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フロム・ソフトウェアのマーケ手法は、広告ディレクターから見ても「気が狂っている」【ひとりごと】

土曜の昼下がり。
白銀ノエル(推しのVTuber)の『仁王2』プレイライブ配信を観ながら、ふと思った。

「フロムのソウルライク(※)って、普通に考えても気が狂ったマーケティングだよなあ……」。

私も一応広告屋の端くれ。こう考えてしまう。
「俺にこんな企画設計できるか……?いや無理、綱渡りすぎるわ」。

さて、こうなると書かないわけにはいかない。
なお、ノエル団長の悲鳴を聞きながらリアルタイムで執筆している(気持ち悪い)。

※ソウルライク
『デモンズソウル』『ダークソウル』『エルデンリング』など、フロム・ソフトウェア製作の一連のアクションRPG作品群、またはそこから派生した、「ソウルシリーズにコンセプトを似せた他メーカーのゲーム」のこと。
本記事では「本家」もこの定義に含むスタンスを採用する。


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■ ファミコン時代の「理不尽」は、狙いではなく“欠陥”だった

まず前提として。
ファミコン時代のゲームの多くが「理不尽」だったのは、決して美学でも思想でもない。

●処理能力が低い
●セーブができない/少ない
●UIが不親切
●説明不足
●発展途上

そういった技術的・設計的な制約の副産物として、結果的に理不尽だっただけ。

つまり当時の理不尽は「やりたくてやっていた」ではない。ほとんど事故みたいなものだった。

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■ フロムの狂気:理不尽を“設計した”

フロムは価値観をひっくり返した。
ファミコン時代の理不尽体験をベースに。

ソウルシリーズは、

●敵の配置
●初見殺し
●思わぬ角度から来る「罠」
●取り返しのつかない選択
●世界観を“説明しない”語り方

など、全てにおいて「プレイヤーがイライラすること」を前提に設計されている。

しかもそれを「不親切」ではなく「尊重」として提示。ここがまずマーケ視点で見て本当に異常。
マーケターやディレクターは普通こう考える。

「そのコンセプト、炎上リスクが多大。無理」。

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■ 通常の商業ゲームと真逆のことをしている

一般的な商業ゲームの設計はこうだ。

●プレイヤーを導く
●ストレスを減らす
●成功体験を頻繁に与える
●離脱率を下げる

フロムは真逆。

●突き放す
●教えない
●何度も殺す
●自分で考えさせる

市場縮小を前提にした自殺行為。なのに、なぜ巨大マーケットとして成立したのか。

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■ フロムが設計しているのは「快」ではない

ここが決定的に違う。

フロムが売っているのは、快適さや分かりやすさ、優しさではない。

●克服感
●上達したという実感
●世界に“入り込んだ”感覚

要するに「プレイヤーの自尊心を回復させるゲーム」。そしてこれ、だいたいのゲーマーの「原風景」(マーケティング用語で言えば「カスタマーインサイト」)なのだ。

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■ 「クリアすること自体が承認欲求になる」という、ゲーマーの「原風景」

思い出してください。
小学生の頃。

「え、お前あのステージクリアしたの?まじで?すっげーー!」

数人のクラスメイト。証拠なんて要らない。盛っても意味がない。でも“分かるやつには分かる”。

「ソウルライク」をあえて広く定義するならば、「クリアすること自体が承認欲求の満足になる」ゲームのこと。

この現象を今の言葉で言うと「信用が担保されたローカル承認」だ。

フロムはこの感覚を、人類共通の記憶領域から掘り起こしてしまった。カスタマーが抱く「無意識の欲望」として。

美しく、完璧で、だがとてもリスキーなターゲット設計。私のような広告屋だと、思いつきはできるが、「逆張りするターゲット」をメイン戦略として採用する勇気はない。せいぜいサブ。だってコンバージョンが欲しいんじゃ。しかもゲームなんて開発費も多大なプロダクトだぞ。無理。

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■ SNS承認より強いのはなぜか

SNSという場での承認は、数は多い。でも軽い。すぐスクロールされ、消費され、疑われる。

一方、ソウルライクの承認はこうだ。

●「誰でも」はできない
●嘘が通じない
●自分が一番よく分かっている
●「分かる人には分かる」で完結する

任天堂の思想とは真逆の発想。
だから「クリアした」は自慢でもマウントでもなく、「同じ地獄を見た者同士の合言葉」になる。
ここが、カジュアルな設計のゲームや課金ゲーとは決定的に異なる。

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■ なのでマーケ視点で見ると、ほぼ怪談

普通のマーケターや広告屋はこう考える。

●参入障壁は低く
●成功体験は早く
●離脱率は低く

フロムはこう。

●参入障壁?高くていいじゃん
●成功体験?遅くていいじゃん
●合わない奴?去れ

その代わりに、残った人の忠誠度を異常値まで引き上げる。完全に宗教設計である。

さらに広告ディレクター目線で見ると、

●広告費ほぼ不要
●ファンが勝手に語る
●体験そのものがコピーライティング
●「やったことある?」が合言葉

つまり、「広告をほぼ一切打たずに、最強の口コミ装置を作った」ということになる(特に最初期作品の『デモンズソウル』)。

広告不要。
これは敗北だ。
我々の業界の。
脳破壊不可避。

嫉妬を覚える。
職業病として。
でも自分には無理。

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■ 結論:この文章は「嫉妬」である

そう、この記事は嫉妬だ。構造が見えてしまう病にかかった「職業人」としての。

そして正直に言えば、その病気に罹患した人が作ったものしか、長く愛される文化にはならない。歴史が証明している。

ソウルシリーズは、ゲームが難しいから異常なのではない。
「顧客に媚びない」という選択を、グローバルレベルの巨大な商業として成立させてしまった。

その一点において異常なのだ。

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