「さよならが僕らを強くした」(ACLE MD6・山東泰山戦:4-0)
この日の勝負どころを挙げるとすれば、前半35分になる。
1-0で迎えたこの時間、等々力陸上競技場はどよめき混じりの歓声と拍手に包まれていた。GKチョン・ソンリョンが、至近距離からの決定機を驚異的な反応で連続して凌いだからである。
もし同点に追いつかれていたら、その後の試合展開もどうなっていたのかもわからなかった。そういう意味で、試合の流れを相手に渡さないビッグプレーだった。
ソンリョン自身にとっても会心のセーブだったのだろう。普段は寡黙な守護神は、試合後のミックスゾーンで少しまくし立てるようにこのシーンを振り返ってくれた。
「バウンドで難しかったけど、指先で当てました。入ったかなと思った。(ゴールラインから)出たのを見て、『(日本語で)あぶなっ』って言ったら、それがテレビ(映像)で出てたみたいです(笑)」
無失点勝利に欠かせなかったソンリョンの活躍!
— 川崎フロンターレ (@frontale_staff) December 5, 2024
このセーブ、本当に凄すぎます。
【広報】#frontale #Mind1NEXT #アジア青覇 #ACLElite #チョンソンリョン pic.twitter.com/P6eksYvMDE
チョン・ソンリョンの連続セーブによって、この絶望的なピンチを
コーナーキックに逃れている。そして、ここでプレーが途切れた次の瞬間、軽率なボールロストでセカンドピンチを招いた三浦颯太に向かって激高している選手がいた。
小林悠である。
それは、三浦に身体をぶつけ、突き飛ばすほどの勢いだった。FWである彼が、試合中の味方のミスに対してあそこまで厳しく詰め寄るシーンはあまり記憶にない。
試合後、小林に尋ねてみることにした。彼は「ソンリョンが防いでくれたけど、流れを渡したくなかった」と言い、チーム全体に向けたメッセージが込められていた
振る舞いだったことを明かし始めた。
「引き締める意味も込めてチーム全体に喝を入れるというか・・・ソウタを犠牲にしたわけじゃないけど(笑)、あそこで締めることで勝つことの執念を見せたかった」
選手個人の判断ミスに対しては、誰かが厳しく言わなくてはいけない。その役割をキャプテンマークを巻いた彼が担っていたと言えるし、それ以上にチームとして勝ちを掴み取る気持ちが強かった。だからこそ、味方にも厳しく指摘した。
「ソウタが油断していたわけではないと思うけど、クリアすればよかった判断のところでボールを持ってしまい、またピンチになってしまった。もちろんソウタには(ボールを)運ぶ良さもある。あそこで抜け出したら、一気に行けるので。でも、あそこは一回切ってもよかったし、それはソウタもよくわかっていると思います。ピッチ内では厳しく言ってもいいし、チームとして厳しく言わないといけなかった。今日はキャプテンマークを巻いていましたし、どうしても勝ちたかった」
その後に訪れたコーナーキックの守備でも小林悠は「集中を切らすな!」と、味方に声を張り上げている。直近のリーグ戦となる東京ヴェルディ戦では4失点のうち3失点をセットプレーで喫していたからだ。前日練習では指揮官から叱責があったと明かす。
「昨日の前日練習でも、セットプレー練習でも失点はしなかったけどマークが外れるシーンがあったんです。鬼さんには『ヴェルディ戦のことを忘れたのか?」』と言われました。『その通りだな』と思ったし、今日は絶対にやらせたくなかった。大声を出して集中を切らすなと言っていたし、みんな集中していた。今日はそうやって勝ちを引き寄せたと思います」
サッカーは巡ってきたチャンスでゴールを決めるか、決めないか。
訪れたピンチを防ぐか、防げないのか。
結局のところ、勝敗はそこで決まるのである。
それをよくわかっている37歳の小林悠は、勝負どころの匂いを敏感に嗅ぎとり、誰よりも声を張り上げたのだ。
それだけではない。
どうしても勝ちたい理由もあった。
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ACLE2024-25準優勝マガジン
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