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「紅いコーリャン」と「黄色い大地」を観ての感想など

 中国映画の第5世代代表作「紅いコーリャン」と「黄色い大地」を観た感想など
 
2026.6.5~6. 7記  石野夏実
 
 あれほど観たいと切望していたのに、配信情報に疎いため、ウオン・カーウアイ監督ドラマ「繁花」がWOWOWで今春に独占放映され、すでにオンデマンドも終了していると知って、今のところ観る術がなく残念無念。。。
最後の手段はYouTube版があるのだけれど、日本語訳はもちろん、英語バージョンも出てこなくて、無理みたいでした。。。。
 
それならば、と気持ちを切り替え、、、
いちどは観ておかないと中国映画は語れない、ということで。。
ツートップの監督ふたりの初期代表作=チャン・イーモウ(1950年生まれ)初監督作品「紅いコーリャン」(1987年)を、アマプラで先に鑑賞しました。
 
そして6月3日、台風(大したことがなかったけれど)だったので仕事が棚ぼた休日となり、チェン・カイコ-(1952年生まれ)監督の長編監督デビュー作「黄色い大地」(1984年)をYouTubeの日本語字幕で観ることが出来たのでした。
漢字ばかりの中国語字幕→英語バージョンに切り替え→日本語字幕に切替ができました。。
 
なお、この作品「黄色い大地」はチャン・イーモウが撮影監督でした。
 
今も中国を代表するこのふたりの映画監督は、中国映画の第5世代と呼ばれ、私の同人誌時代の最後(卒業)作品「ウオン・カーウアイと香港映画」(カーウアイ監督は香港第2ニューウエーブ)とは、ちょっと空気感が違うのではありますが。。
 
それは、カーウアイ監督は1958年生まれで、文化大革命時代には彼らより少し年齢が下であったため、5歳の頃の物心ついてからは香港に移り住んだので、作品から伝わる物語の空気感と、大地感(広大な大地と香港の狭さ)が全く違うと思うのです。。
 
けれども色彩感覚は、とても似ていると感じました。特に赤や緑。。。
それは、中国独自の文化の色なのだと思います。
日本には日本人独特の色彩感覚があるように。。
 
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< 第5世代とは >
あまりきちんと知らなかったので、↓をAIに聞きました。
 
中国映画の第5世代とは、文化大革命後に再開した北京電影学院を卒業し、1980年代から活躍し始めた監督たちを中心とするグループを指します。とくに1982年前後の卒業生が核とされます。(imdb.com)
それ以前の社会主義リアリズム色の強い作品とは異なり、歴史や社会を哲学的・象徴的な視点から描き、強いビジュアル表現と個人の内面を重視した点が特徴とされます。
 
☆チェン・カイコー(陳凱歌)
代表作の「黄色い大地」で第5世代の到来を印象づけ、「さらば、わが愛 覇王別姫」でカンヌ最高賞を受賞し世界的評価を確立しました。(eiga.com)
 
☆チャン・イーモウ(張芸謀)
「紅いコーリャン」「菊豆」「活きる」などで、中国の農村や家族の歴史を壮大な映像美で描き、第5世代を代表する存在となりました。(eiga.com)
 
このほか田壮壮など、同時期に台頭した監督たちがまとめて「第5世代」と呼ばれます。(u.osu.edu)
1980年代の改革開放期という背景の中で、文革を経た社会の傷跡や歴史を見つめ直す姿勢
物語よりも構図や色彩を重視した「画面で語る」スタイル
農村や辺境の地など、それまであまり描かれなかった地域を舞台にした作品が多い
こうした作風が国際映画祭で高く評価され、中国映画が「芸術映画」として世界に認識される大きなきっかけになりました。(nfaj.go.jp)
中国映画では、時代と制作環境の変化に合わせて、監督たちを「第1世代〜第6世代」といった形で区分する考え方があります。その中で第5世代は、文革後に出てきた「ニューウェーブ」として、もっとも一般に知られた世代名になりました。(eiga.com)
 
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前置きはこのくらいにして、観た順番に簡単なあらすじと感想その他などを。。
 
<チャン・イーモウ監督作品「赤いコーリャン」1987年>
 
初監督作品でありながらベルリン国際映画祭で「金熊賞」を受賞。
主演のコン・リーのデビュー作でもある。
“紅い世界”の映画の印象が強いのは、最初の映像、赤い輿のインパクトが強烈であることが大きい。
1920年代の話である。
花嫁は、顔も知らないかなり年上の酒造を経営する金持ちのハンセン病患者のところへ嫁ぐため、赤い輿に乗せられて、コーリャン畑の道を右に左に揺られていた。
担ぎ手は前にふたり、後方にふたり。楽隊の6人を足して総勢10人の男たちが、隊列のメンバーであった。
即興の歌を歌いながら、長いラッパに太鼓や鐘も交えての賑やかな楽隊である。
 
輿の中の少女は、口を閉ざしてひと言もしゃべらない。。可愛いが色っぽさもある。。
 
延々と続くコーリャン畑の中を歩いて目的地に向かっていると、単独犯の強盗が現れたが、輿を担いでいた男が先ずはタックルして、すぐに皆でボコボコに撲殺してしまった。
この最初にタックルした男だけが酒蔵とは関係のない部外者で、輿の担ぎ請負人だった。
 
この男=余は、娘(九児)に一目ぼれしていたし、娘も、同様だった。。。
余は酒蔵の主人を殺し(?)、娘は早々に酒蔵の女主人になり、皆と儲けも分かち合うと約束し、良い経営者になっていった。
そして、余の息子が生まれ、その息子の子どもがこの物語の語り手なのだった。
祖父とか祖母とかいう位置で話が進む。。
 
月日が流れ、息子が8歳になった頃、反日抗戦で日本軍に機関銃で撃たれて九児は亡くなった。
これがラストである。。
 
残虐な場面も何度も出てきて、血が苦手な私は、ちょっと見るに堪えない場面は飛ばした。。
 
母の九児の動かぬ遺体のそばで立ち尽くす、父と息子。。
 
ラスト4分間の映像。
 
紅い色が全てを覆う。圧巻とは、このようなことをいうのであろう。
 
そよぐ紅いコーリャンと紅に染まった空。月が?太陽が?黒く重なる。
皆既月食なのか。。
 
最初の嫁入りの時の歌が流れる。
息子が大声で無心に歌う。
 
「母さん 南西に行って 幸せになったら 住めばいい・・」 
 
エンドロールに流れるのは、最初の楽隊の太鼓とラッパの音。。。
 
紅いコーリャンは、ホントはないという話だけど、此処にはたしかにあった。。
 
夕日に染められ全てが紅い世界。火の玉のような太陽が小さくなって消えていく。。
九児の魂だったのか。。 
 
悲しい話ではあったけれど、九児は逞しかった、最期まで。。
 
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<チェン・カイコ-監督作品「黄色い大地」1984年>
 
こちらの方が「紅いコーリャン」よりも数年早く作られた。
撮影監督は、チャン・イーモウが担った。
 
wikiより↓
概要
日中戦争下の1939年の陝西省を舞台に、八路軍の兵士と貧農の娘の淡い恋と農民たちの苛酷な生活を描いたチェン・カイコー監督のデビュー作で、第五世代の映画で最初に公開された作品である。1985年金鶏奨最優秀撮影賞、1985年香港映画祭撮影賞、1985年ロカルノ国際映画祭銀賞、1985年ナント三大陸映画祭最優秀撮影賞を受賞した。
 
 
こちらの映画のイメージは,赤でなく黄色である。
泥濁の黄河が流れる地、作物も十分に取れない、痩せて乾いた黄色い大地に父と弟と3人で暮らす貧しい農家の少女の話だ。
 
兵士を鼓舞するために、民謡を収集しに来た若くて優しい優等生っぽい?兵士が、彼らの貧しい家に案内されてやってきて、数日間、共に寝起きした。
家事労働も手伝ってくれた。新しい考え方を持った前向きな人物だった。
彼は共産党の話をして、娘に夢と希望を与えた。。
見も知らぬ人と、親の都合で金銭やモノとの交換で結婚するのではなく、自分の選んだ人と結婚はするものだと、彼は娘に教えた。
 
少し戻ると、、
 
最初の映像場面は、やはり嫁入りの輿の赤い場面からである。
 
こちらが先に作られたわけなので、チャン・イーモウはこの嫁入りの当時の「輿」の光景がとても絵になると、気に入っていたのだと思う。
自身初の監督映画「紅いコーリャン」にも、この光景を取り入れた。
観客にとっても、ものすごく印象的でインパクトが強い。
 
物語は、それほど複雑ではない。娘は、その嫁入りの様子を陰から見ている。
次は自分の番かもしれない、、と思いながら。。
 
娘は、純情そうで朴訥、真面目である。
井戸もない乾いた土地らしく、5キロ離れた黄河の泥水を毎日汲みに行くのが彼女の日課である。
しかし数年が経ち、顔も知らない人の所に嫁に行くのが父の絶対的な命令であった。
父には逆らえない。。
 
それでも婚家から逃げ出してきたその夜に、、
黄河に小舟を浮かべ、、
弟が「明朝、船頭に乗せてもらえば」と言ったけれど、自分で艪をこいで対岸目指して出発した。
だけど、おそらく小舟は転覆して黄河に飲み込まれ、娘の荷物は悲しく打ち上げられ、小物の主も、、もういなかった。。
 
その翌日、娘と弟との約束=もう一度戻ってきてね、戻ってくるね、、を果たそうと数年ぶりに兵士が村に戻ってきた。
 
丘の上に立つ兵士は、こちらに歩いてくる。遠景だ。。
弟は大声で群衆の波に逆らって彼を呼ぶ。。
 
本物であるけれど蜃気楼のようでもある。。
 
この終わりは、、悲しい。。
 
中国の大地は、土地は、日本に比べはるかに広大なので、スケールが違うのである。
それは、中国に観光でもいいから一度足を踏み入れると感じられる、圧倒されるダイナミックさなのである。
 
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感想を混ぜながら、少しだけ、覚えている範囲であらすじを書いてみましたが。。
私が、おふたりの他の代表作品を観たのは20年以上前で、、
 
チェン・カイコ-監督作品は「さらばわが愛/覇王別姫」(1993年中国・台湾・香港合作)でした。日本公開は翌年。
この映画、本当に必見、お薦めです。
レスリー・チャンのファンなのですが、こんな美しい女形は観たことがありませんでした。。
もちろん話の内容も、壮絶です。※「国宝」の吉沢亮もとても綺麗です♪
 
 
チャン・イーモウ監督の作品は「初恋のきた道」を観ました。
もうずいぶん前なので、細かい内容はほとんど忘れていましたが、、主人公のチャン・ツィイーの可憐な可愛らしさに観た人たちは全員がノックアウトされました。声も容姿も。。
村と町を結ぶ1本道。20歳の若者が小学校の先生になるために、この村にやってきました。可愛い娘は18歳です。互いに一目惚れ。60歳になるまでの40年間、先生は初恋の娘と結婚し、この村で教え続けました。
先生が町で心臓病で亡くなり妻は、どうしても担いで村まで遺体を運んでほしいと願うのでした。
駆け付けた息子は、トラクターで運ぶよりも母の願いを聞こうと思い、担ぐ人たちの手当てとして村長にお金を託しましたが、たくさんの教え子も来てくれて担ぎ手は100人も集まり、お金は新しい校舎の資金の一部になりました。先生を慕う教え子たちの気持ちが伝わります。
この映画の配信が、今日YouTubeの日本語字幕で観ることが出来たので、最初と最後を思い出しながら2001年当時にもタイムスリップできました。
少し道徳っぽいかなとも、思いましたが。もちろんいい映画です。。
 
私は、同時代に作られた作品として観るならウオン・カーウアイの香港映画の方が好きです。
だから、直近でカーウアイ監督がどんなTVドラマを作ったのか観たかったのです。。
 
観ない方がいいのかな?やっぱり観た方がいいのかな?
 
        (終わります)
 
 

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