ショートショート「拍手の余韻」(毎週ショートショートnote)
「今日は誘ってくれてありがとうね。見たことないぐらい最高のお芝居だったわ!」
電車を待つ駅のホームでハルカは熱っぽく語っている。
「わたし感動しちゃって、カーテンコールで役者さんがわーって出てきたところが忘れられないの!」
ハルカがそう言ったところで電車が来た。ドアが開いて人が降りてくる。ハルカはその人たちに向けて手を叩いている。
「ちょっと拍手やめて! 降りてきた人を祝福してるみたいだから。ほら乗るよ」
「だってなんか、この人たちも今日一日を演じ切った役者さんみたいで」
ハルカがこんなに感受性豊かな子だとは知らなかった。電車内でもハルカの勢いは止まらない。そして電車が駅に止まり、ドアが開くと
パチパチパチ!
「なにしてんの?」
「あ、やだ、無意識で手が」
その後もハルカはドアが開くたびに拍手を繰り返した。そして私が降りる駅に着いた。
パチパチパチ……
「やめてよ恥ずかしい!」
私はやはりハルカの拍手で送り出された。そして電車から降りる刹那、私は履いていたスカートの裾を軽く持ち上げ、無意識でハルカに会釈をしていた。
やばい、私も症状出ちゃってる。
(475文字)
こちらの企画に参加しています!
