「我慢の前半。逆襲の後半」 (リーグ第7節・FC東京戦:3-0)
スコアレスで迎えた後半。
川崎フロンターレの選手たちは、前半とは違う顔を見せ始めたFC東京の異変を感じ取っていたという。
ピッチ上の出来事に誰よりも敏感な大島僚太が証言する。
「後半は相手が変わった感じがありました。(プレスに)来なくなったし、来る時のズレや連動に時差を感じた。どちらかというと(自分たちより)相手が変わった部分がある。僕らも目が慣れた部分があると思いますが」
左サイドバックの三浦颯太も同様の見解を口にしていた。
「後半になると、チームが変わるぐらい強度が落ちていた。前半は我慢してゲームを運べたかなと思います」
後半にトーンダウンし始めたFC東京を尻目に、川崎フロンターレは逆にギアを上げた。そして我慢した前半の報酬を受け取るかのように、後半に怒涛の3得点。終わってみれば、完勝と言っていいだろう。
勝負を決める3点目は、途中交代で入ったエリソンだった。
ただボール奪取からお膳立てまでを1人でこなしたのは脇坂泰斗である。ゴール前までドリブルで持ち込むと、GK野澤大志ブランドンとの1対1で、並走していたエリソンに「決めるだけ」のプレゼントパスを届けた。
「ボールを奪った時は自分で(シュートまで)行くつもりでした。ただ間接視野でエリソンを捉えていたので。自分の良さは最善の選択をすること。より確実な方にボールを届けました」(脇坂泰斗)
圧巻だったのが、相手を置き去りにしたあの独走ドリブルである。14番はマルシーニョでも三笘薫でもない。にもかかわらず、ぐんぐんとスピードが加速していく光景は、まるでドリブラーのようだった。
試合後のミックスゾーンで、ドリブルスピードに驚いたことを本人に伝えたら、「僕、意外と・・・遅いと思われる割には遅くないんで」と微笑んで、こう振り返った。
「ただ怖かったです、(後ろから)追いかけられるのは。相手の前に入るとか、ドリブルのコースで優位が取れました」
映像をよく見ると、ゴールに向かっていたドリブルの進行方向を、確かに途中で変えている。これでは後ろからスプリントしている相手選手は追いつけない。頭脳的というか、巧みなコース取りだったのである。
𝐓𝐨𝐝𝐚𝐲'𝐬 𝐆𝐨𝐚𝐥
— 川崎フロンターレ (@frontale_staff) March 29, 2025
脇坂泰斗がボール奪取からプレゼントパス🎁
最後はエリソンが確実にゴールゲット!!!
🏆2025明治安田J1リーグ第7節
🆚FC東京#frontale #Jリーグ pic.twitter.com/ZdPiS3aIll
何より、この試合の脇坂泰斗はよく走っていた。
この試合における走行距離は、チームトップの12kmである。それでいて83分に、あのフルスプリントによるドリブルを繰り出したのだ。頭が下がる思いだ。
そして、この多摩川クラシコでの勝利の意味を口にした。
「自分たちはACLEもあるし、リーグ戦も優勝を狙っている。この7連戦が優勝に向けてどれだけ大事かは一人一人が理解している。多摩川クラシコでしたし、選手たちもこの試合の重さを理解していました。気持ちの部分もそうですし、至る所で相手を上回れた要因だと思います」
チームのために。自分のために。そして何より勝利のために。
キャプテンが誰よりも汗をかき、魂を込めてプレーをする。
味の素スタジアムに響く川崎市民の歌を映像で確認しながら、多摩川クラシコとは、そういうカードでありたいと思った。
※3月31日に、大関友翔に関する約3000文字のコラムを追記しました。近場のアウェイゲームということもあり、この試合はチームスタッフとメンバー入りしていない若手数人が記者席で観戦してました。U-20日本代表のスペイン遠征から帰ってきたばかりの大関友翔もその1人です。
前節のファジアーノ岡山戦では途中交代でJ1デビューを飾りましたが、この試合ではベンチに入ることも出来ず。彼の主戦場であるボランチは、大島僚太が復帰し、山本悠樹、河原創、橘田健人の4人がひしめく激戦区なのですが、味スタの記者席で観戦していた彼は、試合中の大島僚太のプレーだけをひたすら観察していたと言います。そして、その巧さに舌を巻いたようでした。そこで感じたことや、身につけたいと話す技術について話してくれました。興味深い話だったので、約3000文字のボリュームで追記しました。ぜひ読んでみてください!!
→■(※追記)「(ボールを)出したら取られるところで僚太さんは止められる。時間が止まるというか」(大関友翔)。盗みながら超えていく。大島僚太によるプレーキャンセルの極意を語る、大関友翔に生まれている野心。
では、スタート!!
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