「It is no use crying over spilt milk」(リーグ第36節・ファジアーノ岡山戦:1-1)
前半を失点せずに、手堅く試合を進めていく。
そして後半の勝負所でゲームチェンジャーを入れて流れを引き寄せながら、スコアを動かす。そのままゲームをしっかりとクローズして勝ち切る。
長谷部茂利監督が描いていたゲームプランは、こういう勝ち方だったのではないかと思います。試合後の監督会見では「悪いゲームではなかった」と評価を口にしています。
「試合を通して、自分たちがやりたいことは、攻守にわたって狙いをいくつか、いいところがありました。ゲームそのものは悪いゲームではなかったと思います。チャンスに決められずに1点しか取れませんでしたが、失点は1失点に抑えましたし、危ないシーンはたくさんはなかった」
ここ最近の川崎フロンターのゲームは、良くも悪くも立ち上がりにゲームが動くことが多く、それに伴いオープンな展開になっていく傾向がありました。そうした数試合に比べると、随分と締まった内容の前後半だったと言えます。
しかし最後の最後で失点。
ポゼッションしながら時計の針を進め、ゲームのクローズも大きな問題はなさそうで、相手の攻撃を丹念に弾き返しています。またカウンターでロマニッチから大関友翔の形で決定機を作るなど追加点を狙う姿勢も十分でした。
にもかかわらず、土壇場でのワンチャンスをものにされてしまった。
手の平にあった勝ち点3もこぼれ落ちる結果に。その原因についてはレビューで掘り下げていますが、なんとも悔しい引き分けとなっています。
この日のミックスゾーンは、閑散としていました。
現在の川崎フロンターレは優勝争いも残留争いも関係ない順位です。先日発表された日本代表に選出された選手がいるわけでもないので、多くのメディアからすれば、ニュースバリューがさほど高くないと見なされるのは仕方がないところです。
逆にアウェイチームのファジアーノ岡山は、残留が決まる可能性が高いことや佐藤龍之介が日本代表に選ばれた影響もあってか、地元メディアと思しき報道陣がいくつか来ていました。
取材陣も少なめで、静かだった試合後のミックスゾーンで、フィリップ・ウレモヴィッチに声をかけて試合を振り返ってもらいました。
試合内容に手応えは感じていながらも、「一瞬のことで結果が変わってしまうっていうのがサッカー」だと彼は話してます。
「前半から試合終了間際まで、失点シーンまではゲームをコントロールしてたと思います。特に後半は、私たちのチームが支配していました。ただ、本当に一瞬の隙、一瞬のことで結果が変わってしまうっていうのがサッカーです。この結果を受けて落胆していますし、もう本当に残念な結果に終わったと思います」
この日の守備組織は破綻が少なく、決定的なピンチや難しい対応も少なかったと言えます。この中断期間中にチームで取り組んできた守備のトレーニングがよく表現できていたわけで、本人もそこに手応えを口にしています。
「2週間空きがあったので、練習の中でも守備を重点的に意識して、失点しないようにという練習はしてきましたし、試合の中でそれを見せられたと思います。残念ながらサッカーというのは、組織的に守っても個々のミスで失点に繋がることもあります。ただ、誰を攻めるわけでもなく、失点はチームの失点です。チームとして反省して、まだ試合が残ってますから準備をしていくだけだと思います」
チームとしてのディフェンスだけではなく、ウレモヴィッチ個人のパフォーマンスも安定していました。この試合でマッチアップしていた岡山の1トップは、ルカオでした。
191cm、91kg。
まるでラガーマンのような体躯で、重戦車のように突き進むこのストライカーにシーズン前半戦で苦戦を強いられたのは記憶に新しいところでしょう。
前回の対戦ではターゲットマンになる彼に引っ張られたことで最終ラインが下がってしまいチーム全体が間延び。後半の立ち上がりには丸山祐市を弾き飛ばした後、カバーに入った三浦颯太もかわされるというピンチがありました。中盤とセンターバックの間でルカオがボールを収める展開になったことで試合後の高井幸大は「彼(ルカオ)のゲームになってしまったのは正直なところ。少し自由にやらせてしまった」と反省の言葉を述べたほどで、際立った存在感を見せたストライカーでした。
しかし今回の対戦では、そのルカオにほとんど仕事をさせていません。
ウレモヴィッチは、センターバックを組むジェジエウとともに押さえ込んで決定機を作らせませんでした。この試合のルカオはシュート0本で、77分にベンチに下がっています。
そのルカオとのマッチアップと対策についてウレモヴィッチについて尋ねてみると、「ルカオ選手は背も高いですし、フィジカルもあって、すごくいい選手だと思います」と切り出してから、話し始めてくれました。
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