言ってくれるけど、この曲案外難しいんだぞこの野郎!ドラマーの方は共感していただけるかと。
さらに「人外ドラマー編」「低イグダーラ度編」「特異点編」なんてものも……?
どうぞ気長にお付き合いください。
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