見出し画像

[教育機会の地域格差:1] 高校卒業後の進学率には、都道府県によってどれくらい差があるのか

「いい大学を出ていい会社に入るのがいい人生!」
そんな価値観が蔓延し多くの若者を大学進学へと向かわせています。これは日本全体の教育レベルを上げる反面、Fランク大学問題や、学歴至上主義など、「大学」に固執するがあまりさまざまな問題を生んでいる気がします。

ここでは特に「地域格差」について考えてみます。高校を卒業したあと、進学する人の割合は地域によってどれくらい違うのでしょうか。

方法

統計ダッシュボードAPIから、2024年の都道府県別データを取得した。

使用した指標は次の2つ。

高等学校卒業者数
高等学校卒業者のうち進学者数

そして、次の式で進学率を計算した。

高校卒業後の進学率
= 高等学校卒業者のうち進学者数 / 高等学校卒業者数 × 100

なお、ここでいう「進学者」は、統計上の定義に従ったものであり、この記事ではまず都道府県ごとの大まかな地域差を観察する。

結果

2024年の都道府県別データから、高校卒業後の進学率を計算した。
進学率が高い上位5都府県は次の通りである。

東京都 74.1%
京都府 74.0%
神奈川県 69.4%
大阪府 68.9%
兵庫県 68.5%

最も高かったのは東京都で、進学率は 74.1% だった。次いで京都府が 74.0%、神奈川県が 69.4%、大阪府が 68.9%、兵庫県が 68.5% となった。

一方、進学率が低い方を見ると、沖縄県が 46.7%、宮崎県が 48.0%、鹿児島県が 48.1%、佐賀県が 48.4%、山口県が 48.5% だった。

山口県 48.5%
佐賀県 48.4%
鹿児島県 48.1%
宮崎県 48.0%
沖縄県 46.7%

上位の東京都・京都府・神奈川県・大阪府・兵庫県はいずれも大都市圏、または大学が多く集まる地域である。単純に見ると、都市部や高等教育機関へのアクセスがよい地域ほど、進学率が高い傾向がありそう。

ただし、この結果だけから「進学率が低い地域は教育水準が低い」といったことは言えない。進学率には、大学や専門学校の数、交通アクセス、家庭の経済状況、地元での就職機会、県外進学のしやすさなど、さまざまな要因が関係しているはず。

また、最上位の東京都は 74.1%、最下位の沖縄県は 46.7% で、その差は約 27.4ポイント ある。都道府県単位で見ても、高校卒業後の進路にはかなり大きな地域差があることが分かる。

感想

数字にしてみると、高校卒業後の進学率には思った以上にはっきりした地域差があった。
最も高い東京都は約74%、最も低い沖縄県は約47%で、その差は約27ポイントある。都道府県単位のかなり粗い集計で見ても、進学という選択には地域差が強く表れているように見える。

上位には東京都、京都府、神奈川県、大阪府、兵庫県など、大都市圏や大学が多く集まる地域が並んでいる。これは直感的には納得しやすい結果で、近くに大学や専門学校が多いこと、交通アクセスがよいこと、進学後の生活や就職のイメージを持ちやすいことなどが関係しているのかもしれない。

一方で、進学率が低い地域についても、単純に「教育環境が悪い」とは言えない。地元での就職先、家庭の経済状況、県外進学にかかる費用、地域の産業構造など、背景にはいろいろな要因がありそうだ。むしろ、この数字は地域ごとの優劣を決めるものではなく、進路選択を取り巻く条件の違いを考えるための入口として見るべきだと思う。

今回の結果を見て、教育機会の地域格差は「本人の努力」だけで語るにはかなり危ういテーマだと感じた。進学するかどうかの前に、そもそも進学という選択肢がどれだけ身近にあるのか、どれだけ現実的な選択として見えるのかが、地域によって違う可能性がある。

今回は進学率そのものを眺めただけなので、原因までは分からない。次は、人口密度や所得、大学数などのデータと組み合わせて、どのような地域条件が進学率と関係しているのかを見てみたい。


いいなと思ったら応援しよう!